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既知の恐怖は、未知の恐怖ほど怖くない

既知の恐怖は、未知の恐怖ほど怖くない

開米 瑞浩

社会人の文書化能力の向上をテーマとして企業研修を行っています。複雑な情報からカギとなる構造を見抜いてわかりやすく表現するプロフェッショナル。

当ブログ「開米のリアリスト思考室」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/kaimai_mizuhiro/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


こんにちは。知識の構造化に執念を燃やす開米瑞浩です。

このところまるで取り憑かれたかのように「原子力論考」を書いてきましたが、本業でもないのに少なくない労力をかけて原子力擁護論を書くのはいかがなものか、という懸念がなかったとは言えません。

とはいえ、これはビジネスとは別に、自分にできる社会貢献だと考えて書いてきました。

そんな私のところに先ほど一通のメールが届きました。
本人の承諾を得て全文掲載します。

誠ブログの原子力論考シリーズをいつも拝読しております。

原発の賛否という窮屈な枠組みを越え、安全保障をはじめとした
大きな背景の中
でエネルギー問題が論じられていて、一挙に
視野が開かれました。

「一般に思われているほど放射線は危険ではない」
「原発を性急に撤廃すべきではない」
といった、一貫して筋の通った意見が打ち出されている
ところ にも、
説得力と信頼性を感じました。

ネットでは読みきれないほどの大量の情報が飛び交い、それも
原発への拒絶反応
や放射能の危険性を訴える内容が大半
という印象を受けていました。
自分自身
が不安感に囚われていると、危険な側面のほうを
拡大して受け取りがちになり、
さらに不安感が強化されると
いった悪循環に陥ってしまいます。

そのため、負の感情に引きずられないで、冷静に状況と事実を
見据えることがな
かなか出来ませんでした。

多方面からの情報を整理し、明晰で理解しやすい文章で
説明された開米さんの記
事を読み進むにつれて、ネガティブ
な観念が次第に払拭されていきまし た。
れからは、一つひとつの情報に対して、ニュートラルな気持ちで
落ち着いて向き
合えるようになったのです。
感情的な反応に左右されると視野が狭まってしまうこと。
その閉塞感から自由に
なるためには、開米さんが書かれていた
通り、動作原理までさかのぼっ て情報
を読み解くことが不可欠
であること。その習慣を血肉にするのは一朝一夕にはい

かないということ。それらを痛感しました。

心情的には、原発自体の存在にも、それに携わる人々の
営みにも、私は否定的な
感情を向けたくないです。

「冷静に情報を吟味して自分で考え判断する」道筋を示し
ながら、自ら発信を続
けておられる開米さんの姿勢に、
毎回頭の下がる思いがしています。

これからも引き続き拝読させてください。


ありがとうございます。
まさにそういう形でお役に立てることをこそ願って今まで書き続けてきましたので、
開米、大感激です。

文中にもありますが、「不安感」が強いときは「危険な側面のほうを拡大して
受け取りがち」になるものです。

そんな不安を解消するのに有効なのが、「よく知る」こと。
「既知の恐怖」は、「未知の恐怖」ほど怖くないものですから。

不安を解消するために、この原子力論考が少しでも役に立てれば嬉しく思います。
お便り、ありがとうございました。