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丸暗記から脱却するために「因果関係」を追いかけよう
»2011年7月15日
開米のリアリスト思考室
丸暗記から脱却するために「因果関係」を追いかけよう
社会人の文書化能力の向上をテーマとして企業研修を行っています。複雑な情報からカギとなる構造を見抜いてわかりやすく表現するプロフェッショナル。
当ブログ「開米のリアリスト思考室」は、2015年4月6日から新しいURL「http://blogs.itmedia.co.jp/kaimai_mizuhiro/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。
こんにちは。来る日も来る日も「知識の構造化」に異常な(笑)情熱を燃やす開米瑞浩です。
前号でお知らせした「しくみ図解コンテスト」はただいまお二人からご解答いただきました。開米感謝感激大喜び(^_^)/
締め切りは来週火曜日ですのでお忘れ無く!
さて、突然ですが下記テキストを見てください。
(あ、出典Wikipediaですから鵜呑みにしないでね。 まあ、このブログで化学気相成長法の勉強する人なんているわけありませんが(笑))
こういうものを見せられて、「はいこれ覚えておくように。1週間後に試験するから。覚えてなかったら罰金ね」・・・・なんてのは、嫌ですねえ。
上の4か条だけだったら情報量少ないので大したことはありませんが、何か必要に迫られて調べ始めるとどんな分野でも「必要な知識量」がすぐに膨大になってしまうものです。
(実際私もこの春以来原発・電力問題に関してここに書くために相当な労力を費やしてしまいました(^^ゞ)
で、こういうときにやりがちなのが「丸暗記」ですね。
自分の本来の専門分野ではない(だからカンが働かない)
特に興味があるわけじゃなく、試験するよと脅されて勉強している
と、こういう条件が重なると、とりわけ「丸暗記」でお茶を濁したくなるものですが、丸暗記だと印象に残らないので覚えにくく忘れやすく、しかも論理的に間違ったことが書かれていても気がつかない、という困った問題があります。
そこで、たとえ「必要に迫られて勉強してるだけ、興味があるわけじゃない」という場合でも、丸暗記からは脱却したいわけですが、それにはどうすればいいのでしょうか。
というわけで、やってみました知識の構造化。
冒頭の「化学気相成長法」の説明4か条の前半2つ、AとBを分解して構造化するとこんな感じでしょうか。
「基本的特性」があって、「その効果」があるから、特定の「用途」に向く、という因果関係(A1→A2→B1→B2の流れ)ですね。なお、上図の「不明」部分に注意しておいてください。あとで触れます。
まあ、こんな図を書いてはみても私はこの「化学気相成長法」について詳しいわけでもなんでもないので、上記因果関係が正しいのかどうかは確信が持てません。あくまでも、Wikipediaに書いてあったことを整理してみたらこうなった、というだけです。
そこでどうするか。
こういうときに、詳しそうな人を見つけて質問します。
質問のポイントは2つ。
因果関係を確認する質問
不明点を問う質問
前者は、「A1→A2→B1→B2」の流れで因果関係が成り立つと考えていいですか?」という質問です。「因果関係」というのは結構厄介なもので、因果のように見えて単なる相関だったり偶然だったり、あるいは因果の方向が逆だったりと、正確に読み取るのはなかなか難しいものです。だからこれを質問にするわけです。
実は、普通の解説書の解説を読んでも「因果関係」を正しく理解できていないケースが非常に多いので、この質問は非常に効果的。逆に言うと丸暗記は危険。丸暗記だと「正しく理解できていないまま丸暗記」になりがちだからですね。
もうひとつ、後者の「不明点」を問うというのはたとえばこう聞きます。
「B1の効果が得られる理由はA1の「高真空を必要としない」以外にも
なにかありますか?」
つまり「不明」なところを聞くわけです。前述の図中、「B1」項の「原因」として上げていた「不明」な項目について、何もないのかそれとも何かあるのか、こういうところこそプロでなければわかりませんから、それを教えてください、と聞きます。
こういった「質問」をして、得られた答えは記憶に残ります。なかなか忘れません。
しかも、「質問」をされた専門家氏のほうも悪くは思わないのが普通です。
「専門家」が、何にも考えずに答えだけ聞きたがる質問者にわかるように説明するのは大変ですが、ある程度考えて整理して「わからないところはここです」と質問事項を絞り込んで聞かれると、答えるのも楽だし、「お、こいつは良い学習姿勢を持っている!!」と好意的に評価してくれることが多いんですね。
そんなわけで、丸暗記から脱却するために、「因果関係」を整理して追いかける習慣を持とうではありませんか。
その際、今回も書いたような「因果関係を図示する」ことは大事です。図に書いてみると、「不明」で挙げたように、「あるのかないのかよくわからない」不明点に気がつきやすくなります。人間は書かれていることは一生懸命読めばなんとかわかっても、「書かれていないこと」にはなかなか気がつかないので、それに気がつきやすくするために「図解」の効果は絶大なのですね。
めざせ、脱「丸暗記」! (^_^)/
今回の「化学気相成長法」問題をアイデアクラフト研修資料室にて公開しています。
箇条書きの後半2つ、(c),(d) についても構造化した例を掲載してありますので、どうぞご利用ください。
アイデアクラフト研修資料室:
文書化能力向上のための練習問題や開米の過去執筆記事等の集積サイト
勉強会等にライセンスフリーで利用可能。
→ 「化学気相成長法」 問題の出題と解説
【公開講座のお知らせ】
意図が伝わる! 紙1枚の企画書作成講座
http://www.navis.co.jp/ews/course-h23/course-annai-0202.html#MA01
(7月27日、仙台で開催)
前号でお知らせした「しくみ図解コンテスト」はただいまお二人からご解答いただきました。開米感謝感激大喜び(^_^)/
締め切りは来週火曜日ですのでお忘れ無く!
