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ファイリング導入、さて、ファイル用具は買い換えるべき?

ファイリング導入、さて、ファイル用具は買い換えるべき?

野原 淳

キングジムファイリング研究室でファイリングや机の整理のしかたなどの指導・提案をしています。

当ブログ「ファイリングは捨てることと見つけたり」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/jun_nohara/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


 皆さん、こんにちは。キングジム、ファイリング研究室、コンサルタントの野原です。

 今回は、ファイリングを導入するにあたって、ファイル用具は買い換えるべきかどうかについてお話したいと思います。

 

【問題のある用具なら、交換は必須!】

 使いづらいなど、問題を抱えていたファイル用具に関してはこれを機会に交換しましょう。便利になるためのファイリングですから、ファイル用具も交換するべきだと思います。使うことを第一に考えたファイル用具を選びましょう。

 前回の記事「使うときのことも考えてファイルを選ぼう」にも書きましたとおり、その後、使い続けるわけです。それも人件費ですから膨大です。少しくらい高かったとしても、蓄積される人件費のロスに比べれば微々たるものです。本当に良いと思ったものを選んでください。

 

【ファイル交換のデメリット】

 ちなみに私がコンサルティングで指導する場合は、ファイル用具の交換を必須にすることはありません。キングジムのオープンファイリングは用具の縛りのないファイリングです。

 前述のように、お客様側から要望があったり、私から見て明らかに使いづらいと思った場合は別ですが、そう言うことがなければ用具はそのまま使っていただいております。

 ファイル用具の操作は今までの使用で体に染み付いていると思います。交換することで、混乱することがあるかもしれません。

 そして何より、ファイルを換えると、差し換え作業が発生してしまいます。古いファイルから書類だけを抜き取り、新しいファイルに綴じ直す作業です。

 リングファイルからキングファイルのような差し換え作業なら同じ2穴同士ですから、まだ許せるかもしれません。

 しかし、個別フォルダーからキングファイルや、キングファイルから30穴バインダーへの差し替えとなると相当な作業になります。これはお客様の持っているファイル冊数によってはとんでもない作業量です。

 

【ファイル交換のメリット】

 では、ファイル交換は良いことはないのでしょうか。もちろんそんなことはありません。

 似ているけど若干違うファイルや、機能は同じでもメーカーが異なるファイルを統一すると、使い勝手が統一されます。 商品点数が減って買う時もラクです。

 それに、ファイルを新しくすることによる気持ちの変化も重要です。「気持ち」なんて理論的でないと感じますか。でも、ファイリングを継続することを考えると、気持ちと言うのはとても重要なのです。

 ファイリングは全員で毎日やることです。やらない人がいれば、別の人が倍やることになり、やらない日があれば別の日に倍やらざるを得ません。

 最も良いのは、その日の片付けは、その日のうちに済ませることなのです。

 しかし、毎日のうちには、疲れた日もあるでしょうし、調子の悪い日もあるでしょう。早く帰りたい日だってあります。そう言うときに「でもやろう」になるか、「ま、いいや」になるかの分かれ目は、結局最後は気持ちなのです。

 新しい用具に一新されたオフィスなら、きっと「でもやろう」に傾くはずです。

 

【ファイル用具は統一すべき?】

 書類には色々な動き方があります。それによって適した用具は違います。

 なのに全社1種類のファイル用具に統一、といったことはまずないです。動き方に合わせた数種類のファイルを使用することになるでしょう。

 例えば、契約書はキングファイル、顧客情報は個別フォルダー、進行中のプロジェクトはボックスファイルなどです。

 そうやって決めたら、その中ではファイルを統一します。銘柄やシリーズもなるべく合わせてください。「契約書①」はキングファイルだったけど、「契約書②」を作ろうとしたらボックスしかなかったのでボックスにしちゃいました、と言うのはダメです。

 一度決めた適した用具の中で、それぞれ統一されている、という状況が最もメリットが出ると思います。

 ですから、使い方ごとにファイル用具を決めていくことをおすすめします。

 

コピー ~ 斜めサイズ変更.jpg ちなみに当社の見出し印刷の仕組みはそれぞれ異なるファイルであっても統一デザインの見出しが出るソフトを使っています。(写真)

 どんなメーカーのどんなファイルでも、「戻す場所」「捨てる時期」を色分けした統一的な見出しが表示できるので、ファイルは統一されていなくても、見た目がきれいになり、気持ちも維持しやすくなっています。

 

【無理なく、気張らず、「今後のものから」が落とし所】

 現実的なところで行くと、過去のものには遡らず、「これから」のものに限って、決めたファイルを適用していく、というのがバランスの取れた結論ではないかと思います。

 これからのものなので、差し換え作業も発生しません。

 オフィスに置いておく期間はだいたい2年なので、2年後にはオフィスのファイル用具は統一されます。だんだん慣れてきて、余裕が出てきたら合間を見て、使用頻度の高いものに限定して少しずつ古いものにも手をつけていけば良いのではないでしょうか。

 そうすると、一定以上ファイルが揃ってきた時点で、「あとこれだけだからやっちゃうか」と言うスイッチが入り、結局2年を待たずして統一されてしまったりします。

 ファイリングはそう言う時間感覚でやった方がいいですね。

 

 いかがでしたでしょうか。

 ファイリングを導入するうえで、ファイル用具を取り替えることは気持ちも一新され、とても良い効果があります。

 一方で用具を取り替えることが目的のようになることがあってはいけません。

 ファイリングは出しやすく、戻しやすく、捨てやすい環境を作り、維持することです。ファイル用具の交換は、そのための一つの手段でしかないということを、頭において取り組むようにしてください。