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常に志を抱きつつ懸命に為すべきを為すならば、いかなる困難に出会うとも道は必ず開けてくる。成功の要諦は、成功するまで続けるところにある。
松下政経塾出身の首相が誕生したタイミングでこの言葉を出すのは若干気が進まなかったりするんですが、引用した言葉は、僕が座右の銘にしている松下幸之助の「五誓」の一つ、「素志貫徹の事」です。珍しい話ではないですね。でも現実は、分かっちゃいるけど、実践するのは難しいものです。
その難しい現実を乗り越えてガンガン突き進んでいるのが、「思いがあればできる。"ワクワク"にふたをしないで――好きを貫き起業したCyta.jp創業者」で紹介させていただいた有安さんでした。
お話を聞かせてもらって、自分自身「気付き」が多かった取材だなと思うんですが、印象的だったのは、有安さんの話がぶれないこと。思いを伝えるため、いろんな人に何度もこの話をしてきたんだろうなあというのが、お話を聞いていてよく分かりました。思いを伝えるのってすごく体力のいることだと思うんですが、それができるのはやはり、「好き」というあふれ出る力の源があるからなんだろうなあと思います。
前にも同じようなことを考えたことがあって、それは「見た目はちょっとアレだけど――香川大学の発話ロボットがすごい」で紹介した香川大学の澤田先生のお話を聞いていたとき。もっとも澤田先生に限らず、大学の先生なんて「好き」を突き詰めた結果の代表的な存在。母校でも......いくらでも思い出せます。学生より先生のほうが生き生きしてるんですから、「好き」の力ってすごいです。キャンパスで、うれしそうに走り回ってたこ揚げをしているゼミの先生を見たときは、この先生にはどうやっても追いつけないなと他人の振り感服した思い出があります。
ただ、"ワクワク"にふたをしている人って実はまだ良いほうで、そもそも"ワクワク"するものがなかったり、「好き」だと思えるものがなかったりする人って多いんじゃないでしょうか。僕も何が好き?とか何にワクワクする?といきなり質問されて、目を輝かせながらこれが好きなんですよ!!!なんてマシンガントークできる自信はないです。
その現実感というか、身近さを記事で表現したいなというのが最近の問題意識です。すごいものをすごいと単純に書いてしまうと、読者は「この人はすごい人だから、自分とは関係ない」と逃げることができてしまうと思うんです(自分がそうだから)。だからこそ、「この人すごいんだけど、別世界の人って感じではないなあ」と思わせたい。一瞬でも「あれ、俺でもできるんじゃね?」と思わせたら、それだけで記事を書いた意義が見いだせるのではないかと思っています。
うーん。自分の「好き」ってなんだろう。