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情報と正解はまったく違う

情報と正解はまったく違う

島田 徹

株式会社プラムザ 代表取締役社長。システムコンサルタント。1998年に28歳で起業し、現在も現役のシステムエンジニア、コンサルトとして、ものづくりの第一線で活躍しつつ、開発現場のチームとそのリーダーのあり方を研究し続けている。

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■新しいことを始めるには情報が必要だが...

先日、ある知人(Aさん)と飲んでいたときのことです。(また飲みか。。)

その知人は、これから前例のあまりないことをやろうとしていました。そこでそれに必要な情報を収集したいと、私に相談してきました。

Aさん「何か情報ないですか?それとも誰か情報を持っている人を知っているとか...」

「あー、私はよく知らないけど、確かその関係ならBさんとか知ってるんじゃないですか?」

Aさん「Bさん...。いや、Bさんのことは私も知ってますが、いまいち信用できないんですよねえ。」


Aさんいわく、Bさんが情報を持っていることは認めつつも、人間的にいまいち信用できないので話を聞くのを躊躇すると。

でも、そんなニッチな情報を持ってるのは周りではBさんくらいしかいないし、彼の知識は少なくとも本やWebで仕入れたものではないので、聞いておいて損はないと思うのだけど...

とりあえず、そう言っておいたのですが、その後AさんがBさんに話を聞きに行ったかどうかは聞いてません。



■世の中に「正解」などというのは存在しない

実は、私が常々思っていることがって、このAさんのように、

ある問題には、完全な解があり、その情報は誰かが持っている。
そして、信用できる誰かに聞くのがその解への最短のルートである。

と思っている人がたくさんいます。

いや、一般に仕事ができるといわれている人の半分以上はこうではないでしょうか?

しかし、多くの場合、これではしょうもない結論(常識的な「やっぱりね」的な結論)しか出なくて、新しい何かを開拓しようという時にはまったく役に立たないアプローチです。

Aさんの場合、情報を聞くということはその情報が信用できる必要があり、信用できるということはそのままアクションに繋げられるものであるという前提になっています。

だから信用できない情報に触れることは、間違ったアクションにつながると思い、恐怖を覚えるのだと思います。

実際は、世の中に「正解」などというのは存在していなくて、多くの経験(とりわけ失敗談)を集めて、自分の置かれている境遇にあわせて再構築して、未来の「正解に近いもの」を予測しなくてはいけません。

私が「Bさんに話を聞いたら?」と言ったのは「彼なら正解を知っている」と思ったのではなく、判断の材料のひとつになると思っただけで、そこからアクションに至るまでには大きな作業工程があるのです。

この作業を面倒くさがる人は、未開の地に足を踏み入れるべきタイプではないと思いますね。

未開の地に足を踏み入れるというか、たとえば「原発が爆発した。今、逃げるべきなのかどうか。」などの高度かつ複雑でほとんど前例のない判断においても然りです。



■話を聞くべきではないタイプとは...

ただまあ、私も誰でもかれでも人に会って話を聞くべきではないと思います。時間は有限ですしね。

  • 情報を持っていない
  • 嘘をつく
  • 知らないことを知らないと言わない(知ったかぶりをする)
  • 結論を強制する

こういった人というのは、情報を得て自分の境遇に合わせて再構築して判断するという作業の邪魔になるので会わないほうがよいと思います。

それ以外の人とはガンガン会って情報を集めるべきです。

そして、そんなことよりも一番気にしなければいけないのは、その情報提供者に対してこちらからどんなリターンを感じてもらえるか、なのです。

にも言いましたが、「聞けば教えてくれる」なんていうことは通常ありえないわけですから。