誠ブログは2015年4月6日に「オルタナティブ・ブログ」になりました。
各ブロガーの新規エントリーは「オルタナティブ・ブログ」でご覧ください。

東京オリンピックをそしてスポーツを支援する方法

東京オリンピックをそしてスポーツを支援する方法

衛藤 涼太

プログラマーとしてシステム開発会社に就職後、プログラムはそこそこに新規事業の立ち上げなどを行う。そんな経験が災いしてか、自分で会社を立ち上げることに。様々なスポーツを紹介して多くの人に楽しんでもらえるよう情報を発信していきます。ラーメンと温泉が大好き。クリック募金でスポーツを応援するサイト スポクリを運営しています。

当ブログ「あなたの知らないスポーツ、そっと教えます」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/jpnms/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


 ソチオリンピックが終わって「オリンピックで感動した名場面」がTVなどで放送されています。そんな中、乙武さんがブログでこんなエントリーをしています。内容は今回のオリンピックではなく、2年前の女子サッカーワールドカップを見た後のことについて改めて引用しています。

「感動をありがとう」と胸を熱くしたみなさんへ

http://blogos.com/article/80963/

感動の準備段階では、「好きでやっているんでしょ」。でも、いざ感動の場面になると、「感動をありがとう」。僕らはたいした対価を払うことなく、ただ感動だけを享受してきた。あえて強い言葉を使うならば、競技者から感動を"搾取"してきた。いつも日本中を駆け巡る「感動をありがとう」の言葉は、選手たちの心の支えになっても、生活の支えにはならないのだ。

たとえば、大きな可能性を秘めた選手がいたとしても、「家族や友人と過ごす時間とお金、そのすべてを犠牲にできるか」という問題に直面したとき、その競技を断念することだってあるだろう。しかし、僕らが、社会が、その下支えとなり、競技に専念できる環境を整えることができれば、そうした選手だって競技を続けることができる。

 これは、スポーツに限った話ではない。音楽にも、美術にも、伝統文化にも、ほぼ同じことが言える。いまは競技や文化が到達した"結果"にしか目が向けられていないが、それらがある地点まで到達しようとする"過程"にまで目が向けられるようになれば、そこにはきっとお金も生まれる。それは間違いなく、そのスポーツや芸術の振興につながるだろう。文化が成熟するというのは、きっと、そういうことなのではないかと思うのだ。

■北京もロンドンも同じことがあった

   私はスポーツをクリックで支援するスポクリと言うサービスを行っているのですが、このサービスを行うきっかけの一つになったのが、北京オリンピックの前にやっていたTV番組でした。そこではオリンピックに出場する選手が、スポンサーも付かず、自腹で遠征費や用具を買っている大変さを語っていました。そして、2年前のロンドンオリンピックの時にも同じような報道がなされました。

 つまり北京からロンドンの間、選手を金銭的に支援する環境はあまり変わっていないのです。ソチオリンピックではこう言った報道がされているかはわかりませんでしたが、似たようなことはどこかが報じていると思います。

 結局、オリンピックが終わってしまうと熱が冷めてしまいます。オリンピック種目と言えど、そんなスポーツあったんだっけ?と。本来であれば、オリンピックに出場するまでの過程にもっともっと強化費用が必要であり、もし強化費用を多くかけることができれば、より沢山の選手が活躍する機会を得ることができたのかもしれません。

 選手の強化費用と言えば、スポンサー費用ではなく国からの補助金を思い出す方がいるかも多いでしょう。補助金についてはちょうどこんなニュースがありました。

選手強化 補助金制度有効活用へ措置

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140223/k10015458921000.html

この中で、下村オリンピック・パラリンピック担当大臣は、選手強化のための国の補助金の制度で競技団体が3分の1を負担していることについて、「3分の1を自前で用意できないために、選手個人が負担していたり、補助金を辞退したりする競技団体もある」と指摘しました。 そのうえで下村大臣は、「東京大会の2020年までの6年間は、時限立法的に、競技団体が負担している3分の1の部分を国が別の強化費のような形で負担し、事実上、国が全額出すことを考えたい。ベストな状況で東京大会に向けた活動ができるようにしたい」と述べました。

