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犯罪加害者となる人生は紙一重

犯罪加害者となる人生は紙一重

川乃 もりや

とあるところで、とあるコンビニのオーナーをしている、「川乃 もりや」です。事情により、匿名です。とあるコンビニの元社員が仕事や感じたことを、時にはコンビニの内情のあれこれをブログにしちゃいます。みなさんお付き合い下さい。

当ブログ「とあるコンビニオーナーの経営談議」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/kawarimonoya/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


 お題「上半期気になったニュース」ということで、上半期起きたニュースについて考えていた。

 やはり、衝撃的だったのは、オウム真理教の一連の事件で指名手配を受けていた犯人の逮捕だろうか。彼らを擁護する気は全くないが、宗教という心の拠り所に居ただけである。それが、気が付けば全国指名手配犯。部活で怪我をして、行った病院でヨガをやっていた。「ちょっとやってみようかしら」から全国指名手配。人生何が起きるかわからない。


 ちょっとテーマからズレるが、コンビニが日頃気をつけなければならない犯罪について書いていこうと思います。


 ONETOPIに新商品の投稿もしている筆者は、日頃RSSリーダーにて情報収集をしている。検索ワードとして「コンビニ」を用いているのだが、コンビニ強盗の発生や逮捕を伝えるニュースが毎日のように流れてくる。(7月1日分よりまとめ始めているので、後日まとめを公開したい)

 

 そこで、少し前だが警察庁から平成22年度の犯罪情勢が公開されたので資料からコンビニ強盗について調べてみた。

強盗全体.jpg年別強盗.jpg

 平成22年のコンビニ強盗(集計ではスーパーも含まれているようだ)は、723件。うち、深夜時間帯は614件となっている。強盗の種類別に見てもコンビニ強盗の比率が多いのが分かる。

 検挙率は58.5%と10年前の30.9%からは飛躍的に上昇している。一重に警察の努力があってのことだろう。しかし、見方を変えれば半分弱の強盗は逃げたままとも言える。

 店内防犯カメラの性能は、10年前に比べると鮮明に店内の状況を映し出すことが可能だ。人物の顔、手元のお札の種類までハッキリと見て取れる。昨今のニュースでは、防犯ビデオにより検挙に至った例は多い。顔が見えなくても歩いている様子から人物特定を可能にするシステムまであるようだ。

 コンビニのレジには多くの金銭は入っていない。毎日送金しているので金庫にも金は入ってない。オマケにバイトには鍵を持たせていないので、バイトを攻めても無駄だ。たかだか10万ちょっとの金額で人生を棒にするのはヤメていただきたい。


迷惑です。


 本部からは、強盗が来たら危険だから素直に金銭を渡すよう指導を受けているが、筆者はその指導は守らない。そう考えているオーナーは筆者の周りにも多い。陳列什器として使用している棒は非常に硬い棒であるとだけ伝えておこう。

 

 もう一つ、コンビニにおける犯罪の代表が「万引き」である。

 先日こんなことがあった。警察官が手にステッカーを持って来店。「こちら、万引き撲滅のシールです。店頭に貼って下さい」などと言ってきた。小学生の時から「短気は損気」と通信簿に書かれ続けてきた筆者の頭はすぐに沸騰を起こした。


