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伴侶と協力する機会にする(確定申告)

伴侶と協力する機会にする(確定申告)

石井 力重

アイデアプラント 代表。著書に『アイデア・スイッチ』。専門領域は「創造工学」。クリエイティブ・リーダを助ける道具を作っています。

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アイデア創出支援の仕事をしています。石井力重です。

3月6日。そろそろ、確定申告の期限が迫りました。毎年、この時期は、事業をしている人は頭が痛いですね。仕事は大好きなのでハードワークもむしろ楽しい、というひとも、いや、むしろそういう人ほど、こういう経理や会計的なことは面倒に感じることが多いかもしれません。

かくいう私もその口です。年間100日ぐらいは旅の空ですが、確定申告のあるこの2~3月は必ず一定期間以上、仙台に戻り、過ごします。

私の場合、創業初年度の確定申告から、e-TAXに取り組み、申告に必要なことがわかる度に、そのための帳簿を付けていく、という超付け焼刃なことをしました。

おかげで、その年の2月は、灰色の3週間を過ごしました。

毎日確定申告の画面を開いては、分からないのであちこち調べます。それで、ようやく入力項目の意味が分かったら今度は帳簿を付けはじめて、ようやくその升目に埋めるべき数字を出せる。そんなことをひたすら愚直におこなっていて、確定申告を完全におえるまで3週間、毎日、e-TAXを開く、という状態に。

創業初年度であのころは、時間もありました。だからできましたが、二年目以降は猛烈に忙しくて、2月に来ると、廃業してしまいたくなるほど、後ろ向きになりました。

そこで、妻に税務署の提供する記帳指導に通ってもらい、帳簿付をしてもらうことにしました。試算表まで作れるようになったので、確定申告も頼む、としたところ、全然うまくいきませんでした。

確定申告をPCからとなると、機械には疎い妻には、一気にハードルが上がってしまいました。電子証明書の取得、PC環境、推奨ブラウザ、、、この辺は私は何とかわかります。なので、三年目からは分担しました。

・帳簿~試算表・・・妻
・e-TAXで確定申告・・・私

これでかなりうまく回るようになりました。

今は、確定申告にも慣れて、昔のように3週間もそれにかかりっきり、ということはありませんで、PCからの確定申告の作業は終わります。(帳簿付けは、かなりの時間を妻がかけていますが。)

ここまでは、行動レベルの話だったのですが、ここからは、すこし意味レベルのことをつづります。

確定申告を紙で提出すれば、すべて妻に任せてしまうこともできるのですが、妻と話あい、二人体勢で行うことを続けることにしました。

そうした理由が、2つ、あります。

一つは、経営状態をよく記憶できること。

損益計算書と貸借対照表を入力することで、どんな経費が増えぎみか、とか、売り上げの増減に連動している経費はなにか、ということが頭に入ります。

もう一つは、共同作業を定例的に持つことで、集中力を引き上げること。

これは、私の専門領域からいうと、想像性の要因でもあるのですが、【共同作業者の存在】というのは、想像的な部分を起動するスイッチになります。財務諸表づくりは、想像力はあまりいらない作業ですが、集中力は要ります。一人でやりきれるとしても、お互いの約束した日までに、しておかないとまずい、という状況を作り出すことで、集中力のスイッチを入れるようにしています。

ちなみに、妻には、あまり明示的にはいわない、ひっそりともっている"理由"が、更に一つあります。

確定申告への打ち合わせがあるので、その場では、一緒にコーヒーを飲んだり、会議茶菓子を食べます。それがグループの凝集性(仲良し度)をあげる要因にもなります。

創業者は働きづめになりがち。好きでしているから本人は苦にならないものの、旅から旅への生活では、家族との会話も限定的になります。年に一定時期だけでも、しばらく家にいることが予想できる時期があり、その時には、何度も、一つの目的に向かって話したり、お茶を飲んだりして、議論することができること。そういうことが、凝集性をあげます。

私の本業は、創造力を補佐するツールを作ること。と自己規定しているのですが、試作品を最初にみるのは、いつも妻です。彼女はある種のセンスが良くて、そして、評価も厳しくて、一種のフィルターとなってくれるのですが、創造的に何かに取り組む時にはグループの凝集性が高いことは大事です。なので、上記のようなことに努めていました。

長い割に内容がないな、とつっこまれそうですが、そうかもしれません。

ただ、何とか、確定申告という、数字ばっかりで、想像性の活かしどころもない作業に対して、価値を見出して、楽しみたい、と長年考えていました。いま、私なりに、作業へのモチベーションを沸かせるのは、そんなところでした。

創業初年度で苦しい思いで、ようやく確定申告をおえた方にも、何らかの「次の確定申告を楽しむ材料」になれば、幸いです。

余談:

ちなみに、二人で確定申告の画面を見ていて、便利だなーとおもったのは、迷った時にちょっとディスカッションして、二人の意見が一致すれば、自信を持って先に進めるので、「早く進める」という点です。

なので、ノマドっぽい創業スタイルで、「あー、わかんねー」となっている時には、e-TAXで確定申告をする人同士でコワーキングスペースに集まって、わいわい教え合いながら進む、というのも、ありかもしれませんね。

2月15日から一週間は、e-TAXで確定申告を頑張る人の集まる時間、とかもうけて。(たぶん、アドバイスをする人がいるような座組みだと、無資格の問題が出たりしそうですので、あくまで、高校生がテスト前に友達の家に集まって勉強会をする、ような、座組みがいいんでしょうけれど。)

余談2:

創業初年度は我流で四苦八苦した確定申告でした(白色なのに。。)。でも、翌年度、税務署から連絡をもらい、税理士による記帳指導(帳簿のつけ方を2か月ごとに指導してくれる)無料サービスに通いました。本当に素人で初めはちんぷんかんぷんでしたが、原則ルールを覚えて、その積み重ねで、記入方法というのが成り立っていることを知り、なんとか基礎的な部分を理解することができました。

創業初年度を同じように四苦八苦して過ごした方は、夏ごろから始まる(かもしれない)、記帳指導などがないか、窓口で相談してみるのもいいかもしれません。毎年あるのか、希望してとおるのか、は、定かではないですが、きちんと帳簿を付ける姿勢のある人には、税務署は丁寧に対応をしてくれます。窓口に何度か行くだけでも、やり方に対して理解が進んで気が楽になります。