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アイデアの技法:アイデアの上位概念もどし

アイデアの技法:アイデアの上位概念もどし

石井 力重

アイデアプラント 代表。著書に『アイデア・スイッチ』。専門領域は「創造工学」。クリエイティブ・リーダを助ける道具を作っています。

当ブログ「力重の「ブレインストーミング考」」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/ishiirikie/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


ある発想手法に興味深いアイデア創出プロセスがあります。とても汎用的で、かつ、普段、無意識にしている代替案を発想する作業を定式化したものともいえるかもしれません。


[アイデアの上位概念もどし]

先ず、課題(Aとします)があったとします。それに対する具体的に実行できるアイデア(idea1とします)が発案されたとします。

この後、このアイデアの周辺に潜むアイデアを次のような方法で発掘していきます。

【1】アイデアを上位概念化する。
  (具体的な実行はできないレベルでいい。)
  (上位概念化には自由度が沢山あるが、
   課題Aを解決するように上位概念化する)

【2】その上位概念に当てはまるアイデアを発想する。
  (具体的に実行できるレベル)
  (具体化には自由度が沢山あるが、
   課題Aを解決するように具体化する)

【3】【1】と【2】を繰り返す。

このとき、上位概念化【1】と具体的アイデア発想【2】を2個ずつ発想すると、あっという間に広がります。

アイデア1
 →上位概念1、上位概念2
  →アイデア2,3、アイデア4,5
   →・・・

アイデア1から数えて、2度目のアイデアは4個、3度目のアイデアは16個
(上位概念は1度目で2個、2度目で8個)にもなります。

すこし繰り返すだけでも大量のアイデアが出されます。


例えば:

「新製品の販売促進」のために「製品を使ったワークショップをする」という"課題"と"アイデア"があったとして、これの周辺にあるアイデアをざくざくと掘り起こしてみます。

課題A:新製品の販売促進
idea1:製品を使ったワークショップをする

上位概念1:優れた効果を体感する
上位概念2:使い方を覚える手間を省く

アイデア2:代表ユーザに体験してもらいUstでリアルタイムに流す
アイデア3:グループを作ってもらい中期間の無償貸し出し
アイデア4:ビデオマニュアルを入れたiPod touchのプレゼント
アイデア5:買うと魅力的な声の異性オペレータや執事やメイドさんコンセプトのオペレータが1時間フルレクチャー。おしゃべりにも付き合ってくれる。

こんな感じに広げます。

実際は、この後、上位概念3~10(計8個)出して、さらにアイデア6~21(計16個)出していきます。この辺まで来ると、当初のアイデアの周辺探索としては非常にリッチなアイデアの掘り起しができていてる状態です。

なお、途中で同じアイデアが別のところの中にも出てきますが、それでも結構です。ある程度アバウトに捕らえて、次々とアイデアを広げていくことに力を注ぎます。周辺を掘れば違うところから同じ要素がでてくることはざらにあるわけで、出てくれば出てきたで掘り出して、次のステップにさっさと進んでしまうほうが、実利的です。

なお、これを、「上位概念もどし」と表現しましたが、私なりの表現でこう書きました。明確な名称がなく「アイデアの一般化と具体化を繰り返す」というプロセス名で呼ばれているものです。

結構日常生活に中に使えます。休日の過ごし方(楽しみ方)、他にないかな?というときとか、何か使いにくいものの改善の方法を考えるときなど。

普段、わりとこれをしているはずなんですが、明確に意識してやると発想する能力は意図して(ある程度)使えるようになります。ぜひ次に発想するときに試してみてください。


追記

【筆者のつぶやき】

今日は、神奈川県は藤沢市湘南台に来ています。MOT系分野のプロの方とタッグを組んで、あるハイテクメーカさんでイノベーション手法の研修を提供しに来ています。もっとアイデア創出したい!という人を支援することが私達アイデアプラントの目指し続けるものです。最近、誠ブログがちょっと滞っておりますが、日々、使命を決めた道を全力で進んでおります。誠ブログの読者さんたちも、アイデアプラントにとって支援したい大事な人々です。これからも精一杯、発想技法を紹介していきます。アイデア出しに困ったことがあったらぜひ、筆者までツイッターで投げてください。完全にはお答えできないかもしれませんが、わかる範囲で情報提供いたします。(私達の能力不足で、お答えできないものもあるかもしれません。その時はごめんなさい。)

それからもう一つ。私達の支援してきた案件の一つが最近記事になりました。大げさな野望かもしれませんが、こういう道具を作り出していくことを通じて心豊かな未来の社会を創りたいなぁと、私達は強く思っています。



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