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ステンレスプールメーカーの話

»2013年2月13日
事業のヒント

ステンレスプールメーカーの話

神 真一

事業アドバイザーとして、滋賀、京都で「楽しく正しい事業」に導く事業アドバイスをしています。

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コンクリート製品製造工場で元請けとして事業を拡大しながら、ステンレスプールの事業に手を出そうとしていました。

私は名前だけの管理者として、時々プールの工事現場に行って、現場作業を見学していました。

管理者として現場に行っているのですが、知識も何もありませんので、ただ見ているだけです。

ジーッとしているのは意外と大変ですので、それなりにチェックしているように歩き回るのですが、あまりグルグル歩き回るだけでは、現場作業の邪魔になってしまいます。

そこで、邪魔にならないように適度に動いて、ボーッと見学していました。(笑)

ある日、支店長と話をしていると、プールの話が出ました。

支店の仕事はそれしかありませんので、当然ながら話が出ます。

「うちは、こことここのステンレスプールメーカーを使ってるけど、老舗だから高いんや」

「なるほど。他社はどうなんですか?」

「この業界では"チャンピオン制"と呼んでいて、単価は他社も似たり寄ったりや」

チャンピオン制とは通称で、要するに談合のような状態ということでした。

プールの需要はそんなにあるわけではありませんし、メーカーも昔から決まっていて、順番に仕事を回すような形になっていたのです。

暗黙の順番のようなものがあり、その順番になったメーカーが手を挙げて、チャンピオンになります。

チャンピオンになった後は、他は手を出せないということです。

手を出せないというか、手を出してはいけないという暗黙のルールがあったのです。

支店長の考えとしては、その暗黙のルールを廃止して、業界に殴り込みをかけたいということです。

「そのためには、もっと安くプールを製造できるメーカーが必要になるけど、そこが難しいところや」

「探せば何とかなるんじゃないですか?所詮は一枚の板からできているわけですし、できるところはあるでしょう?」

「あんたとこでできるか?」

「はあ?」

「ワシもメーカーの工場は何度も行っているからわかるけど、普通の機械が動いているだけや。ただ、大型のプレス機とかがいるけどな」

「まあ、確かに加工できる工場と現場作業員がいたら、何とかなりそうですね」

「確か現場で溶接できる人材はいたな?」

「もちろんいます!大型プレス機がある工場も取引がありますので、何とかなりそうですね!」

「よし!じゃあ早速、進めてくれるか?そういえば、近いうちにちょうど滋賀県で入札があるから、それ行くか?」

「おお、ちょうどいいですね!それで行きましょう!」

「よし!早速ワシもそれで動くから頼んだぞ!」

「はい!ドンと任せておいてください!」

こんな感じで、調子に乗って話が一気に進んだのでした。

ちなみに、現場で溶接できる人材がいると答えましたが、溶接している現場を見て、「これは絶対無理や」と思っていたことでわかりますが、そんな人材はいませんでした。(笑)