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起業する動機
»2012年11月28日
そろそろ脳内ビジネスの話をしようか
起業する動機
株式会社プラムザ 代表取締役社長。システムコンサルタント。1998年に28歳で起業し、現在も現役のシステムエンジニア、コンサルトとして、ものづくりの第一線で活躍しつつ、開発現場のチームとそのリーダーのあり方を研究し続けている。
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昨日、何気なく夜のニュース番組を見ていたら、今起業する若者が増えているとかいう特集をやっていた。
早稲田のインキュベーション推進室の紹介とか。
ふむふむ、ここで元気にやっている社長も知ってる。
最近では、このように大学でも起業を支援しようとしてるし、公的なインキュベーションオフィスやらコワーキングスペースとか電源タップのあるコーヒーショップとか公衆無線LANとか、さまざまなインフラが整った。
私が起業した前世紀末はそういうのはほとんどなくて、かといってオフィスを借りるようなお金も無く、ちょっと大きめの会社の社長にお願いしてオフィススペースの一部を間借りしたものだ。
まあそれはそれでとても勉強になったが。
で、話を元に戻すと、確かに最近、起業を目指す若者は多くなったと思う。
私の周りにもたくさんいる。というか、入社を希望してくる人も半分くらいは面接で独立を目指していることを公言するし、社員の中にも何人か居る。
それは全然構わない。
だいたい実力があるのにわざわざ小さい会社に来るメリットって、まあそれくらいしかない。いや、それくらいしかないことはないけど。
ただ昨日、番組を見ていてちょっと思ったのは、TV局の認識がかなり古臭いなあ、ということだ。どうも10年くらい前のITバブルチックな筋書きで番組が構成されててかなり気になる。
たとえば、すでに起業している若き社長にインタビューして
- やりたいことをやるために起業した
- 仕事って何かを見つめ直したら起業だった
- ジョブズを目指してますが、とりあえずの目標は村上さん
こんな話を引き出してくる。
それで
「夢があっていいですよねー」
みたいな締めだ。
たぶん彼らの話の本質はそこじゃなく、もっといろいろ話しているはずだが、局の考えた筋書きに合う部分だけを切り取って集めたのではないだろうか。
少なくとも私の周りでこんなことを言ってる社長は一人も居ない。
まあ私の周りにはあんまり派手好きな社長は集まってこないというのもあるのだが、とりあえず普通に事業が回っている会社の社長はいずれも、
- 別に起業したくて起業したんじゃない
- 会社を作った方が営業がやりやすかった
- 信用が出来て社員が雇いやすいと思った
などと言う。
- 親がニートじゃないかと心配したから
- クレジットカードが作れなかったから
なんていう切実な話もある。いや、こんなの、ごく普通だ。
確かに起業において、なんらかの崇高な目的意識は必要かも知れない。
しかし、それが「自分がやりたいことをやるため」とか「起業こそが仕事だから」とか「目標はジョブズのような成功」なんていう意識で、どうしてその会社に価値が生まれるだろうか。
まず真っ先に「世の役に立ちたい」という動機がなければ、決して事業は成り立たない。
起業は夢の実現じゃない。
ただ社会に価値を提供するための手段だ。
これはサラリーマンでもフリーランスでも本質は同じなんだが、想像でこれを理解するのはなかなか難しい。
「いろいろ考えたが、自分のパフォーマンスを最大限発揮できそうなのが起業だった。」
「今は大企業に勤めても安心できない。会社が潰れたりリストラに遭ったら生きていけない。安定を求めて起業した。」
こんな発言をする人を引っ張り出してくれば、「お、TV局もやっとわかってきたか?」と思うのだが。
起業する若者が増えてきて、それを支援する環境が整っても、縁のない人の意識というのはほとんど変わっていないなー、と感じた。