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復興系クラウドファンディング 「Challenge Star」が東北に誕生しました。
»2012年12月 2日
力重の「ブレインストーミング考」
復興系クラウドファンディング 「Challenge Star」が東北に誕生しました。
アイデアプラント 代表。著書に『アイデア・スイッチ』。専門領域は「創造工学」。クリエイティブ・リーダを助ける道具を作っています。
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311から、631日目。
2012年12月1日、被災地の志しを支援する一般社団法人MAKOTOが、新しい支援プラットフォームをリリースしました。かなり実行的です。
簡単に言えば、復興系クラウドファンディング。
正確に表現するならばクラウドインキュベーションです。
市民参加型の起業家支援とのこと。
お金だけではない、という点が特徴的です。
特徴を引用していくと
特徴1:志の起業家を支援 とあります。
取り組みの主体が、株式会社でもNPO法人でも構いませんとのこと。困難に果敢に立ち向かい、「事業を通じて世の中を良くしたい」と頑張っている起業家・経営者の方が対象とのこと。
クラウドファンディングが、プロダクツの製作を応援するのに対して、社会的課題の克服などの事業を応援する点が特徴的です。
次に
特徴2:資金面に限らないあらゆる課題(困りごと)のサポート とあります。
復興に挑む起業家が直面している課題は、お金だけではない、という現実から
(1)困りごと支援と(2)活動費支援」の二つの支援コースを用意、するとのこと。
困りごと支援コース、は・・・起業家の直面する「困りごと」をリスト(Wish list)にして、支援を募ることができ、支援依頼の内容はPR、広報、営業活動、人員募集、物品募集などと多岐にわたるものが、その範疇になるそうです。
クラウドファンディングは、開発費と制作費の支援に絞り込んでいる分、かりやすいですが、このファンドの支援対象となる起業家が取り組む物事は「巨額の金さえあればなんでも買い揃える」ことができるタイプのものではないことも多いでしょう。
かつ、支援を提供したいと思う人の中には、被災地広域に住む人や企業であることも多いはずです。潤沢な資金はないが、自分の持つ経営資源の一部を提供することなら可能だというケースも少なくないでしょう。そうした時に、手を差し伸べることができるスキームになっています。このあたりは、特徴的です。
そして
特徴3:交流イベントとの連動 とあります。
チャレンジスターは、WEBだけの仕組みに留まらずリアルなイベントと連動、起業家に登壇の機会を作り、多くの方々に知って頂けるよう努めるとのこと。
特に、クラウドファンディングと異な「きれいに整えられた30秒ビデオ」ではこぼれ落ちしまうものがあります。それは体を張って頑張っている起業家の迫力や情熱に人々がその真意に可能性を感じ、賛同のスパイラルが展開し、社会的な活動なっていくという姿の芯になるような、ものです。そうしたところが特徴的です。
(クラウドファンディングでも、高額出資者にだけは、リアルの場の提供を出資者には提供しますが、それとは狙うことの本質が異なります。)
このプラットフォームを運営するのが、震災後に復興の志しを支援するために立ち上がった組織、MAKOTO(代表は竹井智宏氏)。アクセンチュア株式会社の協力の下に行うもので、その意味ではプラットフォームの社会的な与信も厚いものです。
復興の寄付金を個人から地方自治体へ出しても出しても何も進んでいる感が無い人もいるでしょう。(いろいろと複雑な展開があるのは、もちろん、推察できるとしても)。
リアルにその気持ちを誰かの応援につかって、それを通じて、困窮する地域を再建する一助にできる、そうしたこのプラットフォーム。
人々の気持ちと可能性をつなぐ存在へと大きく発展されることを心から祈っています。
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(・・・蛇足ですが・・・)
ちなみに、竹井智宏さんとは、親友で、私が2004年商社を辞めて大学に戻った時から一緒にいろんな活動を展開してきました。彼も、私も、仙台でNEDOフェローを拝命していた時期があります。あの時のメンバーたちは、今、人を作り、組織を作り、可能性を開こうとしています。巨大地震が頻発しているさなかでも、竹井さんとは、仙台で復興への議論をしていて、彼は今日のような展開まできたことを思うと、私としてはとても感慨も深く、彼の展開を見ていました。
「負けてらんないな。」
そう思うのでした。
私は、アイデアプラント、という、創造支援の組織らしいアプローチで、未来の可能性をもっともっと開くことに、心血を注ごう、と決意を新たにするのでした。