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初任給から始まる不幸 ~サラリーマンに会社の本質は見えにくい~

初任給から始まる不幸 ~サラリーマンに会社の本質は見えにくい~

永松 和洋

ポスドク&非常勤講師生活を経て、私立大学の教育・研究職に従事する一方でポスドク時代に不動産投資を開始。職場の行き帰りの生活だけでは極めて危ういことを知るに至り、現在は会社・社会・国に過度に依存しない生き方を少しずつ実践中。

当ブログ「理系博士研究者の一人が考えるビジネスマインドと実践例」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/nagamatsu/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


初任給から始まる不幸 ~サラリーマンに会社の本質は見えにくい~

・前置きです。
ポスドクの人間にとっては、就職氷河期は今に始まったわけではなく、っと続いたままです。ならば、学部を卒業して、大学院(修士課程2年、博士後期課程3年)になんて、学しなければいいじゃないかって、言われそうですが、れでも行く人は行きます(笑)。

好きなことを仕事にできるってすばらしいことなので、ある意味、夢を追いかけているという面があるかと思います。

もちろん、就職がないといっても、ゼロではありません。公募というものがあり、定員1人のところに、50人とか100人とかが応募してくるわけです。

それを通らないと、大学の教員や研究機関の一員にはなれません。更に、任期付のポスト(2年から5年程度)も多いので、任期が終われば、放り出されます。

サラリーマンも、会社にリストラされる、会社が倒産するという恐さは、常につきまとっているかもしれません。いつ来るかわからないという心配がありますが、その点、もしかしたら、ポスドクの任期付の方が、初めから明らかになっている分、よいのかもしれないという見方もできます。

いずれにしても、うまくいっているうちに、次の一手を考えたいものです。会社に組織に完全に人生を委ねてしまう前に。

ポスドクについての考えは、「ポスドクのいくつく先」というタイトルで以前に書かせていただきました。

・本題です。

これは、以前から疑問に思っていることです。新入社員として会社に入って、 すぐに給料がもらえるというのは全くおかしな話だと思います。新入社員は、平たく言えば、創業者なり、経営者が苦心して作り出した金儲けの仕方を教えていただく、その輪の中に入れていただく立場にいるわけで、中には即戦力としてすぐに仕事をばりばりできる方もいると思いますが、そうでない方が多いと思われます。

教えてもらう身分なのに、いきなり給料がもらえるってどういうことなのでしょうか?確かに景気を良くしていた時代には、良い人材を早々に確保すべく、当たり前のことだったかもしれませんが、これからは違うような気がしています。

なんとなく会社で時間を過ごして、収益を生み出している、いないにかかわらず、一律給料がもらえてしまう事実こそ、

会社にしがみついていれば、とりあえず、給料がもらえるという幻想、錯覚を与えてしまうことになるのではないでしょうか。

なので、自分でしっかりと、結果を出す(商品・サービスを提供して代金をいただく、もしくはその輪の中の一員となる)ようになれるまでは、給料がゼロか、むしろ、会社へ授業料を払ってもいい んじゃないでしょうか。

情報の取り方って、無料か、自分がお金を払うかによって、目の色が全くかわりますよね。

高校や大学へ行って習うことよりも、すぐに役立つことを会社は教えてくれるわけです。高校や大学には平気で学費を払っているわけですから、それ以上に役に立つことを教えてくれる会社に支払っても何ら不思議はないです。

医者や弁護士、フランチャイジーになろうと思ったら、その前段階が大変なわけで、当然、時間も費用も多くかかります。

本来ビジネスにおいて、結果が出なかった場合、どんなに頑張ったとしても1円にもならない。なのに、サラリーマンをしていると、結果がでなくても、給料がもらえてしまう。

不動産の仲介業者を見ていると、大変な仕事だといつも思います。確かに一発当たると大きいかもしれませんが、基本的には、0か1の商売ですね。どんなに色々動いて頑張ったとしても、売買成立まで辿りつかなければ、本当に1円にもならないわけです。

野球でピッチャーゴロを打って、一塁まで全力疾走したんだから、給料をもらえてしかるべき という考えをまず捨てなければいけないかもしれません。

また、たとえ自分がヒットで塁に出たとしても、後続のバッターが、自分をホームに帰してくれなければ(ホームスチールという手段もあるにはありますが)、点(結果)にはならないわけです。

そう思うと、会社って本当にありがたいですね

自分がうまくいかない時や休んでいる時でも会社がカバーしてくれますし、更に、直接、結果に絡んでいない立場にいたとしても、
しっかり給料がもらえるわけで、そこがサラリーマンには見えにくいし、会社全体の中での自分の立ち位置というのも大企業になればなるほど、見えにくいのだと思います。

社長にならなくても会社全体を見渡せる、会社の仕組みがよくわかるという意味では、中小零細企業、ベンチャー企業の方が圧倒的によいように思います。

給料を上げてほしいと経営者に言ったとしますよね。これは、八百屋さんが、お客さんに向かって、うちの大根を100円じゃなくて、200円で買ってよ!と言っているのと同じだと思ったりもします。

サラリーマンは、労働力の 対価として、給料を受け取るわけで、会社に時間と労働を売っていることになるので、とりあえず、会社に 「毎度ありがとうございます」と言うところから始まるように思います。

飲みに行って、会社や上司の悪口を言っても始まりませんね。いやなら、他の会社へ行けばいいだけの話だと思います。私はいつも感謝でいっぱいです。

本来、会社が存続できる理由って、収益を生み出す仕組みを作り出す過程で、多くの失敗があり、その中から、うまくいったものがあるからこそ、存続できるわけで、商売がうまくまわっている輪(会社)の中にいきなり入ってしまうと、それが当たり前だとおもってしまうわけです。

その仕組みなりノウハウの賞味期限がどんどん短くなってしまっているというのが現状であり、同じことをやっていて、儲けられる時代ではなくなってきているということですよね。なので、個人レベルでも、次の儲かる仕組みを考えていくという姿勢が大切なんだと思います。会社にしがみついていられるうちに。

既存の会社に就職するという行為は、楽をして所得を得ようという行為であり、その裏には、経営者の多くの失敗があり、その上に会社が成り立っているということを知る必要があると思います。