また、下村大臣は、政府が検討を進めているスポーツ庁の創設について、「国民全体でスポーツに取り組めるような環境を作ることが、結果的にはオリンピック・パラリンピックの選手を育成することにもつながっていく」と述べて、来年の設置に重ねて意欲を示しました。

 この制度が実現するかどうかは分かりませんが、資金不足で悩んでいる団体には朗報かもしれません。しかし、100%国からの補助金と言うことになれば、結果を残せなかった場合の批判が強まるかもしれません。今回のソチオリンピックでも少なからずそういった声が上がりました。

■補助金だけを当てにしていてはダメ

 さらにあくまでも2020年までの時限立法であるということも問題です。オリンピック、そしてスポーツは2020年以降も続いていきます。大きな目標として2020年の東京オリンピックでメダルを取ることは必要なのかもしれませんが、その先もしっかりとフォローをすることが大切です。

 スポーツの金銭的な支援は、「国などからの補助金」「企業からのスポンサー費用」「個人からの寄付、会費」の基本的には3本柱が重要になってくると思います。もちろんプロ野球やJリーグであれば「放映権料」「入場料」「グッズ販売」と言った収益の柱があると思いますが、集客力のないスポーツでは難しいです。

 そして補助金に頼ってばかりではいつまで経ってもオリンピック前に資金不足で悩む選手はいなくならないでしょう。バランス良く企業スポンサー、個人からの寄付を増やしていかなければ、いざ補助金が減額されたとき活動に大きな支障がでてきます。しかしながら現実問題として各競技団体もスポンサー営業や個人からの寄付を集める仕組みを作るために人員を割くことが難しいかとは思います。

■スポーツ団体は社会企業家やNPO法人の活動を参考に

 そこでぜひ参考にしてほしいのが、社会企業家やNPO法人です。彼らの活動は主に「共感を得る」ことによりスポンサーや寄付を集めています。もちろん共感を得る活動を実践するのは一朝一夕でどうにかなるわけではありません。しかし、スポーツが多くの「共感」を得ることができるのはソチオリンピックが教えてくれました。そういった意味では、彼らを見習うことに価値は十分あると思います。

 そしてホームページやソーシャルメディアなどの活動も重要です。スポーツ団体のホームページを見てよくあるのが、「寄付」や「スポンサー募集」のページがどこにあるのかわからないことです。選手が活躍したので応援しようと思った人がいても、どこから寄付すればいいのかわからなければそのままになってしまいます。ホームページを持っている団体はトップページのわかりやすい場所に「寄付」へのリンクを貼るだけでも結果が違ってくるでしょう。

 これは一例ですが、NPO法人「かものはしプロジェクト」のページは非常に参考になると思います。TOP画像の下に「支援する」ボタン。そして各記事を読み終わるとまた「支援する」ボタンがあります。→ http://www.kamonohashi-project.net/

  他にもここ数年で大きな市場になってきたクラウドファンディングを利用してもいいでしょう。これであれば個人の方からも活動資金を得ることができます。

■2020年に向けてマーケティングを見直そう

 正直、まだまだスポーツ団体はマーケティングがうまくいっていないと思います。そして企業も個人もどうやってスポーツを支援していけばいいのかがよくわかっていません。今のところ、ホームページのバナーやユニフォームスポンサーなどでしかスポンサー費用を得ていない団体があるとすれば、そのスポーツ団体の広告価値はまだまだ多くのポテンシャルを秘めています。ソチオリンピックを機会に2020年の東京オリンピックへ向けたマーケティング戦略を考えてみるといいかもしれません。

 スポーツ団体からのご相談は随時受け付けておりますので、こちらのページからご連絡ください。スポクリのご利用もお待ちしていおります。→お問い合わせ

■「スポーツ×CSR×マーケティング×社会貢献」というブログも書いています。