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スマートフォンからエアコンをつけることができないとは?!
»2012年9月14日
kei_1のモバイル・クラウド・言いたい放題
スマートフォンからエアコンをつけることができないとは?!
フリーランスのライター、IT先端技術コンサルタント。モバイルやクラウドを駆使するスマートワーク研究をライフワークとしている。
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今日は、一昨日、9月12日のニュースを取り上げてみたい。
Link: 「帰宅前にエアコンON」はNG? パナソニックがアプリの仕様を変更 (ITmedia LifeStyle)パナソニックは9月12日、ルームエアコンを遠隔操作する「パナソニックスマートアプリ」の仕様変更を発表した。外出先から遠隔操作でエアコンの「運転オン」などを行う機能を削除する。電気用品安全法の技術基準への適合に課題があると判断した。
このニュースにはちょっと驚いた。鳴り物入りで登場したパナソニックのスマート家電、その中で最も魅力的なものとして、この外出先からエアコンを制御して、帰宅前に部屋を冷やしたり温めたりできる機能があった。スマートフォンの普及により、ついにこのアイデアが実現されるのかと、私もとても好意的に受け止めていたのだが、突如中止となったわけだ。
記事によると、「電気用品安全法の技術基準」、いわゆる「PSEマーク」取得のための基準に適合していると当局が認定しにくく、パナソニックが当局と協議して、仕様を引っ込めたという説明になっている。
ご存知のように、電気製品にはその安全性を証明するために「PSEマーク」が貼られている。このマークは一定の技術基準をクリアした製品だけがつけられ、一般消費者がけがをしたり、火事を起こしたりしないための大事な制度だ。
PSEマーク
今回のニュースを受けて、私も専門家に聞くなどしていろいろ調べてみたところ、電源のリモート制御に関する規定で次のような条文があることがわかった。
遠隔操作機構を有するものにあつては、器体スイッチ又はコントローラーの操作以外によつては、電源回路の閉路を行えないものであること。ただし、危険が生ずるおそれのないものにあつては、この限りでない。
つまり、基本的には「リモート制御で電源のオンオフを行うことは安全性に懸念があるのでダメ」ということだ。ただし、「危険が生ずるおそれのないものはOK」とある。
しかし、ここから先が曲者だ。危険が生ずるおそれのないものの例として、現在認められているものは照明やAV機器くらいであり、このなかにエアコンは含まれていない。さらにリモコンの信号を伝える手段として、赤外線とPLCだけが一定の基準のもと許されており、EthernetやWi-Fi、ましてや携帯電話の網を介してのリモートコントロールについては規定がないのだ。
最近の技術では十分に安全なリモートコントロールができるのは常識的なことだ。にもかかわらず、規定がないので当局はPSEの認証を与えることができないというわけだろう。
これでは時代にそぐわないと言わざるを得ない。
福島第一原発の事故のこともあり、原発ゼロをめざす議論が行われ、家庭においても企業においてもより一層の節電が急務になっている昨今である。HEMS、BEMSなどの消費電力を見える化し節電するシステムの普及も期待されている。しかし、肝心の安全性に関する技術基準があいまいで認証を与えることができず、商品化が実現できないとなると何のための基準かわからない。このままではスマートシティも実現できないだろう。新しい時代に即した技術基準の早急な整備を願いたい。