誠ブログは2015年4月6日に「オルタナティブ・ブログ」になりました。
各ブロガーの新規エントリーは「オルタナティブ・ブログ」でご覧ください。

信用してますってのは、裏切られたら泣き寝入るということ

信用してますってのは、裏切られたら泣き寝入るということ

島田 徹

株式会社プラムザ 代表取締役社長。システムコンサルタント。1998年に28歳で起業し、現在も現役のシステムエンジニア、コンサルトとして、ものづくりの第一線で活躍しつつ、開発現場のチームとそのリーダーのあり方を研究し続けている。

当ブログ「そろそろ脳内ビジネスの話をしようか」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/noubiz/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。



ある有名ベンチャー起業家と、大物デザイナーの間の金銭トラブルが取り沙汰されていますね。

どうも、口約束でロゴ制作の仕事を依頼して、デザイナーがそれを納品したにもかかわらず、起業家の方が対価の支払いを拒否したとのこと。

ちょっとイメージと違った。結局使ってないし。

と言う理由。

というか、実際のところは「冷静に考えて、ロゴに50万は高くね?」って思えてきたのだと思いますね。

よくある話です。

ただ普通はここで、制作者側から延々と請求書を送り続けるとか、内容証明打つとか、少額訴訟に打って出るとかの静かな戦争に発展していくわけですが(債務不履行は発注者側だけなので)、お互いにある程度のステータスのある方で、かつtwitterなどであけすけに情報公開しちゃうような人だと、プロレス的な展開になっていきますね。

みなさん楽しんでいるようです。私もこうしてブログネタにしているので、ありがたいといいますか、すみませんといいますか。。

で、今回あまり深くは踏み込みません。前にStudyGiftの時には炎上したので。。

良く知らないことを書くと「勉強してから書きましょうね」とか言われてしまいます(笑)

知らねっちゅうの。こっちは本業で忙しくて取材なんかしてないし、その義務もないし、しなきゃ思ったことを書いちゃいけないのかっていう。。

まあいいや。

ただ、はてブやtwitterのコメントの中に、「契約書を取り交わさないのが悪い。それは制作者側に責任がある。」みたいな主張が散見されたのが気になりましたので、その辺だけ。

これは至極ごもっともなのですが、デザイン仕事でも開発仕事でも「ノリ」というのがあります。

私などの業界でも居酒屋で話をしながら、

「・・・このアイディア、いいよねー」
「やるw?」
「やっちゃうww?」
「じゃあ、うちこれやるわwww」
「うちはじゃあここまでやるわwwww」

みたいな感じで決まる仕事というのがあります。

ここで、「じゃあ契約書を結ぼうか」なんて言ったらどんびきなわけです。

なぜかというと契約書というのは相手を信用していないということになるからです。

「おれを信用してねぇのかよ。たったこれっぽっちの金(額の仕事)で逃げも隠れもするわけないだろ!」

となります。最悪は、「あんた、つまんないやつだな、、、今の話、なかったことにしよう」って展開になります。

とは言っても、やっぱり大金になってくればくるほど、不安になるものだと思いますね。

では、どういう時に契約書を結ばないでいいのでしょうか?

それは、たとえば発注者側であれば、「出来あがってきた成果物が思ったのと違った。修正依頼を何度かお願いしてみたが、思った通りのものにならなかった。」そんな最悪のシチュエーションであっても、「どうもありがとうね」と全額お金を支払う覚悟があるときです。

逆に制作側としては「成果物を納めたのに、支払が一切ない」というときに、「おいおい、どうなってる?」と1回くらいメールか電話くらいはするとしても、それでも支払われなければ「あんなふざけたヤツからは金もらわなくていいわ!」と忘れられる場合です。

そうでない限り、すなわち、きちんと怒ってケンカして、最悪、訴訟になるくらいまであるような場合は、契約書を交わすべきでしょうね。

つまり、契約書無しで仕事をしようという場合は取引の相手方にもその覚悟を求めてしまうので、ちょっとでも気になったら、「私は契約書はいらないと思うけど、どうする?一応簡単に書類取り交わしておく?それかメールでもいいけど。」などと聞いておくのが相手への配慮というものです。

「いや、私もいいですわ。信用してますし。」

となれば契約書は無し。そのかわり二人は一蓮托生。お互い向かい合ってゴム咥えて、10m離れる感じです。

信用してますってのは、裏切られたら泣き寝入るって宣言です。


私は、起業したばかりの頃は、契約書をしっかり結んでいました。とにかくすべてが怖かったので。それが次第に契約書無しで済ませるようになり、ここ数年では再びしっかり結ぶようになってきました。

社員が増えて、組織が出来上がってくると社長の一存で「この客は頭に来たので、お金を回収しなくてもいい!」なんて言えないからです。

給与生活をしている他の社員は、「そう言えたらどんなに楽か」と思っちゃいますからね。

にんともかんとも