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【書評】あえて少年時代に読んだあの本を評してみる。

【書評】あえて少年時代に読んだあの本を評してみる。

眞山 徳人

ベルギービールをこよなく愛する公認会計士。座右の銘は「できるときに、できることを、できるだけ」。

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こんにちは。今日もお読みいただきありがとうございます。

 

さて、秋真っ盛りになりました。

読書の秋ということで、色々な本を読まれている方も多いと思います。特に誠ブログの読者さんはビジネスパーソンとして現場の最前線にいらっしゃる方も多いでしょうから、読まれる本の多くは、ビジネス書などの「大人の本」だと思うのですが・・・今回はあえて、少年時代に読んだ「児童書」をオススメしたいと思います。

 

児童書だからと言って馬鹿にすることなかれ。この本、本当に凄いんです。

 

発刊されたのは1988年。「平成」が始まって間もない頃です。私(昭和56年生)と同世代の男性なら「おおっ・・・!」と思うはず。

 

当時の児童文学の中でも圧倒的な人気のあった「ズッコケ三人組」シリーズの中の一作。当時僕はこのシリーズの大ファンで、当時発刊されていたものは全て読破するほどのヘビーユーザー(?)だったのですが、とりわけこの「うわさの~」が大好きで、擦り切れるほど読んだことを良く覚えています。

 

ストーリーの流れをネタバレにならない程度に書くと、

  • 主人公の「ハチベエ」「ハカセ」「モーちゃん」が、地元の港の釣り客を相手にお弁当などを売るビジネスを考え付き、クラスメイトから資本金を募って株式会社を設立する。
  • はじめは順調に事業を進めていた3人だが、途中で大きな危機に直面する
  • その打開策を授けてくれたのは、意外な人だった・・・

・・・というところです。

 

児童文学なので非常に平易な日本語で書かれていることは言うまでもありません。

が、それと同時に、この作品は、思い切って言えば「ビジネス小説」としての側面もあるわけです。事業を思いつく、資金を募る、経営が傾きかける・・・そしてV字回復でハッピーエンド・・・。

内容が簡単であるだけに侮ってしまいがちですが、ビジネスのエッセンス(例えば、損益はどうやって計算するのか、顧客ニーズをいかに戦略に反映するのか、購買単価をいかに切り下げるか、在庫を抱えるとどういうことになるのか・・・など)がしっかりと盛り込まれており、大人がビジネス小説として読んだとしても、かなり楽しめる一冊になっています。

 

注意すべき点としては、古い作品であるがゆえに、現時点での企業法の体系とは異なる条件で説明が加わっていたりします(もっとも、彼らも株式会社を正式に設立したわけではありませんし、影響は非常に些細です)。

 

個人的な思いを述べさせてもらうと、実はこの本は僕が作家を志すにあたって、大きな影響を与えた本のうちの一つでもあります。4月に出した本も、平易で、かつ、ビジネスの要諦を説明できるように配慮したつもりですが、その際にイメージしていたのは「ズッコケのあの本と同じくらい易しく書く」ということだったりしました。

 

ちなみに、このズッコケ三人組シリーズ、今は「大人版」も発刊されています。リンクはウィキペディア

 

久しぶりにあの三人組に会いたくなった方、私の記事をみて「本当にビジネス小説として成り立ってるの?」と首をかしげた方。

ぜひ、手にとって見てください。損はしません。