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いよいよ夏本番、日差しが凶暴になってきました。この時期になると高校や大学時代の部活を思い出します。監督や先輩に「壁作れって!!」と怒鳴られる日々。。。ま、要はスイング等の際に余分な体重移動や回転軸の移動を避けて溜めたパワーをロスなく伝わる様にしろ、という意味ですが、社会人になってからはありがた迷惑というか、わざわざ作らなくても、諸々の「壁」が自分の前に出来ていることが多いので、今回はそんな「壁」との付き合い方のお話をひとつ。
仕事以外でもそうでしょうが、特に仕事においては「壁」にぶち当たる機会って多いですね、市場だの、競合だの、死の谷だの、CASMだの、会社構造だの、社会構造だの、人間関係だの、もうその他諸々です。新規事業においてはこれらが同時にやってきたりするので、もう進撃の巨人ばりに壁だらけです。しかも、この「壁」はスポーツの「壁」と違って、いずれ力が解放されるわけでないので、自分で何とかしないと前に進めないという厄介さ。しかし、有史以来様々な「壁」を偉人たちが乗り越えてきましたし、歴史に名を刻む様な偉人ならずとも、人が「壁」を乗り越える時にはドラマがあり、そのカタルシスとともに聞いた人の胸を打つわけです。ですが、今回はそんな立派な話ではなく、凡人が「壁」にぶち当たった時に、ベンチャーの若年寄りが好きそうな「乗り越えられない壁なら壊してしまえ」的なアプローチとは違う対処方法はなかろうか、と。
行きたい場所がある、でもその場所と自分の間に大きな壁があり、乗り越えようとしても、なかなか手が届かない、そんな時にすぐに「乗り越える(壊す)」ことも、戦略的に「諦める」ことも出来ない時は、
「壁に沿って歩いてみる。」
という考え方を試してみてはいかがでしょうか。
別に言葉遊びをしているわけではなく、例えば営業として、会社都合でどう考えても現状、売れない商材を託されて、売ってこいと言われた時、はっきり言って「戦略の失敗を戦術や戦闘でひっくり返すのは困難」です。しかし、今のご時世、下手な「諦める」も取り辛いですよね。そこで、「とりあえず、自分の中でやれるベストは尽くす。ただ、それで売れるかどうかは自分のみの責任じゃない。」というスタンスを取るわけです。
つまり、壁から逃げ出さず、それとて無理もせず、壁にペタペタと手を当てながら横伝いに歩いてみるんです。そうすると、もちろんいつもではないですが、気が付いたら随分元の位置からは遠ざかってはいるけど、壁が終わっててそこから歩き出すことが出来ることもあるんですよね、営業の例えで言えば、攻めてた顧客の社長の鶴の一声でドカンと予算が出たり、社内の戦略転換で戦略商材が変わったり、といったところでしょうか。「そんな消極的な!」とか「運任せだ!」とか言う声もあるとは思いますが、口先だけの前向きさよりは、後ろ向きな理由で前向きな行動を取る方が遥かに現実的だと私は思います。
困難な壁にぶち当たった時に、全ての人がバズーカで壁に風穴を空けられるわけではないと思いますし、その様に武勇伝を語ったり、自伝を書いたりする人もいますが、そういう話しもよく読んでみれば、実は壁に沿って歩いているうちに、風向きが変わっただけだろ、というのもあります。もちろん、常に壁に真っ正面からぶつかってクリアしていく方が格好いいですし、速いでしょう、ただ、そんなドラマチックな格好いい試合でなくても、打ち込まれても11-10で最後に勝つのが社会人には大切なことだと思います。もし壁にぶち当たった時にそんな選択肢もあるのか、と思い出して頂ければ幸いです。
「高い壁を乗り越えた時、その壁はあなたを守る砦となる」
マハトマ・ガンジー