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親方から社長へ

»2013年1月 7日
事業のヒント

親方から社長へ

神 真一

事業アドバイザーとして、滋賀、京都で「楽しく正しい事業」に導く事業アドバイスをしています。

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大手企業2社の元請けとして、事業を拡大していきました。

従業員は増え続け、1年もしないうちに30人くらいの大所帯になっていました。

私もメインの1社で管理的な仕事をしていましたので、その工場に通勤するのが日常になっていました。

でも、私は工場直轄の仕事をしていますので、私の会社の業務には直接的な関連は少ないのです。

すでに2社とも責任者がトップに立っていて、それなりに組織化ができていましたので、私がいてもいなくても会社は回っていました。

しばらくして、私の管理的な仕事が減ってきたこともあり、私は工場を抜けることになりました。

抜けるといっても、私の仕事がなくなるだけですので、他はまったく影響がありません。

今までは十分すぎるくらいに工場の誰もと仲良くなっていましたので、その関係はずっと続きます。

そもそも、会社の社長がいつまでも現場で仕事をするのは良くありませんので、良いタイミングで現場を抜けることができました。

現場出身の社長にありがちなのは、自分が先頭を切って仕事をして、それで従業員がついてくるという考えです。

社長が先頭を切って、誰よりも働いているということですね。

それは悪いことではありませんが、ずっとその考えが続くと、社長が現場を抜けることができなくなってしまいます。

また、社長の指示がなければ行動できないとか、責任感が持てないなどの弊害もあります。

何よりも、それではすぐに限界がやってきます。

それでは「社長」とは言えず、現場の「親方」です。

そういった会社の社長にアドバイスをすると、社長と親方の違いを理解してくれて、社長になろうとしてくれます。

それまではいいのですが、「自分だけが事務所にいて、現場にいないのは悪い」という考えが残ります。

そして、実際に現場に戻っていった社長もいます。

めでたく親方から社長になっても、その考えが抜けきらずに、自分は楽をしていると思い込んでしまって、なかなか事業が大きくならないケースもありました。

「皆は現場で一生懸命働いているのに、自分だけ事務所で楽をしていいのだろうか・・・?」と思ってしまうのです。

現場が大変な仕事で、事務職が楽な仕事ではありません。

また、社長の仕事は現場で汗を流して働くことではなく、事業所を正しく運営して伸ばしていくことです。

私はこのあたりを理解していたことと、専務以下の従業員も理解していたこともあり、すんなりと現場を抜けることができたのです。

まあ、理解していたというよりも、単なる成り行きですが。(笑)