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インフルエンザになった

インフルエンザになった

島田 徹

株式会社プラムザ 代表取締役社長。システムコンサルタント。1998年に28歳で起業し、現在も現役のシステムエンジニア、コンサルトとして、ものづくりの第一線で活躍しつつ、開発現場のチームとそのリーダーのあり方を研究し続けている。

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お陰様で現在6連休目に突入しておりまして、お客様や関係各部署に多大なご迷惑をおかけしております。

で、一刻も早く遅れを取り戻さなくてはいけない訳ですが、この病気の間に抱えた不満というのは、治るとあっという間に忘れてしまうので、熱の冷めないうちに、いや熱が下がった直後のこの瞬間にこそ、素早く書いておかねばならないと思い、お客様の寝静まった深夜に筆を取った次第です。

病み上がりでかつ熱がこもりすぎ、少々乱筆&お言葉が過ぎるきらいもございますが、なにとぞご容赦くださいませ。

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インフルエンザといえば、みなさんご存知の薬はタミフルでしょう。

しかし、そんな薬はいまどき未就学児しか飲んでないようです。物心ついた小学生以上からは、イナビルという吸入薬がナウなようです。

で、私の場合というか我が家の場合、まず先週土曜日に次女がインフルエンザと診断され、タミフルなど飲み始め、「これはビッグウェーヴくるかもー」と思っていたら、案の定その翌日に長女が陽性診断され、イナビルを処方され、私もいよいよ全身が痛く、熱も36.5度とかになってきたわけです。

36.5度とか、間違いでしょ?と思われるかも知れませんが、私の平熱は普段35.5度くらいで、下手すると34.9度とかをマークするような爬虫類並の低体温体質なのです。なので36.5度とか言うと結構な高熱なのですが、まあ家族のみんなからも大したことないと見られますし、問診票を見た看護士さんからも「熱はないのねー」などと言われます。

おいちょっと待て。

といつも思うわけです。

なぜこの問診票には平熱を書く欄が無いのか。
解熱剤を飲む目安とかも「38.5度くらいを過ぎたら」と言われたりしますが、平熱無視かよ。低体温者差別かよ。

などと、言えるはずもなく、「ははは、そうっすねー」などと笑ってみせるわけです。

まあ実際、普通の人で言う37.5度くらいの感じですから、「ちょっと高い」くらいなので、座ってることもできますし、話すのも普通です。ちょっとわざと「ハァハァ」言ってみせたりしますが、マスクしてますし何も伝わりませんね。

その後何十分か待たされて、お医者さんにお目通りが叶い、問診をしてもらって、「じゃあ、お子さん発症してますし検査してみましょう」となります。「当然だよ、早くしろよ」などとは言いません。(実はここで、去年の年末に受けた健康診断の結果についてこんこんとお話が始まるのですが、主旨がぶれるので割愛します。)

ということで、晴れて検査です。早くしろよ。←心の声。

で、ここで、ふたたび、おいちょっと待て、と思います。

検査して、陽性ならいいけど、陰性だとどうなるんだ?

一抹の不安を抱えながら、鼻をぐりぐりされて、しばし待っていると、案の定、結果は陰性。

「お父さんのは、たぶん風邪ですね」

ということで、抗生物質や痰を切るお薬などを処方されて、「お大事に」ということに。

いやいやいや。

「昨日、娘がもらったイナビルいくらするのよ。とりあえず念のため、ちょうだいよ!」

と思っても、そういう対話型の要求を受け入れられるようなフローはそこには存在していません。突然アドリブ効かすほど肝も据わっていません。

しょうがないので、帰って抗生物質飲んで、子供の看病などしていると、夜になってやっと高熱になって来ました。

「やた!38度超えた!普通の人でいう39度だ!これなら明日は妖精さん来てくれるよね!」などとFacebookに書き込みつつ、明日を待つ。

が、この夜は辛かった。

隣でインフルエンザの子供2人が寝ている、というか咳したりうなされたり泣いたり突然ヘラヘラ笑ったりおかしくなってる中、高熱を出し全身が痛く激しく寒気のする状態で寝ているのはかなり辛い。

ちなみに奥さんは発症してない第三子と共に別室へ待避。それは当然の措置でしゃーない。ただこちらは、病人が病人を手当てする野戦病棟のような様相を呈しているわけです。

ほとんど一睡もせず夜を明かします。おかげでAndroidでやっていた回転寿司屋を経営するゲームは一晩で20年くらい経過しました。たぶんみなさんにはこのすごさがわからないと思いますが。

で、朝だ!ということで、再び病院に行きます。

ガーン!雪降ってます。

でも、薬をもらわないと長引くというので、1tくらいになってしまったかと思えるような身体を引き摺って行きます。

で、また待たされます。

あの、検査キットの使い方は子供のをやってもらった時から何度も見てるので、もう分かってます。鼻ぐりぐりやって、突っ込んで待てばいいだけです。

「陽性が出るか出ないかを判断する」というより、こっちは「陽性を出しに行ってる」ので、待合室にあのキットを自販機で買えるようにしておいて欲しいものです。自分でやりますから。鼻水の貸し借り等の不正が無いよう、監視カメラで撮ってもらってても構いません。