筆者「シール貼って万引きが無くなるの?」

警察官「はい?」

筆者「だから、シール貼ったら万引きが無くなるのかと聞いってるんだよ」

警察官「・・・」

筆者「そんな税金の無駄遣いしないで、警察が万引き捕まえたら(店が通報したら)キッチリ送検して裁判にかければいいんだよ」

「大体、『万引き』ってなんだよ。『窃盗罪』だろ。『万引き』なんて言葉使ってるから、窃盗犯は軽く考えるんだよ」

「そんなシール要らないからとっとと持って帰れ」と、一方的に捲し立てた。


 まぁうちの店に来た警察官が悪いわけではないので、その警察官に文句を言うのもお門違いではあるが、事実、警察(検察)が犯罪行為をウヤムヤにしているところもある。


 以前にも『盗人は猛々しい!!』で万引きについては書いたが、改めて『万引き』について考えてみようと思う。

※今回は便宜上『万引き』という言葉を使わせて頂きます。


『万引き』ウィキペディア

 占有移転が完了した時点、即ち、商品を手に取って自分の服のポケットやバッグに入れたり、手に持ったまま店から出たり、レジを通過した後の買い物袋に入れたりなどした時点で窃盗罪が成立しうる。いずれの時点であるかは被害物品の大きさ、形状、行為者の意思などにより左右されるが、レジの外に出た時点でほぼ確実に既遂は成立している。しかし、まだ店内、私有地につき、店員や警備員としてはこの時点では犯人に声を掛け、呼び止めて停止させることをしないことがある。声を掛ける場合、市道、公道などに、犯人の両足の土踏まずがしっかりと地面に着地したなど、外形的に代金を支払う意思のないことが明らかであることを確認した時点で初めて声を掛け、万引きとして取り扱うことがある。

 いつからなのだろう。万引きは店外に出てからでないと成立しないように言われている。ポケットに入れた時点でどう考えても盗む気満々なのにだ。もちろん「レジで出すつもりだった。両手がふさがったからとりあえずポケットに入れただけ」などといった言い訳をする輩が現れただからだろう。

 コンビニの多くが時間当り2名体制で店舗運営をしている。ポケットに入れたところを現認しても、レジで他のお客様を相手にしていたら、店外へ出るところなど待っていられないのだ。この法解釈は万引き犯を擁護していると言っても過言ではない。


 犯罪情勢から資料を見てみる。

万引き件数.jpg

 平成22年の万引き認知数(警察が知っている)148,371件うち検挙数107,684件検挙率72.6%と、強盗に比べれば圧倒的に検挙率は高い。


 当たり前だ。


 万引きの検挙=店が捕まえて突き出した数と言っても良い。警察は被害届は受けるが、万引き如きでは捜査なんてしない。

 捜査をしないと言い切った理由は、3ヶ月ほど前、当店に夜中、いわゆる不良少年が万引きをした。その場では取り逃がしたが、防犯ビデオでハッキリと人相も確認出来、近隣に住んでいることは容易に分かったのに、未だに逮捕の連絡は受けていない。


 もう一つデータを見てみよう。少年犯罪のデータだ。

万引き少年.jpg

万引き初犯.jpg

 データが示している通り非行の一歩目が万引きとなっている。非行への第一歩目の犯罪が万引きなら、上記万引きは全力で捜査をし、その後の重大犯罪への移行を防ぐのが重要なのではないだろうか。それもせずに、犯罪が減らないと嘆いている場合ではない。

 

 ん?それとも、犯罪が無くなっては困るのかな?だから、初期犯罪を見逃して大きな犯罪へ誘っているのかな?などと、勘ぐられないようにしてもらいたいものだ。


 しかし万引きは少年犯罪だけでは無い。筆者が捕まえた事例では、多くの万引き犯が成人している。

万引き年齢別.jpg

 40代以上の万引き件数は上昇しているのだ。

 40過ぎて万引きとか恥ずかしくないのだろうか?一部では、万引きを病気であるかのように伝える輩もいる。調べたら、コミュニティやらなんやら色々見つかったが、下記のような病名まであるようだ。


 窃盗症(クレプトマニア)


 万引きをした行為が病気だと言うなら、なぜ冷静になった時点で店に申し出ないのか。そうである以上、同情をする気にもなれない。万引きが抑えられないというならば、病院に入院すればいいのに。それでも入院したくないと言うならば、首から「私は窃盗症です」と、ぶら下げて欲しいものだ。コチラで監視させて頂く。


 日本は平和な国である。多くの犯罪が減少をしていることからも分かる。しかし、犯罪被害者個人にとっては、統計では判断してもらいたくないだろう。

 政治が悪いとか言うつもりもないし、警察検察が悪いとも言わない。犯罪行為はする人のモラルそのものだからだ。どうか、犯罪に手を染める前に考えて欲しい。犯罪は、加害者も被害者も苦しめることになるのだから。


 筆者の素性を知っている人からは、鼻で笑われるようなことを書いてしまったが、いつ犯罪の被害者のなるか分からない。オウム真理教の犯罪者しかり、加害者となるのもまた普通の人と紙一重の違いでしかないので、気をつけて人生を歩んでいただきたいというのは、筆者の経験でもある。