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「あのチャリティー番組」の存在意義を数字の面から考えてみた。
公認会計士まーやんの「ロジカるつぼ」
「あのチャリティー番組」の存在意義を数字の面から考えてみた。
ベルギービールをこよなく愛する公認会計士。座右の銘は「できるときに、できることを、できるだけ」。
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こんにちは。今回もお読みいただきありがとうございます。
この記事を書いているのは8月24日。子供の頃の僕なら、とっても憂鬱な時期です。
あっという間に夏休みも終わり、、、あと1週間もしたら学校に行かなきゃ行けないのか・・・。
そういう心理状況になる時期に、毎年放送されるテレビ番組が「24時間テレビ 愛は地球を救う」です。
- 障がいを抱えた人たちが懸命に何かに取り組んだり
- 24時間かけて有名な芸能人がそこそこの長距離を走ったり
- 絆・命・精一杯生きる事...などを題材にしたドラマがさし込まれたり
- サライを唄ったり
非常に多様なコンテンツを夜通し展開しながら、日本中から募金を集める。
それがこの番組の趣旨だと言われています。
この番組に対するイメージは人によって様々なようです。肯定的な意見としては「障がいを持つ人ですらこんなに頑張っているんだから、健常者の僕も頑張らなくちゃ!」「寛平さん、本当にすごかった!(古い・・・)」というようなものだったりする訳ですが、否定的な意見もあります。
- 「障がいを売り物にする」のはいかがなものか
- マラソンって意味あるの?どうせ終了間際に着くように時間調整しているんでしょ?
- チャリティー番組と謳いながら、実は出演者にはギャラが出てるんだよね?
- 普通のCMも流れているし、結局は日本テレビは儲かっているんでしょ?
こういった批判の中には真偽を確かめないまま放たれているものも多いと思います。出演者にギャラが払われているかどうかは、正直確かめる方法がありませんが、CMが流れている以上、日本テレビに広告収入が入っている事はおそらく間違いないでしょうし、その広告収入が制作費に充てられる訳ですから、その中にメインパーソナリティや24時間マラソンランナーへのギャラが入っている可能性は十分にあります。
が、だからといってこの番組を「単なる営利目的の番組」と片付けるのは乱暴ではないか?というのが僕の見解です。
企業のCSR活動の多くは、企業が得た利益を還元する行為ですから、前提として事業が軌道にしっかり乗っているということが、まずある訳です。24時間テレビの場合、日本テレビが寄付をする訳ではなく、募金を集めるという行為をしているので、単に利益を還元するということとは性質が異なります。が、仮にこの番組が完全な無広告、かつノーギャラで行われていたら、この番組は36年も続くはずもなく、ひいては視聴者の善意をどこかに届ける事も出来ない、ということになります。
いっぽうで、スポンサーからお金をもらってやる以上、チャリティー番組として一定以上の成果を挙げなければ意味がない、という考え方も出来ます。例えばスポンサーから得た収入100に対して、募金額が80しか集まらなかった場合・・・スポンサーが直接寄付をして、その様子をCMやHPに載せるほうがチャリティーとしての成果も高く、同時にスポンサーの企業イメージも向上するかも知れません。
100の広告収入を得たとしたら、それを上回る金額の募金を行ってこそ、この番組はスポンサーにとっても広告料の出しがいのある番組という事になり、同時により多くのお金を何かに役立てることができるということになります。
今回は「広告収入」と「募金額」を比較する事により、24時間テレビの存在意義をロジカルに考えてみたいと思います。
日本テレビホールディングスでは毎四半期ごとに決算の概況を公開しています。2014年3月期の売上高のうち、CM収入に該当するのは「タイム収入」と「スポット収入」の2つです。参考資料(リンク)によると、1年間のCM収入は
タイム収入・・・・1,124.48億円
スポット収入・・・1,088.13億円
合計・・・2,211.61億円
という事になります。すごいですね〜。
24時間テレビは、当然ながら、1年間のうち「まる1日」を使った番組ですから、この金額を365で割った「6.06億円」が、1日の広告収入である、と試算できます。もちろん土日のゴールデンタイムをまたぐ番組ですから、実際にはもう少し多額の広告収入が入っている可能性はありますが、試算値としてこの数字を使う事にしましょう。
さあ、一方で募金額はどれくらいあるでしょうか?こちらも日本テレビのグループ会社で金額が公表されていました(リンク)ので、そちらを見てみましょう。先ほどと同じ、2014年3月期における24時間テレビは、2013年8月二放映された訳ですが、その時の募金額は、15.45億円。広告収入を100%とすると、実に255%の募金額が集まっている計算になります。
スポンサーから得た広告を番組に活用し、より多くの募金を得る事で、社会により大きな役立ちを与えている・・・金額から見ればそういう判断をする事が出来るでしょう(もちろん、厳密には最終的にこの募金額が何にどう使われたかを追跡しなければなりませんが)。
日本では(あるいは海外でもそうかも知れません)、チャリティーや慈善という活動に対して、何の根拠もなくそれを賛美したり、反対に、何の根拠もなくその活動を偽善呼ばわりすることが多いなぁ、と感じます(最近ブームになっているIce Bucket Challengeも似たような事が言えます)。
感情的に何かを断じる前に、こういった数字のチカラを借りるだけで、その活動が本当に意味を持つものなのか??ということを、ロジカルに考えられるようになります。
さあ、今年の24時間テレビではどれくらいの募金額が集まるのか。注目してみたいと思います。