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名刺管理ツールを買って、時短して、成果を出す(1/2)

名刺管理ツールを買って、時短して、成果を出す(1/2)

野原 淳

キングジムファイリング研究室でファイリングや机の整理のしかたなどの指導・提案をしています。

当ブログ「ファイリングは捨てることと見つけたり」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/jun_nohara/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


 皆さんこんにちは。キングジムファイリング研究室の野原です。

 前回に引き続き、成果の出るヤザワ作戦ということですが、今回誠ブログのお題が「名刺管理術」と言うことで、名刺管理用具を買って、名刺探しの無駄な時間を短縮する方法を皆さんといっしょに考えて行きたいと思います。

 

【すべての問題解決は現状を正確に知ることから】

 名刺管理に困っている人はたくさんいますね。なぜでしょう?

 これは私の個人的な考えですが、名刺の管理だけが難しいということはないと思います。ただ、名刺は自分で再作成することができない上、ないと相手に連絡も取れないので仕事が進まない、つまり見つからない時の困窮度が他の書類に比べて高いのだと思います。名刺だけが特別に管理が難しいということはありません。そう言う特徴があるから、管理されていないことの弊害が露見しやすいだけだと思います。

 さて、整理するには対象の特徴や使い方をよく分析することが大切です。

 名刺はまず、自分しか使いません。ですから、自分だけが理解できる並べ方で大丈夫なのです。ここが共有ファイリングと大きく違う所で、大胆な並び順を採用することも可能です。

 次に探し方。これは人それぞれ。でも氏名か、会社名で探すのが中心でしょう。

 後は量。どのくらいの名刺を持っているか。ただ、管理するとしても、多分500枚くらいが限界だと思います。それ以上は死蔵名刺になっている可能性が高いです。

 

【あいうえお順の弊害と対策】

 ファイル型の名刺ホルダーにあいうえお順で入れるとどうしても隙間が出来てしまいます。このページは「あ」と決めたら、「あ」の付く人と次に会うまで、そのページは使えません。下の写真のように、隙間が出来ることになります。

20110419_隙間のあいた名刺入れ_.JPG 隙間を嫌って、間を詰めれば、新しい人と会うたびに名刺を移動させなければなりません。多くの方と会う仕事をしている人は追い付きません。

75AL_1027.jpg この問題を解決するためには名刺ホルダーではなく、ボックス型や回転式のような、1枚の名刺が独立している収納道具を使用するしかありません。これなら、正しい位置に名刺を入れれば良いだけなので、この問題からは解放されます。

 左の写真は当社のボックス型の名刺整理道具、「カードボックス」ですが、普通の名刺ならこれで約1000枚収納できますので、まずこれで1つで十分です。

 ただし、ボックス型や回転式だと、名刺ホルダーのような一覧性の良さは失われます。また、会社名をあいうえお順で並べる場合、「NHK」などのように略称が正式名称以上に一般化している組織、アルファベットに持って行くか、エヌ・エイチ・ケーと読ませて「エ」に持って行くか。悩みますよね。

 こうしたことは、お付き合いが始まったばかりの時と、お付き合いが深くなって行った後とでは自分の中でも判断が変わることもあるのでタチが悪い。そうなると、同じ自分の判断なのに、あっちにもこっちにもNHKが出て来ることになります。

 

【様々な探し方が発生するのが名刺】

 会社名で並べているのに、今回は担当者名で探したい、会社名は忘れたけどこの間会った人(展示会や異業種交流会などで1日で大量に名刺交換すると良くあります)という探し方をしたい。そんなイレギュラーが多く発生するのもまた、名刺の持つ特徴です。こうした問題を一気に解決するのがデジタル媒体での管理であり、当社ではピットレックという商品がありますが、興味のある方はぜひ、こちらをご覧いただくとして、今回はあくまでもアナログで改善する方法を探してみましょう。

 まず、最も良く使う探し方の順に並べます。会社名、氏名、時系列。いろいろあると思いますが、自分が最も探すと思った方法で並べます。ただ、別の方法で探したい、通常の方法では探せないという事態になった時でも探せるような準備をしておくわけです。

 それはマーキングだと思います。たとえば、時系列に並んでいるものを会社名で探したいとします。そういう時は、名刺の上部にア行、カ行、サ行...というように付箋やシールを貼ったり、マーカーで印をつけたりします。これなら、探せますよね。下の写真では右から、ア行、カ行、サ行...となっています。ずれないようにするにはテプラなどでガイドを作り、毎回そこに当ててマークするといいでしょう。

