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ストック型とフロー型の収益モデル

ストック型とフロー型の収益モデル

島田 徹

株式会社プラムザ 代表取締役社長。システムコンサルタント。1998年に28歳で起業し、現在も現役のシステムエンジニア、コンサルトとして、ものづくりの第一線で活躍しつつ、開発現場のチームとそのリーダーのあり方を研究し続けている。

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「ストック型ビジネスモデルを考えなければならない」と人は言う。

ストック型ビジネスモデルとは、たとえばFacebook(広告料収入)やDropBox(従量制利用料収入)のように、初期投資は行うものの、いったん仕組みが出来てしまえばその後の運用コストはほぼかけずに、顧客の数に応じて比例的に安定収益を得られるモデルだ。

一方フロー型ビジネスモデルとは、たとえば飲食店やクリーニング屋のように常に手を動かしていないと食べていけなくなるビジネスのことだ。私たち受託開発業もこちらに含まれる。

一般に、フロー型ビジネスは始めやすいし小銭は稼げるが、大儲けは出来ず、いつまで経っても楽にならず、収入が不安定だとされる。なので、ストック型のビジネスモデルで起業したがる人が多いし、起業指南のビジネス書などでもはじめはフロー型で始めて、いつかのタイミングでストック型にシフトしていくのがよいとされる。

Googleで「ストック型ビジネス」で検索すると、このありさまだ。


おお、これはやばい。十何年もフロー型でやってる場合じゃない。

しかし私も何年も考えてきて何度もストック型の事業を起こそうとしたが、これはおそらく間違いだと思う。

以前の私も含め、多くの人がこのストック型ビジネスと称して、大した差別化も図れていなくてかつお金にもならないサービスを立ち上げようとする。

趣味や広告宣伝のためにやるならいいが、「ビジネスの安定収益を確保するために」自社サービスを始めるのは止めた方がいい。

受託開発は、確かにフロー型ビジネスで次々仕事を取っていかないと倒れる自転車操業的なモデルだ。

しかし、これとストック型ビジネスの自社サービスを比較したとき、どちらが安定しているかは考えものだ。

ちょうど昨日、私がもう10年くらいお世話になっている大手SIerの方からこんな電話が来た。

「島田さんのとこ、こんなのできるって前言ってたよねー。やってくれない?」

と。

心の中で(すみません、SIerのことブログでボロクソ書いてしまってますが、御社のことは大好きです。ありがとうございます!)と思ったが、最後の「ありがとうございます!」だけ爽やかに伝えておいた。

いや、安定収益というのであれば、これこそが安定だ。特に営業をしかけなくても、蓄積した信用によってお仕事が入ってくるモデル。

確かに手を動かさなければならないが、経営という視点で考えればそれは人員を増やし仕事を任せることで回避できる。雇用も作れて社会貢献にもつながる。

ストック型ビジネスモデルは、薄く広い客層を得ようとするわけだが、彼らは確かにドカッと来てくれるかもしれないが逃げるのも早い。これは非常に不安定だ。

ストック型などと言いながら、多くの場合出だしでまったく客がつかないし、多少客がついても1年後誰も残らないということが起きえる。

そして「客が多少ついている」サービスほど厄介な存在は無い。止めるに止められないという状況になり、経営上の大きな負担になる。

だから、「フロー型からストック型へと転換するのが理想の形」というのは、一概には言えない。


ただし。

ニッチな事業は別だ。外部から、うまくやっていることがうかがいしれないようなニッチな事業の自社サービスというのはディープなファンがつきやすく、一度始めると逃げられにくい。

さらに言うと

「スタートアップの原資はお金や労力ではなくノウハウ」

こんなビジネスなら最高だ。

ストック型も目指してよいだろう。

というかやる予定なんだが、新しい社長がなかなか稼働できていない。