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ベトナムで実際にやっている社長さんに聞いてきた ~海外進出ってどうよ2

ベトナムで実際にやっている社長さんに聞いてきた ~海外進出ってどうよ2

島田 徹

株式会社プラムザ 代表取締役社長。システムコンサルタント。1998年に28歳で起業し、現在も現役のシステムエンジニア、コンサルトとして、ものづくりの第一線で活躍しつつ、開発現場のチームとそのリーダーのあり方を研究し続けている。

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30代の中盤くらいからでしょうか。だんだん飲み会の話題がダイエットネタから健康ネタに移ってきまして。

何を飲むと中性脂肪が下がるとか、痛風になりにくいとか。焼酎は芋よりも麦の方がいいとか、ロックよりもお湯割りだとか。

これがちょっと上の世代の方と飲むと、健康ネタから病気ネタにシフトしてきますね。去年ポリープができたけど良性でよかったとか、腰をやっちゃって今も気をつけてるとか。

もうちょっと上になると、芸能人の誰々が死んじゃったとか、癌で入退院を繰り返しているとか。。

読者のみなさんはおいくつくらいでしょうか?年取って身体が衰えるというのは怖いものですよ。たぶん20代では想像が出来ないと思います。

5年くらい前に長女の幼稚園の運動会でリレーに出場しまして、カーブを曲がりきれず、激しい転倒事故を起こしてからはすっかり自信をなくしてしまいまして。

幼稚園の運動場とか、ショートトラックですからね。カーブが急過ぎるんですよ。

最近ではなんと夢の中でサッカーやっていても動きにキレがないです。

「おいおい、人生いまだかつてこんなサッカーやったことないだろ」

というような、「おっとっとー、誰か止めてくれー」みたいなサッカーをやったりしています。

思えば、マトリックスという映画の原作者は私と同じような夢を見てあの着想を得たのではないか、と思ってしまいます。

あ、海外進出の話じゃないのか、とイライラされている方。すみません、ここから徐々にシフトし行きます。


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やはり、身体の動きというのは心の動きとリンクしていて、心が追いついていないことはいくら頭の中の理屈で分かっていてもその通りに身体は動きません。

なので、「こういうことをやって行こう」と思ったら、まず自分に暗示をかけることですね。

「海外進出の調査をするぞ!」

と、ことある毎に言ってみるというのもそういう効果を狙ってのことです。これはかなり効果があります。

具体的なイメージを頭に描いていると、自然と身体もそのように動くものです。


さて、そういう訳で、1月の大雪が降った次の日だったか、白形社長と彼からご紹介いただいた社長と3人でランチミーティングなどしてきました。ランチミーティングと言っても居酒屋ですき焼き定食とか食べてきまして、そんなオシャレな感じではなかったのですが。

ただ渋谷は競争原理がしっかり働いてて、うまいものが安いですね。

その社長さんは、歳はおそらく30代中盤。パワフルで芯がしっかりした感じの方でしたが、それでいてどことなく気の抜けたところがあります。明るく、周りへの感謝の気持ちが常に滲み出ちゃってる感じの方でした。

本来、社長はあああるべきでしょうね。あまり肩肘張ってると疲れちゃいますし、隙があるように見せた方が営業では好感を持たれますし、周りに対して感謝を表現していれば周りはもっとやってあげたいと思うでしょうし。

たぶんあの性格に人も寄ってくるのだと思いました。人が寄ってくるところにビジネスも寄ってきます。羨ましい限りです。

ということで、一時間ちょっとでしょうか、その社長さんから、いろいろとベトナムで人を使う魅力を聞かせていただきました。

まずは中国や韓国に比べて人柄が穏やかで社交的で真面目だと。確かに中国や韓国は、昨今の報道を見るにつけ、怖いイメージが捨てきれません。本当は違うのかも知れませんが、わざわざケンカをふっかけてきているところに中小企業が出かけていくメリットもないです。

そして概して町の治安も良いらしいです。結構夜中に出歩くのもOKのようで、これはいいですね。

人件費はエンジニアクラスでおよそ日本人の1/10。もちろん、この人件費は、大きな魅力です。

「へえー、そういうものですかー」

と感心する私に、社長は笑ってこう付け加えました。

「ただ、全然お勧めしませんよ」

社長は、上記のようなベトナム進出の良さを語ったと同時にその10倍くらいの大変さを滔々と語ってくれました。文化的なこともありますし、言語的なこともあります。いろいろお聞きしました。

「とにかく信頼おける日本人が1名ブリッジSEとして行くか、日本を良く知っている現地の人にSEをやってもらわないとまず回らないです」

「多くの日本企業がベトナムに進出したものの、結局コストダウンにならず、帰ってきてます」

うーん、、なかなか脅かせてくれます。。

彼は続けます。

「私はラッキーにもとてもよい人に知り合うことができましたが、彼がいなければとても回っていかなかったでしょうね」

「御社がベトナムでこれから開発部隊を作ることを考えるくらいなら、日本国内の外注でコスト削減を計って行った方がいいんじゃないか、と私は思いますね。」

むううーー。

なるほどぉ。

当然のことですがやはり甘くはないようです。

しかし、とても貴重な意見を聞くことができました。

この社長さんは素晴らしいですね。

「自分のところがうまく行ったので、このようにやればいいんですよ」などと言ってしまう人というのは得てして自分自身を客観的に見ることができていません。

そうではなく、「自分がうまくいってるのはレアケース。ラッキーな偶然が重なったから出来たことだから、真似しようなんて考えない方がいい」などと言う人はとても信用ができると思います。

彼の話を聞くと、確かにベトナム進出は難しそうですが、しかし逆に言えば、もしそれが簡単だったらどんどん日本企業が進出して、一気に労働市場でのレッドオーシャン化が進んでしまいます。ある意味そこは一つのよい参入障壁とも言えるかも知れません。


それともう一つ思ったことがあります。

この社長さんというのは、もともと技術者ではないですし、彼の会社は開発がメインという訳ではないです。しかしそれでも、現地で開発者のチームをまとめています。

通常、我々のような受託の開発会社で、社員をまとめて高いクオリティのプロダクトを生産しようとすれば、社長自身が技術者で先陣を切ってぐいぐい引っぱっていくか、うちのように組織化を進めてチーム力で勝負するかだと思うのですが、そのどちらでもないように感じました。

私は日本国内なら「開発屋はこうやればイケる」という一つの理論を持ってます。

それが唯一の成功パターンだとかはまったく思ってないですが、まあ悪くないチーム作りができると思います。日本だと人件費が高くてトントンくらいになってしまいますが、これがホーチミンで通用するのかしないのか...。

もし通用するなら、勝算はある!

と思いました。

いや、我が社の進出先はホーチミンと決まった訳ではないですが、社長さんと白形さんが、現地の方を紹介してくれるということで、とりあえずホーチミンにツテらしきものが出来ました。

とにかくホーチミンなんて、全然知らないわけで。。

もし牛車が行き交うような埃っぽい通りで、藁葺きの小屋が並び、今かっさばいたばかりの豚や鶏を吊して売ってるような村ではIT会社など作れようはずもないですし。

百聞は一見にしかず。一度思い切ってホーチミンに行ってみようかなと考えるようになってきました。


(続く)