出なければ、いつもの問診へ。出たら「おめでとうございます」ということで即イナビル処方で。という分岐をそこに作ってほしいものです。

とにかく、寝てるだけでも辛いところへ来て、あの病院で座って、ケータイとか触っていいのかどうか分からない微妙な雰囲気でただぼーっと待ってる時間というのが一番辛いわけですよ。

それでまあ、そんな自販機などあるはずもないので、普通にまた問診受けて検査やって、めでたく陽性が出ました。

「知っとるわ!」って感じです。


で、雪の中、また歩いて薬局へ。

あの、これも無駄だと思うんですよね。

昔、私が子供の頃は病院が直接薬を売っていて、それはそれで問題があったかも知れないですが、だからといってその解決策が「病人に自由に歩かせること」ですか?と。

どこの薬局に行けば安く買えるかも分からない状態で、かつ身体はヘロヘロな状態で、自由に選択なんて出来ませんよ。病院でちょっと高めで置いてあったら、もういいからそれ買います。

病院内で売ってるところもあると思いますが、調合しなくてもいいような薬は基本的においておいてもらいたいですね。「薬局ではもっと安いかも知れませんが、雪の中、その体調であそこまで歩きますか?」という貼り紙を貼ってもらって。消費者に選択の自由を。


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で、薬局に着くと、またいつもの質問が来ます。

「お薬手帳はお持ちですか?」

「あ、いや、、ないです」

「無料でお作りしますよ」

「いや、、もう何回か作ってもらってますけど、いつも忘れちゃうのでいいです」

「お薬手帳を作ると、他の薬局でお薬を処方された時にもこれまで処方されたお薬の...(45秒くらいの説明)」

彼女の話が終わる頃、私は「うっせーー!」と言いそうになるのを必死でこらえて聞いてるインフルエンザで具合の悪い自分をそこに見つけました。


マジレスするとだな。そのデータを集積するのはグッドアイディアだけど、それを患者に持たせてどうする。

金融業界みたいに、生年月日と名前で業界のデータベースに蓄積すればいいだろう。それで不足なら居住市区町村コードとか健康保険証の下3桁とか一緒に入れておけばいい。

とにかくなんで今「手帳」なんだと。


「...いや、(そういうの、イラっと来るので)いいです(から早く仕事をしてください)...」

と絞り出すように言うと、諦めたように「インフルエンザ特別ブースへ」ということで、パーテーションで隔離された一角に追いやられます。

そこには「3.11の震災でもお薬手帳があったために薬の処方歴が分かったケースがあります!」と、どろどろになったお薬手帳の写真入りポスターが。

いやー、この手帳がどろどろになって見つかったと言うことは、ほとんどの手帳は流されちゃったわけでしょ。

リアルな手帳のダメさ加減がわかるじゃん。データベースは国内と海外の二箇所においてレプリケーションとっておけよ。免許証でも健康保険証でも本人が口頭で言っても処方履歴が参照できるようにすればいいじゃないか。

その程度のシステムなら代々木上原あたりの小さい開発屋でも作れるし。

セキュリティうんぬんうるさい患者は、「患者さんの都合で不使用フラグ」を立てて履歴を受け付けられないようにしておけばいいんだよ。そういう御仁はこのお薬手帳でやっていただく、と。



などと悶々と考えているうちに、めでたくイナビルをゲットできたわけですが、熱が下がってからちょっと調べてみました。

このイナビルという薬、現在はインフルエンザにかかる前の予防適応が申請されているということで。


こういうの、もう一刻も早くして欲しいわけです。

イナビルでなくてもタミフルでも全然構わないのですが(例のタミフル服用後の奇行については、おそらく熱によるものという説が有力なようですし)、もう家族で2人かかっていて、次もう1人が同じような症状が出ているのに処方されないって、普通に考えておかしいと思います。

いや、健康人が会議室で考えれば「それは安全を期してのこと。薬の服用は最低限に。」でいいと思うのですが、病人からしたら寝ているのも辛い中、着替えて歩いてヘロヘロになって行くわけです。

私なんかは、たまたま歩いて数百メートルのところに病院があるからいいものの、30分以上歩くとか、トトロの村みたいにバスに乗らなければ行けない人だっているはずです。

そして病院に着いたら、インフルエンザの可能性がある人達ということで一区画に集められて延々と待たされるのです。病院に来るまではインフルエンザじゃなくてもそんなところに何十分も居たらみんなかかりますって。

まあ、薬品業界も試験研究や開発費の減価償却がどうとか生産計画がどうとか厚労省の官僚さんの接待アポがなかなか取れないとか、いろいろあるのかも知れませんが、是非一度そういった関係者の方々もインフルエンザにかかって、市井の民の身になって政策決定していただきたく思いますね。