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ソーシャルゲームがバーチャルグラフからリアルグラフに移行している件

»2013年2月18日
やまとぴBlog

ソーシャルゲームがバーチャルグラフからリアルグラフに移行している件

山本 恵太

六本木ヒルズのIT系企業で社内広報を担当しています。

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最近、勢いでDropboxを有料版にアップデートしてしまったんですが、容量が16GBしかなくて困っていたiPhoneの画像・動画をすべて保存することに成功しました。それまで使っていたNドライブは30GBが無料で使えるものの、動画をアップロードすると途中でアプリが落ちたり、Webも、ローカルも、アプリもすべての閲覧性が悪くて使い物にならず。頭を悩ませていました。最初からDropboxにしとけばよかったと後悔するレベルでDropboxが使いやすいです。

ようやく容量に余裕ができたことで、半年前くらいに買った「すばらしきこの世界」がインストールできました。このゲームどんだけ容量あるんだよという話ですが、BGMも声優の声も入ってなかなか家庭用ゲームな作りですね。操作が難しくて僕が嫌いなタイプのゲームです。何かを組み合わせてこの敵にはどうのこうのとか、暇なときじゃないと絶対やらないんですが、今日は暇だったので運良く始めることができました。スマートフォンゲームの高機能化による将来のユーザー離れを感じさせる素晴らしい作品だと思います。歴史は繰り返しそうです。

ずっとハマってたドラゴンアークをやらなくなってしばらく経ちますが、あれも高機能化というかシステムが複雑になって敬遠した感じです。今から始める分にはいいと思うんですが、最初の群雄割拠な時代を知っていると、オンラインゲームにありがちな常連さんが幅を利かせてマイナールールが出来たり、正直そこは求めてないよ的な。僕は隅っこのほうでのんびり施設を育てたいんですホント勘弁してくださいといった感じです。

そんな軟弱な乙女心にグサッと刺さったのが「ハッピーストリート」でした。フランス産のゲームらしいです。平面のハコニワゲームで、街を装飾していくありがちなゲームです。ソーシャルゲームって、今では世の中に数多ほど存在していて、版権ものではないオリジナルのカードゲームとか、このゲームのユーザーはなんでこのゲーム始めたんだろうって不思議なくらい乱立してるわけですが、僕がハッピーストリートを始めた理由は、同僚から始めなさいと強引に勧められたからでした。どういことかと言うと、ハッピーストリートの施設の一つにホテルがあって、これはほかのユーザーを招待して泊めることができるんですが、そのホテルをアップグレードするためには自分が見つけることができない色の石が必要なんです。そこで、同僚は周りの同僚をユーザーにすることで石を集めようとしたわけです。結果、始めた僕も同じ状況になり、現在では誘った同僚を含め6人とつながっています。ソーシャルゲームなのにリアルグラフのユーザー6人とつながっているわけで、不思議な感じがします。

ソーシャルゲームが流行った理由は、バーチャルグラフで疑似的な友達と一緒に戦うことが楽しいという要素が大きかったと思います。僕も試しに始めた海賊王国コロンブスで昔の「魔法のiらんど」的なバーチャルフレンドに魅力を感じました。これは確かにハマるなと。その文脈では、ゲームをするときは自分とは別のキャラクターが出てくるのでリアルフレンドとはつながりたくないという話がありました。車に運転すると人格が変わるのと同じ感じですね。僕はあまり変わりませんが。しかし、しかしです。ハッピーストリートではどうでしょう。リアルの友達と楽しんでいます。同じように、あのアイテムが欲しいから交換してという話を別の場所でも聞くようになりました。いったいこれはどういうことでしょう。

どういうことでしょうと言ってみたものの、簡単な話で、ちょっと前まではソーシャルゲームなんてと皆が思っていたり、ガラケーでは、まずSNSがあって、やろうと思ってやらないと始められないものだったりしたわけです。でも、スマートフォンが普及する中で、プラットフォームに依存しない独立系のゲームが増え、それをダウンロードすればすぐ始められるようになりました。バーチャルグラフの存在価値を高めるSNS要素を持ったプラットフォームの存在価値が、薄れてきたわけです。

さて、ハッピーストリートの話をしましたが、実はもう飽き始めています。時間による飽きというのも多少はあると思いますが、もうレベルが上限までいっていて、建物はどれもアップグレード上限までいってるし、新たに建てられる施設もちょいちょい増えるくらい。これじゃあ飽きます。ゲーム設計の問題です。早く手を打たないと僕らは遊ぶのを止めてしまうでしょう。フランスさん頑張れ。

新たにハマっているのが「にゃんこ大戦争」です。こちらも独立系。そしてもはやソーシャルゲームですらありません。いわゆるタワーディフェンス系のゲームなんですが、友人とつながる機能なんてなくて、でもデザインとか設定が面白いので、ゲーム内でつながらなくたって、リアルで会話が盛り上がるから、そんなつながり機能なんていらないわけです。感覚としては、小学校の教室でドラクエの話をして盛り上がる感じ。あの壁のどこどこを押すと実は進める場所があるんだぜ的な話を「巨神ネコ」を育てると「ネコダラボッチ」になってマジおすすめだから的な会話として、歴史を繰り返しているわけです。

念のため言っておきますが、僕はLINEの話をする気なんて一切ありませんよ。実際使ってるし、よくできてるし、今後も流行ると思います。でも、LINEの先にソーシャルゲームの未来はないです。あれはあれ。コミュニケーションツールの未来であって、ゲームの未来ではありません。

歴史が繰り返しているんだとすると、ゲームの高機能化によるユーザー離れとハードの高機能化と高価格化によるユーザー離れの心配をしたいところですが、スマートフォンの登場によって今後も後者の心配はしなくて良さそうです。とすると、やはり未来はリアルグラフを満足させるゲームの行方にあるような気がします。パズドラはバブルな感じがしますが、最終的にソーシャルゲームというかスマートフォンゲームがロングテールに儲けるビジネスモデルになると、こだわりのお店ではなくてチェーン店が儲かるわけで、しかもタイトルの回転率が高いとなると小規模のお店が淘汰されていくのは目に見えています。ただ、そういうこだわりのお店が体力のある大手に吸収されていく未来も悪くないように思えます。Googleを辞めて良い物作ってGoogleに戻る的なエコシステム。それがゲームの未来にもあるとするなら夢があっていいんじゃないでしょうか。