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企業ポイントの「募金活用」に期待

»2011年3月13日
神尾 寿の「時事雑草」

企業ポイントの「募金活用」に期待

神尾 寿

フリージャーナリスト / コンサルタント。国際自動車通信技術(ATTT)展企画委委員長。専門分野はモバイルITと自動車・交通、電子マネーなど。著書は「TOYOTAビジネス革命」、「次世代モバイルストラテジー」など。

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 3月11日に東北地方を中心とする広い範囲で大震災が起こりました。気象庁によると、そのマグニチュードは9.0。日本の観測史上最大の大震災となってしまいました。

 被災地では今も懸命の救助作業が続いています。また、今回の大震災では東京電力の発電設備が甚大な被害を受けており、電力供給能力が低下。東電エリアのネットユーザーを中心に、節電を呼びかける運動も始まっています。

 募金の動きもはじまりました。詳しくはこちらのニュース記事に譲りますが、多くのポータルサイトや携帯キャリアが募金の受付を行っています。
 そのような中で、筆者が「これは、すばらしい」と膝を叩いたのが、企業ポイントの募金活用です。すでにCCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)の「Tポイント」、Yahoo! Japanの「Yahoo!ポイント」など複数の企業ポイントが募金に対応。手持ちのポイントを1ポイント単位で募金できます。

 様々な商品・サービスの購入で付与されるポイントの発行額は、2010年段階で民間だけで1兆円の規模があります。これにエコポイントなど公的なポイント市場もあり、その規模は巨大です。一方で、これらのポイントはそのすべてが消費されているわけではなく、貯める一方であまり使われていなかったり、使用期限切れで失効してしまうことも少なくありません。この"ポイント"が簡単な手続きで1ポイントから募金に回すことができたら、その効果はとても大きいものになります。

 ポイント募金には、3つのメリットがあります。

(1)現金・クレカより、心理的に募金しやすい
 日本では多くの消費者が、ポイント/マイルを"消費のオマケ"程度で考えています。企業ポイントの募金は、このオマケの行使を手放すだけですから、現金・クレカよりも募金の心理的ハードルが下がり、まとまった額でも募金しやすくなります。

(2)不要なポイントの有効活用ができる
 消費者はすべてのポイントプログラムに熱心に参加しているわけではありません。ポイントが付与されたものの、それを使う気がない・使われない(失効させてしまう)ポイントがたくさんあります。これが1ポイントから募金できれば、消費者にとって有効なポイント活用になります。

(3)細かなポイントも、集まれば大きい
 2番のメリットと連動しますが、ごく小額でも使われていないポイントを消費者が募金していけば、トータルの金額はかなりまとまったものになります。ポイント交換対象にならない端数のポイントでも、数万人が募金で使えば、数百〜数千万の募金になるわけです。


 このように"企業ポイントの募金"はかなり効果的で、多くの人が負担感なく募金しやすいものです。
現在、ポイントプログラムとして巨大なものとしては、前述の「Tカード」のほかにも、流通系では「Ponta」、航空系では「ANAマイレージクラブ」「JALマイレージバンク」があり、ヨドバシカメラゴールドポイント」など家電量販店のものもあります。また、あまり知られていませんが、ポイント発行額で見ると、NTTドコモの「ドコモポイント」など携帯電話キャリアのポイントプログラムも巨大です。クレジットカード会社も、それぞれポイントプログラムを用意しています。これらポイントプログラムを持つ企業が1ポイントから募金できる"ポイント募金"の仕組みを作れば、その規模の大きさからも、かなりの効果が期待できるでしょう。各企業には「企業ポイントの募金活動」について、ぜひ前向きに検討してもらいたいですね。

※すでに募金可能なポイントサイトこちらです