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エポニーヌは自分の小さな「箱」から脱出した

»2013年3月18日
やまとぴBlog

エポニーヌは自分の小さな「箱」から脱出した

山本 恵太

六本木ヒルズのIT系企業で社内広報を担当しています。

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ヒュー・ジャックマンの「レ・ミゼラブル」。僕はヒュー・ジャックマンでもアン・ハサウェイでもアマンダ・セイフライドでもなくエポニーヌ役のサマンサ・バークスに心を動かされました。

マリユスはコゼットに「君のお父さんは聖人だ」と言うわけですが、当のジャン・バルジャンは心を改めてからも、コゼットを救出したら出頭すると言っておきながら、コゼットを目にして、きゃわわ! と臆面もなく逃げ出し、マリユスを助けたら出頭すると言っておきながら、ジャベール自爆したしもうよくね? と出頭しない嘘つき野郎なわけです。もっとも、原作ではコゼットの救出前にちゃんと逮捕されているんですが、結果的に脱走してるから同じことですね。

それに比べてエポニーヌと言ったらもう! 片思いの相手の恋を手助けしてしまうわけです。好きだから。普通だったら邪魔するか間違っても手助けしないわけですが、それはできない。本当に好きだから。彼の幸せになることを自分ができると知ってるのになぜしないのか。彼のためなら死ねる。そう思って、本当に死んでしまいました。彼と一緒に、ここで、死ねる......。

果たして、そのエポニーヌの死をも恐れぬ純粋なまでの思いを踏みにじったのは、なんとジャン・バルジャンでありました。まさかの救出劇。エポニーヌはもはや一度も箸に触れることなく下げられていった刺身のつまです。もう、なんでエポニーヌはバリケードにいたんだっけ? とみんな思うわけです。あー悲しい。親父にはぶたれ、マリユスがほかの女とよろしくするためのアシストをして、死亡。マリユスはジャン・バルジャンこそ命の恩人だと言うわけですが、おいおい待てって、エポニーヌだろ......。エポニーヌのこともたまには思い出してあげてください。

ふと、思い出したのは『自分の小さな「箱」から脱出する方法』という本でした。以前、飲み会で一緒になった方が話していて、ずっと気になっていたので読んでみたんです。目からウロコがボロッボロ落ちました。読んでない人は早急に読んだほうがいいです。読まないと残りの人生を無駄に過ごすことになります。レビューの評価を見れば納得してもらえると思います。この本でいうところの「箱」から脱出できていたのは、まさにエポニーヌだけだったように思えます。あ、あと司祭もそうだ。自分を裏切らない行動ができる人に、僕もなりたいものです。

最近は「レ・ミゼラブル」のサントラをずっと聞いてるんですが、「One Day More」がもう、聞いててつらい。エポニーヌが「One more day with him not caring」と歌っている裏で、マリウスとコゼットが「I was born to be with you」とか歌っちゃってる。つらい。

この展開どこかで記憶があるなーと思ったら、「オペラ座の怪人」でした。クリスティーヌを一流になるまで育て上げ、顔を見せたら、うわっきもっ、さよなら! ですよ。あ、でも怪人は恋敵と戦ってるから聖人ではないですね。エポニーヌとは違う。でも片思いが叶わなかった境遇という意味では同じ気がしてなりません。好きな人には好かれない残念な人たち。そんな残念な人たちに自分を重ね合わせながら。

Without me
His world will go on turning
A world that's full of happiness
That I have never known

つらいわー。エポニーヌ......。とかとか思う日々であります。