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フリーライダー問題2〜ちょっと停めるくらいいいじゃん〜 

フリーライダー問題2〜ちょっと停めるくらいいいじゃん〜 

川乃 もりや

とあるところで、とあるコンビニのオーナーをしている、「川乃 もりや」です。事情により、匿名です。とあるコンビニの元社員が仕事や感じたことを、時にはコンビニの内情のあれこれをブログにしちゃいます。みなさんお付き合い下さい。

当ブログ「とあるコンビニオーナーの経営談議」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/kawarimonoya/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


 当コンビニでは悩みを抱えている。一部のお客さんが、無断で駐車場に止め、近隣への用事を済ませるといった行為が後を絶たないのだ。当店駐車場は、わずか5台分しかない。ピーク時来て頂いたお客様には、駐車場の隅にある三角部分を利用した切り返し等で、上手く譲り合って駐車スペースを利用していただいている。
 先日などは、地元有名銀行の行員が営業活動をするのに、当店駐車場に無断駐車するということがあった。一般に利用するお客さんならまだしも、企業の営利活動をするのに、それも資金力の小さい中小企業では無く、資本金1450億円の東証1部上場企業なのにも関わらず、フリーライドをしているのだ。(顛末はプライベートブログで

 フリーライダー問題の難しさは、正の外部性から波及しているところにある。

 よく例えられるのが、公共財についてだ。
純粋公共財である消火活動や治安・国防などは、対象になる利用者を限定することが難しい(非排除性)。誰かが費用を負担してサービスを供給すれば、負担していない人も便益を受けられる。結果として、供給のための費用を負担する誘引は働かず、みながただ乗りをしようとするようになる。

 コンビニの駐車場も同じ事が言えよう。買い物をする人に向けて駐車場を用意する。コレによって、車客が増えるまでは正しく「正の外部性」だ。しかし、利用者を限定することが難しい為、フリーライダーの温床となる。これを防ぐ為に最近、役所や大型ショッピングセンターなどでは、駐車場運営会社と協力してるところが多くなっていることに気が付く(買い物をすれば駐車券がもらえるが、買い物をしない場合はそのまま時間貸し駐車場となるわけだ)。
 しかし、止める時間が短いコンビニでは、この方法を導入することは難しい。コンビニ平均滞在時間は3分と言われている。弁当購入者が駐車場で飲食をしたとしても、30分がいいところだ。だが、無断駐車をする輩は1時間以上、ヒドイ場合は1日停めていることがある。

 更に問題なのが、無断駐車というものは安易に考えられているということだ。2つ理由があると筆者は考えている。
 
 一つ目は「買い物をすればお客さんだから、何時間でも駐車場を使っても良い」と考えている人が多いことだ。自分勝手な解釈だと言うしか無い。多くの商売が薄利多売の現在において、回転数を上げることは価格を上げない為に重要なことだ。コンビニの買い物時間は短いからこそ、少量の駐車場でやっていけるのだ。そこに長時間駐車があると、本来買い物をしたいお客様に邪魔である。よって当店では、「買い物したから」と言い分は聞かないことにしている。
 善良なお客様を守る為にはそうするしかない。余談ではあるが、善良なお客様を保護しようとしないお店には、悪質な客が増えることは私の経験上間違い無い。各業態や店舗の方針によって線引きは考えなくてはならないが、悪質な客は善良なお客様を遠のかせるのだ。
 
 2つ目は、店舗における無断駐車は、刑法犯罪等になりえないことが挙げられるだろう。店舗敷地内は道路交通法の圏外の為、道路における駐車違反には当たらない。過去、警察に「無断で敷地内に入っているのだから不法侵入にはならないのか」と聞いたことがあるが、「誰でも自由に出入り出来る前提の場所に対して不法侵入を適用すること難しい」と言われた。また余談だが、駐車場に車両を投棄された場合においても、警察は動いてくれない。裁判所に自分で訴え、撤去許可をもらった後で、自らの費用で撤去しなければならないのだ。

 上記、銀行員も飲酒運転などと並べられる行為ならば、無断駐車などしなかっただろう。逆に言えば、犯罪行為じゃないから無断駐車をしてもいいと考えてた証拠だ。だからと言って、無断駐車を犯罪行為などと位置付けたいわけでは無い。
 個人的には、法律が多い国ほど住みにくい国は無いと考えている。同様に社則が細かい会社こそ、つまらない会社だと考えている。よって、当店では、法律の定める最低限の規則しか提示していない。従業員には、やって良い事悪い事は自ら考えてもらっている。みんなが「そうした方がいいよねぇ」と、考えた時、その事柄を『ルール』として定めているのだ。

 フリーライダー問題をすべて『モラル』で解決しようとは思わないが、法が作られるよりモラルでの解決を望みたいと筆者は考えている。