20110419_五十音マーキング.jpg この方法を使えば、良く使う名刺を前に、なんて言う、ちょっと突飛な並べ方にも果敢にチャレンジできます。自分しか使わないならば「最近使った名刺ほど前にある」などという並べ方でもいいわけです。使った名刺は必ず一番前に戻すわけですね。そうすると、利用頻度の低い名刺はどんどん後ろへ追いやられる。捨てる時にも便利です。この方法はちょっと整理術の本を読んだ方ならご存知と思います。

 余談ですが、この方法を共有棚でやってはいけません。「よく使う」「最近使った」は自分だけのものです。多くの人が共有して使う所で自分の「使った」は他人には当てはまりません。皆が使ったものをそれぞれ手前に戻したら、大変な混乱を来たすでしょう。この方法が威力を発揮するのは自分しか使わない所だけです。

 何が言いたいのかというと、テクニックを単に真似するだけでは結果は出ないということです。自分に合っているかどうかを判断する力をつけなければなりません。ファイリングはテクニックではなく、自分に合っているかどうかを判断し、合っているものを選んだり、合うようにカスタマイズする力こそファイリング力です。個々のテクニックはその人の研究の結果出てきた表面的なものにすぎません。単に真似してみても、合えば良いし、合わなければ悪いとなるだけです。なぜそこに至ったのか、その人の考え方を汲み取ろうとすることが応用力に繋がります。応用力がなければ次から次へとテクニックのチョイ乗りと乗り換えを繰り返し、何時までも自分に合ったものに出会えない結果になるでしょう。

 話が、それました。

 で、使った順に並んでいるけれども、どうしても会社名で探しい時は、名刺上部のマーキングをたどればいいのです。こうすれば2つの検索方法を併用できます。

 色を増やしたり、表示する辺を増やしたりすればさらに多くの探し方もできますが、その分作業は大変になります。ただ、だからと言ってそれがダメとは言いません。自分に合っているか、継続できるか、で判断すればいいのです。

 

【自分はどう使い、どう探したいのか】

 持ち歩きたいのか、会社の引き出しでいいのか。持ち歩くなら、小さいサイズの名刺入れにレギュラーメンバーを厳選する必要があるでしょう。場合によってはピットレックのようなデジタルの力を借りる必要があるかもしれません。

 収納スペースはどこか。机の一番下なら、ファイル型、中段ならボックス型、デスク上なら回転式、など。但し、机の上に置く場合は、セキュリティ面に配慮しましょう。

 会社名で探すか、氏名で探すか、時系列か、はたまた使った順か。会社名や氏名で探したいなら、名刺1枚1枚を独立して収納できるボックス型か回転式。ファイルタイプを使うなら、スカスカのページが出来たり、都度並べ替えることを覚悟するべき。

 多重な探し方をするか。ラベリングなどと併用する必要あり。ただし、そこまで時間をかける必要があるか、自分にそこまでできるかを良く問うこと。

 

【名刺整理はその日その場でできる方法で】

 とにかく名刺整理はためないこと。名刺交換の時から出来るだけ時を置かずにできる方法を決めます。名刺に限らず整理整頓は毎日のこと。今、一念発起してやる気に満ちているところに水をさすわけではありませんが、整理整頓は必ずしも100点を目指すことではなく、やり続けることが何より大事。完璧でなくても継続した方が後々効いてきます。疲れた日も、帰りが遅くなった日でも止めないやり方であることを優先します。

 それでできそうなら、ハードルを上げていけばいいのです。

 で、問題なのは逆に継続できなくなってきたとき。ここで「自分はダメだ」と言って自己嫌悪に陥ってやめてしまってはいけません。整理整頓が嫌いになってしまいます。ハードルを下げて「やめるよりずっとマシ」くらいの気持ちでリスタートしましょう。ある程度のズボラを許容することです。

 こだわるところはしっかりやり、こだわらないところはスボラを残す。どこに力を注ぐかを自分で見極めるのがファイリング力です。繰り返しますが、そんな一点まじめ主義でも続けていればきっと力になります。

 

 さて次回は、そんなズボラな方法でも意外と行ける、私がピットレックと出会う前まで実践していた名刺整理方法をご紹介いたします。お楽しみに。