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AKB48のプロモーションから見るソーシャルメディア時代の2つの共有

»2012年1月17日
mushatter武士道ブログ

AKB48のプロモーションから見るソーシャルメディア時代の2つの共有

武者 慶佑

1982年生まれ 宮城県仙台市出身 株式会社シェアコト / サブカルプランナー 一般企業のプロモーションとアニメを掛け合わせた企画を専門で作っています。 過去実施クライアント様 ドコモ様、ローソン様、マイクロソフト様、GMOインターネット様、など大手企業様の企画を中心に企画を実施。 アニメ活用マーケティングを数字とフレームワーク理解するNED(TEDのパクリ)なども実施。

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AKB48.jpg

■AKB48に潜むソーシャル性

AKB商法という言葉はもうマーケター、プランナーの皆さんにとっては聞き飽きていて、むしろマイナスなイメージかもしれません。 
 
調べてみると、AKB商法とは、
 ひとつの商品に異なる特典を用意したり、特典をランダムに封入したり、複数購入を
 イベント参加の条件とするなど、ファンに商品を大量に購入するように煽る商法のこと。
 
「煽る」の時点でかなりマイナスですね。
 
とは言え、この商法が与えた経済効果は数百億とも言われ、今ではAKBタイアップのプロモーション=AKB商法が付いているようにすら感じてしまいます。
 
今回はあえてAKB商法ではない企画の事例をあげたいと思います。
 
というのも、ソーシャルビジネスが浸透している昨今、AKB48には「共有」というソーシャル時代の大切なヒントが含まれている非常に優良なコンテンツだと考えるからです。 
 
AKB48をプロモーションに取り込む上での「共有」には大きく2つの企画の方向性あると思います。 


■AKB48の人数と「結果の共有」

一つ目は組み合わせのパターンを活用した企画。
 
AKB48はメンバーが48人(チーム4を足すと63人、研究性を足すと99人、SKE~JKTも入れると210人)いるので、人数の多さを活用して企画を考えることができます。 
 
顕著な例は「アイスの実」でしょう。昨年、江口愛実という研究性メンバーが突如センターとCMを飾るということで話題になった、戦略的な長期ティザープロモーションです。
 
この江口愛実はネタバレすると、メンバーの顔パーツの「いいとこ取り」をしたCGアイドルでした。(江口愛実=江崎グリコアイスの実) 

 


この企画は、AKB48の人数の多さを使ったプロモーションとしては実に秀悦です。
 
さらにはネタバレ後オープンしたアイスの実の本サイトではサイト内で全メンバーの顔パーツを使ってモンタージュを作り、ソーシャルに掲出することができました。

 
これが、なかなか江口愛実のようにはいかない。ブサイクになってしまう... 
それが面白くてソーシャルメディアユーザーはAKBファンでなくとも、遊びたくなる。

Facebookユーザーの方ならば診断アプリを一度はおこなったことがあると思います。
いくつかの質問答えると診断結果が画像として現れ、Facebookのウォールに投稿することができるというものです。

このような数のパターンが作れるコンテンツは、ソーシャル上の心理として「自分はどうなるか?」という気持ちを駆り立てる力があるのではないでしょうか?
 
たくさんの人数がいるからこそ様々な組み合わせができ、ソーシャル上のユーザーは自分なりの組み合わせを作り、誰かに「共有したい」という欲求を生み、結果としてソーシャルグラフが大きく動きます。
  
AKB48の"数の必然性"を使い、「結果の共有」からソーシャルを賑わした企画です。


■AKB48の個性と「イメージの共有」

もう一つの「共有」はAKB48の個性を活用した企画です。 
 
人数もいれは個性も様々。 この個性を上手く活用し、ソーシャル上での「共有」を生み出す。そんな企画の方向性があります。
 
これはメンバーの一人である峯岸みなみが、悪いことだとは知らず、フライングゲットのPVなどAKBのシングルを自分の顔に合成で書き換えてしまい、謝罪会見を開くというものです。
 
さらに秀悦なところはメンバーの個性をしっかりと活用している部分です。峯岸みなみは決して売れていないメンバーではありませんが、前田敦子や大島優子、篠田麻里子のように第一線活躍する、いわゆる"神7"ではありません。

どちらかというと1.5列目で選挙では15位前後です。
だからこそ、このプロモーションで行ったような、合成して自分が中心になるPVを作っちゃうことは"ありえる"わけです。

それが故に、"峯岸みなみならばやりそうww"という「イメージ共有」が起こり、実際に作られた峯岸バージョンのフライングゲットのPVにもストーリーが生まれ、ソーシャル上のユーザーは「マジでウケるから見てみ!」というネタ心理でソーシャルグラフを動かしたと考えます。

 





■共有の場を考える

これら「結果の共有」「イメージの共有」という2つの共有はソーシャルとの相性が良いのは確かですが、広がるソーシャルメディアは違うのではないかと考えます。

前者は結果の画像が面白い部分ですので、画像もひと目で共有できるFacebookの方が良いと思います。

一方で「イメージの共有」はネタ性やニュース性が強いため、テキストで広く伝播するTwitterとの相性が良いプロモーションと考えます。

(メディアの使い分けは以前のブログ「逆算から拡散の空間」もご参照下さい)


AKB48のキーである「数」「個性」はソーシャルでの「結果」と「イメージ」の共有を産みやすいのではないでしょうか。
2012年も、引き続きAKB48が活用される場面はたくさんあると思いますが、このようなAKB特性をしっかりと含み、ただ使うだけじゃないプロモーション企画、"新AKB商法"に期待したいと思います。

僕も引き続きAKB&企画研究しますけどねー