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ファイリングテクニックをファイリングだけに留めていたらもったいない!

ファイリングテクニックをファイリングだけに留めていたらもったいない!

野原 淳

キングジムファイリング研究室でファイリングや机の整理のしかたなどの指導・提案をしています。

当ブログ「ファイリングは捨てることと見つけたり」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/jun_nohara/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


 私は昔、中学校の先生でした。大学卒業後、社会科の教師を2年間だけですが。その時に子供たちによく聞かれたのが「勉強ってテスト以外で何の役に立つの?という質問でした。

 皆さんこんにちは。キングジムファイリング研究室、コンサルタントの野原です。

 先日、ファイリングをファイリング以外に応用できることは?というご質問をお受けしました。これも時々聞かれることなのですが、今日はこのお話をしたいと思います。

 

【役に立つ時を待つのではなく、役に立たせる】

 冒頭の話に戻りますが、教員だった当時、子供たちから「勉強ってテスト以外で何の役に立つの?」という質問をとにかく良く受けました。

 鎌倉幕府が出来ました、関ヶ原の戦いが何年です、そんなの生きていくのに必要ないじゃん-

 良く分かります。子供たちにとって、勉強よりも大切なことはいっぱいあるのです。それなのに、多くの時間を拘束され、勉強に費やす。それが、無駄に思えてくるのでしょう。

 「役に立つのをボケッと待っていても、役に立つ日はまず来ないと思うけどな。自分で役に立たせようとしないと。」

 私はそう答えていました。

 知識を得ることは勉強の入り口にすぎず、得た知識を生きていくうえでいかに役立たせるのか、そこを考えるのが実は本当の勉強だと、私は思います。歴史的事件が何年に起きたか、誰がやったかなんてのは、極めて近視眼的で表面的なことです。でも、多くの人がそこに終始しています。子供はもちろん、大人もです。

 学校では、覚えるべきことも提示され、使うべき時と場所を人工的に用意してくれます。最も分かりやすいのがテストですよね。表面的な知識は、答えが一つしかなく、出す方も答える方も当たりかハズレか判断しやすい。当然点数化もしやすい。

 しかし、社会に出たらどこに問題があるか誰も教えてくれません。解決すべき問題が次々起きているにもかかわらず、それに気づかずに「今までの勉強なんて何の役にも立たないや」と思いながら時間だけが過ぎていくのです。

 学校と社会のギャップを知ることは、学校がいかに保護された場所なのかを理解すること。何を学ぶべきか教えてくれて、その知識を使う場を与えてくれて、違っていたら違うと言ってくれる、学校って相当ラクですよね。そこに気づけるか。

 生きる目的は人それぞれ違います。そのために解決すべき問題は何か、今ある知識をどう使うか、何が足りないのか。正解は子供と話し合いながら探し、折に触れて仮説、検証、修正を繰り返しながら定まっていくものだと思います。

 つまり、それはコンサルティングです。

 -勉強は何の役に立つのか-

 この問いに対して「きっと何かの役に立つんだからとにかくやっておきなさい」に留まっているのがほとんどのケースだと思います。これが私には「きっと何かの役に立つかもしれないから取っておこう」という、机の上に書類の山が築かれるロジック重なって見えてなりません。

 学校の話になると、それだけで1本のブログネタになってしまいそうなので、本題に戻しますが、とにかく、答えのないものに対して取り組む、と言うことに対してもっと積極的になるべきだと思います。

 「役に立たない」と考えをやめてしまえばその瞬間、全く役に立たなくなりますし、ファイリングはファイリングだけだと枠を決めてしまったらそこ以上には行きません。逆に「何にでも役立たせてやる」と思えば、色々なことに応用できるものです。その中でもファイリングは、それ以外のことにも応用しやすい知識ではないかと、私は思っています。

 

【ファイリング以外に役立たせる】

 近しいところで行けば、家の片づけとかですよね。リビング、子供部屋、押入れ、冷蔵庫、車の中...。

 少し離れたところでは、お金の投資なんかもそうじゃないかと思います。自分にとってどこまでのリスクを受容できるかを見定め、それに応じた投資行動を選ぶわけです。正解は人によって違います。ところが、何かを取って何かを捨てるという決断ができずに、何もせずにいる(単なる預金だけ)人がほとんどです。実はそれで大きなものを失っていることに気づいていません。

 後は、時間の使い方ですね。

 時間は、私たちに与えられた有限の資産です。何も生産しなくても、有効に活用しても、同じように減っていきます。余計な事をしている時間はありません。同じことをやるなら少しでも短い時間で、同じ時間なら少しでも多くのものを処理したい。そのためには、不要な行動は捨てていくという、ファイリングと全く同じ思想が必要です。

 要る、要らないの結論が個人個人異なることもまた、ファイリングと同じ。もちろん、探しものの時間なんて、なくすべき時間の使い方の最前線であることは間違いありません。これはファイリングテクニックが直接応用できることですし、これから起こそうという行動の「時間対効果」を予測して、必要な行動を選んでいくという考え方もまた、自分たちに必要なファイリングテクニックを選ぶ行動が役に立つでしょう。

 時間もファイリングする、と言うことは、これからも折に触れて書いていきたいと思っています。

 

 いかがでしょうか。

 私はこの仕事を始めて、お金と時間の使い方は相当変わりました。そしてその考え方は、ファイリングと実に似ていると思っています。せっかく得たファイリングテクニック、ファイリングだけに留めずに、あれにも応用できないか、これにも応用できないかと、積極的になってみてください。きっと、役に立つはずです。