さて、突然ですが下記テキストを見てください。
化学気相成長法の特徴
(a) 高真空を必要としないため、製膜速度や処理面積に比して装置規模が大きくなりにくいメリットがある。
(b) 製膜速度が速く、処理面積も大きくできる。このため大量生産に向く。
(c) PVD、MBEなどの真空蒸着法と比較すると、凹凸のある表面でも満遍なく製膜できる。
(d) 基板表面と供給する気相の化学種を選ぶことで、基板表面の特定の部位にだけ選択的に成長することが可能である。
出典:Wikipedia日本語版「化学気相成長」の項、2010年12月10日 (金) 00:03 UTC
(あ、出典Wikipediaですから鵜呑みにしないでね。 まあ、このブログで化学気相成長法の勉強する人なんているわけありませんが(笑))
こういうものを見せられて、「はいこれ覚えておくように。1週間後に試験するから。覚えてなかったら罰金ね」・・・・なんてのは、嫌ですねえ。
上の4か条だけだったら情報量少ないので大したことはありませんが、何か必要に迫られて調べ始めるとどんな分野でも「必要な知識量」がすぐに膨大になってしまうものです。
(実際私もこの春以来原発・電力問題に関してここに書くために相当な労力を費やしてしまいました(^^ゞ)
で、こういうときにやりがちなのが「丸暗記」ですね。
自分の本来の専門分野ではない(だからカンが働かない)
特に興味があるわけじゃなく、試験するよと脅されて勉強している
と、こういう条件が重なると、とりわけ「丸暗記」でお茶を濁したくなるものですが、丸暗記だと印象に残らないので覚えにくく忘れやすく、しかも論理的に間違ったことが書かれていても気がつかない、という困った問題があります。
そこで、たとえ「必要に迫られて勉強してるだけ、興味があるわけじゃない」という場合でも、丸暗記からは脱却したいわけですが、それにはどうすればいいのでしょうか。
というわけで、やってみました知識の構造化。
冒頭の「化学気相成長法」の説明4か条の前半2つ、AとBを分解して構造化するとこんな感じでしょうか。
「基本的特性」があって、「その効果」があるから、特定の「用途」に向く、という因果関係(A1→A2→B1→B2の流れ)ですね。なお、上図の「不明」部分に注意しておいてください。あとで触れます。
まあ、こんな図を書いてはみても私はこの「化学気相成長法」について詳しいわけでもなんでもないので、上記因果関係が正しいのかどうかは確信が持てません。あくまでも、Wikipediaに書いてあったことを整理してみたらこうなった、というだけです。
そこでどうするか。
こういうときに、詳しそうな人を見つけて質問します。
質問のポイントは2つ。
因果関係を確認する質問
不明点を問う質問
前者は、「A1→A2→B1→B2」の流れで因果関係が成り立つと考えていいですか?」という質問です。「因果関係」というのは結構厄介なもので、因果のように見えて単なる相関だったり偶然だったり、あるいは因果の方向が逆だったりと、正確に読み取るのはなかなか難しいものです。だからこれを質問にするわけです。
実は、普通の解説書の解説を読んでも「因果関係」を正しく理解できていないケースが非常に多いので、この質問は非常に効果的。逆に言うと丸暗記は危険。丸暗記だと「正しく理解できていないまま丸暗記」になりがちだからですね。
もうひとつ、後者の「不明点」を問うというのはたとえばこう聞きます。
「B1の効果が得られる理由はA1の「高真空を必要としない」以外にも
なにかありますか?」
つまり「不明」なところを聞くわけです。前述の図中、「B1」項の「原因」として上げていた「不明」な項目について、何もないのかそれとも何かあるのか、こういうところこそプロでなければわかりませんから、それを教えてください、と聞きます。
こういった「質問」をして、得られた答えは記憶に残ります。なかなか忘れません。
しかも、「質問」をされた専門家氏のほうも悪くは思わないのが普通です。
「専門家」が、何にも考えずに答えだけ聞きたがる質問者にわかるように説明するのは大変ですが、ある程度考えて整理して「わからないところはここです」と質問事項を絞り込んで聞かれると、答えるのも楽だし、「お、こいつは良い学習姿勢を持っている!!」と好意的に評価してくれることが多いんですね。
そんなわけで、丸暗記から脱却するために、「因果関係」を整理して追いかける習慣を持とうではありませんか。
その際、今回も書いたような「因果関係を図示する」ことは大事です。図に書いてみると、「不明」で挙げたように、「あるのかないのかよくわからない」不明点に気がつきやすくなります。人間は書かれていることは一生懸命読めばなんとかわかっても、「書かれていないこと」にはなかなか気がつかないので、それに気がつきやすくするために「図解」の効果は絶大なのですね。
めざせ、脱「丸暗記」! (^_^)/
今回の「化学気相成長法」問題をアイデアクラフト研修資料室にて公開しています。
箇条書きの後半2つ、(c),(d) についても構造化した例を掲載してありますので、どうぞご利用ください。
アイデアクラフト研修資料室:
文書化能力向上のための練習問題や開米の過去執筆記事等の集積サイト
勉強会等にライセンスフリーで利用可能。
→ 「化学気相成長法」 問題の出題と解説
【公開講座のお知らせ】
意図が伝わる! 紙1枚の企画書作成講座
http://www.navis.co.jp/ews/course-h23/course-annai-0202.html#MA01
(7月27日、仙台で開催)