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JR東日本「豪華寝台列車」を分析してみた(2/2)
»2013年6月13日
公認会計士まーやんの「ロジカるつぼ」
JR東日本「豪華寝台列車」を分析してみた(2/2)
ベルギービールをこよなく愛する公認会計士。座右の銘は「できるときに、できることを、できるだけ」。
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こんにちは、今回もお読みいただきありがとうございます。
さて、まずは前回のポイントをおさらいしましょう。
(前回の記事はこちらです)
- JR東日本が「豪華寝台列車」を投入することになった。
- 同社の収益の大半は「運輸業」。それはさらに「定期収入」と「不定期収入」に分解される。
- 人口減により、定期券を買う人の数は当然減る。つまり「定期収入」の減少が今後も見込まれる。
・・・さて、今回皆さんと考えたいのは、
上のような環境変化に対して、JR東日本はどんな打ち手を
考えるべきか?ということです。
もちろん「豪華寝台列車」もその打ち手のひとつと考えることができますが、
それ以外にも打ち手はあるような気がします。
打ち手を漏れなく検討するために、
今回は「アンゾフのマトリックス」というフレームワークを紹介したいと思います。
アンゾフのマトリックスとは、「市場」と「製品・サービス」の2つの軸に対して、それぞれ「既存」「新規」の2つの区分を設け、出来上がった4つのカテゴリでマトリックスを形成したものです。今回のお題のような、企業の戦略を考える際には、非常に使えるフレームワークです。
企業の打ち出している戦略は、ほぼこれら4つに分類できます。
今回は定期収入の減少という環境変化を前提にしているので、
「既存市場」=「現役世代の人たち」
「既存サービス」=「鉄道による運輸サービス」
と定義をして、戦略を考えてみることにします。
今回のクルーズトレインの投入は、にリタイア世代に対するツーリズムの拡大が目的であるといわれており、さらにはアジア圏をはじめとした、外国人の富裕層を取り込んでいく狙いも垣間見えます。従来も「大人のジパング倶楽部」などシニア向けの商品開発を行っていますが、これも含めて、新規市場に対するサービスと考えることができます。
一方で、エキナカ事業とは異なり、運輸という手段を活用したサービスを提供するのだから、新規市場への既存サービスの拡大、という「市場拡大戦略」に該当するものと言えますね。
では、それ以外の戦略、例えば「新製品開発戦略」にはどのような戦略を当てはめることができるでしょうか。
現役世代に対して、鉄道以外のサービスを何か行うとしたら・・・。
「きっぷ」や「定期券」以外に、何かお金を落とす手段を用意してあげるとしたら・・・。
そう、「物販」という手段がありますね。
例えばJR東日本が最近力をいれている「エキナカ」事業は、主に20代~30代の現役世代を対象としているものであるいっぽう、従来のように、単に駅を移動のための中継地ではなく、ショッピングのためのスペースとして提供することで益の拡大を狙っているわけですから、アンゾフのマトリックスでいう「新製品開発戦略」に該当する、ということになります。
「エキナカ」というくくりだけだと既存の戦略を後追いしただけになるので、少しひねりを加えてみます。例えば山手線内で電子書籍をダウンロードできるサービスを考えたりすることもできますね。
つぎは「市場浸透戦略」。ここは既存顧客への既存サービスの提供なので、何も工夫の余地がないように見えますが、頭をやわらかくすると、アイデアは出てきます。例えば「深夜の時間帯に割増運賃で列車を運行する」という案は、今まで終電で帰れなかった乗客を取り込むことができそうです。
ちなみに、こういうアイデアを考えるときにタブーなのが「失敗しそう・・・」という発想です。JR東日本の社員の方なら真剣に戦略を練るべきところかも知れませんが、そうではない方がニュースを見て頭の体操をする程度のつもりで考えたときには、どんどん柔軟なアイデアを出してみたほうが、楽しめるのではないかと思います。
失敗は成功の母、と言います。こういうニュースを題材に沢山失敗をしておけば、いつかビジネスの場で大成功の種を、つかめるかも知れません。
残りのひとつ「多角化戦略」。あなたならどんなアイデアを出しますか?