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下請け事業から物販事業へ方向転換した私は、「下請け事業から物販事業への壁」にぶち当たりました。
歩いていて方向転換するのは簡単ですが、事業の方向転換は容易ではありません。
用意も何もしていなかったので、特に容易ではありませんでした。
(ナンノコッチャー)
今までは文字通り大手企業の下請けでしたので、一度契約すると継続的に仕事があります。
自社工場での下請けではなく、人を送り込んでの業務請負業ですので、そう簡単に仕事がなくなることはありません。
だから簡単というわけではなく、大手と契約して人を雇用して動かすという非常に難しく繊細な事業なのですが、その話はまたの機会にしておきます。
ガラスのように繊細な私でしたが、心臓には毛が生えていたかもしれず、ともかく別に難しいと感じることなく本能だけでやってきました。(笑)
しかし、物販事業へ方向転換したとたんに悩みが多くなりました。
事業形態がまったく違いますので、人を集めて動かす以外は何をどうしていいかわからなかったのです。
これが俗にいう、いや私が勝手に言っている「下請け事業から物販事業への壁」です。
同じ事業というくくりとしても、スポーツでいえばアーチェリーから弓道に転向する程度ではなく、アーチェリーから野球に転向するくらい違います。
しかも、転向してすぐに試合に出ようとするようなめちゃくちゃな状態です。(笑)
この壁は私だけでなく、私のように下請けから脱却しようとした経営者の多くがぶち当たります。
この時期の知り合いの社長は、私と同じように下請けをやりながらちょこちょこと物販をやっていました。
しかし、小遣い稼ぎの粋を出ず、事業として成立しませんでした。
結局、下請けをやりながら趣味の延長程度で物販をやり続けていました。
ちょこちょことやっている割には儲けていましたので、「そっちメインのほうが儲かるんじゃないですか?」と聞いたことがあります。
そしたら、「そりゃ難しいな。このくらいにしておくのが一番や」という返事でした。
壁が高くて乗り越えられないことをわかっていて、「きつい、厳しい、儲からん!」と言いながら下請けをやり続けていたのです。
それから今まで、この壁を越えようとする経営者を実際に多く見てきましたが、華麗なる転身を遂げた人はほとんどいませんでした。
超えられずに元に戻る経営者のほうが多いですね。
その一番の原因は、思ったように売れないことです。
勢いだけの私ですら商材はありましたので、自分が自信を持っている商品やサービスがあって物販事業に乗り出そうとします。
しかし、物を売った経験がありませんので、どうやって売ったらいいかがわからず、「いい商品なのに売れない・・・」という状態になるわけです。
ほとんど勢いだけで物販事業をやり始めましたので、当初は何も考えていませんでしたが、日が経つにつれて壁を実感していました。
人数のパワーで押し切ろうとしても、人数分の壁の高さとなって立ちはだかります。
妖怪のぬりかべなら力ずくで倒すことができたかもしれませんが、倒すことも穴を開けることも砕くことも何もできませんでした。
妖怪より強力な壁だったのです。(笑)
いつも通り「何とかなるだろう!」という楽観的な考えだけでは、何ともならないのを実感したのでした。