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「新商品を出したんだけど売れ行きイマイチなんだよねー、プロモーションのテコ入れ会議するから出てよ」
営業やマーケティング系の仕事をしている人ならこんなお誘いを受けたり、あるいはご自身が新規事業に携わる立場で、こんな会議を主催された経験はありませんか? その結果、起死回生の名案にたどり着くというよりは、ドンヨリとした空気の中で明確な方針も立たぬまま、次回ペンディングになることのほうが多くなかったですか?
例えば私の経験で言うと、この手の会議は下記の様なシナリオで進んでいきます。
責任者: 「そもそも集客が足りないよね」
営業: 「じゃあ広告やろう!」
責任者: 「いや、まだ売り上げないのに、予算はとれないよ」
営業: 「じゃあ、金のかからないPRだ、マーケさんその辺どうなのよ?」
マーケ: 「PRってプレスリリース打っても反応無いですよ」
営業: 「そこは書き方を工夫出来ないの?」
マーケ: 「じゃあそっちで書いてよ。」
営業: 「......、今パツパツだから。。。」
責任者: 「まあ、ここはもう少し現場からネタを出してもらいつつ、無料セミナーとかどう?」
営業: 「それだ! 僕講師やります」
マーケ: 「で、集客はどうしますか?」
で冒頭に戻る......、といった具合で、会社によってはPRのところがSEOだったりソーシャルメディアだったり、オウンドメディアだったりしますが大きな違いはないようです。
そこで今回は、この大喜利のようなループから抜け出すヒントをご紹介します。それは、
「新規事業(サービス)を作る前にプレスリリースを書いてみる」
です。
これはAmazon社等で実際に行われている手法であり、平たく言ってしまえば「作ったものをどうやって広めよう」というアプローチではなく、「そんなに負荷をかけなくても(メディアに乗って)広がるものを作ろう」というコロンブスの卵的なアプローチです。そんなのは理想論だと思われるかもしれませんが、是非一度実際に試してみて下さい。
- キャッチコピーは?
- サービスを3秒で言うと?
- 誰がどのように使うのか?
- なぜそれが使われるのか?
などなど、思った以上に確固たるコンセプトや明確な利用者メリット等を持っていないと、客観的に見た時にメディアに取りあげてもらったり、利用者がパッと見た時にすぐに「いいな!」と思えるものにはならないはずです。
逆に最初の制約条件の少ない状況で頭を捻ることを怠っていると、中途半端に形だけ出来て走り出している、制約条件が多く難易度の高い状態から取り組むことになり、結果、冒頭の展開に陥ってしまいます。これが時間の無駄フラグの理由です。
もちろん、最初の段階で全てを見通すことは不可能であり、B向けで書き方が難しいケースもありますが、それでもこういった意識を持っておくのとおかないのでは、結果的に成果に大きな違いが出てきますし、同じ広告予算をかけるのでも、効果に大きな違いが出てきます。
一方で「それでも、もう走り出しちゃってるんですけど......」って人は実に多いと思います。そういった人はもう手遅れかというのは、それはまた別の機会に(笑)。
どこに行こうとしているのかわかっていなければ、
どの道を通ってもどこにも行けない。
ヘンリー・アルフレッド・キッシンジャー