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電子化がコンテキストの生成につながるということ

電子化がコンテキストの生成につながるということ

猪口 真

広告制作会社、人材開発コンサルティング会社を経て、2004年株式会社パトス設立。現在同社代表 マーケティング・コンサルタント。

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佐々木俊尚さんの『電子書籍の衝撃』を遅ればせながら昨日読んだ。

その中でのひとつの論旨が「電子書籍化がソーシャルメディアによってコンテキストの生成につながる」ということだった。

TwitterやSNSによって、これまで共有されることのなかったコンテンツの持つ背景や意味、教養が共有され、これまでコンテクストの欠落によって支持されなかったものが改めて支持評価されるようになることはとてもすばらしいし、そんな社会になればいいと思う。

かつてアマゾンのジェフ・ベゾスは「パソコンや携帯電話、PDAのようなネットワークツールが普及するにつれて、我々は『情報のつまみぐい』に慣れてしまい、注意が散漫になっている。我々は、長時間集中して本を読むことから離れつつある」(日経トレンディネット)

と語ったこともあり、あわせて「キンドルがそういう情報のつまみぐいを防ぐ」としていた。

この背景には、情報に触れる機会が増えたことで情報のつまみぐいを助長したということであるが、はたしてTwitterやSNSは、情報のつまみぐいなしに、コンテキストの生成につながるのか。

読み手としても書き手としても情報リテラシーの能力を伸ばさないと、つまみぐいだけに終わってしまうぞという自分自身への反省を深く感じた。

企業でも似たようなことは起きている。

どの企業も情報の共有化やコミュニケーションには躍起になっていて、社内SNSやブログ、あるいは、形式だけのミーティングや研修などを形として導入し、企業の持つコンテキストを深く共有させようとしている。

しかしながら実態としてよく聞くのは、上層部からの「伝えたつもり」、一般社員からの「聞いたような気がする」という声ばかりだ。

マーケティング戦略とはある側面「コミュニケーション手法」の選択でもあるわけで、それがつまみぐいに終わっては何も残らない。

「つまみぐい」ではなく「コンテキスト」に。肝に銘じよう。