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なぜセミナーで「声」が届かないのか
»2012年10月 4日
学びの体験を創造する ~ セミナー事務局考
なぜセミナーで「声」が届かないのか
楽しい学びの場、ワクワクするコンテンツのプロデュースを提供する株式会社オプンラボの代表。 「考える」のではなく「感じる」気づきの場としてのセミナーや研修の企画・プロデュース。強烈な魅力のある個人のコンテンツ作りを得意とする。
当ブログ「学びの体験を創造する ~ セミナー事務局考」は、2015年4月6日から新しいURL「http://blogs.itmedia.co.jp/opnlab/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。
セミナーを企画する側として、スピーカーは舞台の役者、コンサートの歌手と同様に、とても大切な存在です。その人たちの中で、非常にもったいないと感じるのが「声」がでていないスピーカーです。セミナーを聴講していると意外と多い。
ビジネスセミナーや展示会と併設されたセミナーなどで話すのは、企業の事業部門の人、つまり話すプロではないのでアナウンサーのような声は必要ないと思います。
けれども、プレゼン資料もきれいで、内容も作り込んでいるのに、そもそも声が届かないと、メッセージが伝わりません。
ちょっとした訓練や、意識で変わるのではないかと思っていた所、ビジネスセミナーで「歌いながら」登場するスピーカーに出会い、衝撃を受けました。
アーティストの尾飛良幸さんです。
コンサートではなく、ソーシャルメディアのセミナーだったのですが、内容もさることながら、声の音量、セミナーでのBGMの使い方、どれをとってもビジネスセミナーの枠をはずれて魅力的でした。
本職は、歌手のヴォイストレーニングを行い、編曲・作曲をし、自らも歌うプロのアーティスト。
尾飛さんは、最近「講師のための伝わる声トレーニング」というeラーニング教材を出したということもあり、ビジネスセミナーを聞いて「声」で気になる点について、たずねてみました。
■クライマックスに声が小さい
ひとつ目の質問は、ビジネスセミナーを聴講して、一番もったいないと感じるとき。
「もったいないと思うのは、一番大事な事を伝えるべき時、終盤のクライマックスに一番良い声が出ていないことです」と尾飛さん。
例えば2時間のセミナーを行ったとき、歌手が2時間コンサートを行うのと同じ状況が「声帯」で起こっています。ビジネスセミナーのスピーカーは力つきて後半良い声が出なくなってしまうことがありますが、歌手は決して最後で声が出なくなるということはありません。
確かに、後半静かなコンサートに行ったとしたらがっかりしてしまいます。
これは、「呼吸」と「発声」のちょっとしたコツで、かなり改善できるそうです。
■プロの講師でも意外と
ふたつ目の問いは、講師をプロとしている人の場合でも、気になることがあるのかどうか。
プロの講師でも「話す時にちゃんと息を吸っていない」と感じることが多いとか。
とかく「声をだすぞ!」と思えば思う程「息を吸う」事を忘れてしまうようです。
「ゴルフでバックスイングをしないで、ボールを打つ人がいないように、声のバックスイングは「吸う事」です。ですから、この「吸う」フォームが奇麗でないと、良い声はでないんですよね」と、わかりやすい例をあげてくれました。
もう一つ気になるのは「滑舌」だとか。
アナウンサーやお芝居の役者さんのような滑舌で「流暢にはなす」講師はよくいるけれども、歌手のように「説得力のある、パンチのある発音/滑舌をする人」は、あまり会った事がなく、もったいないと思う事がよくあるそうです。
言われてみれば納得です。尾飛さんのセミナーは、歌手の方が持つ独特の、パンチがきいた魅力を放っていました。
■素人だけど、すごい「声」
みっつ目の問いは、「素人なのにすごい」と思うケースはあるのかどうかということ。
「あります!」と尾飛さん。
「その人の生き様/人生が声にでている時」だそうです。
それを聞いただけでも、心を打たれます。
「声は「体を楽器」として発声されます。だから、その人自身がすべて出てしまいます。つまり人生がしっかり声に出るんです」
どんなに声を良くする訓練をしても、この「生き様/人生」がにじみ出た素晴らしいスピーチには、かなわないと感じるそうです。
声のプロフェッショナルからみると、「セミナー・研修での声」ということだけでも、今まで気がつかない視点が次々にでてきて、とても興味深いです。
セミナーの際、受講の感想を聞くアンケートをとることが多いと思いますが、声、についてはあまり不満は書かれません。それは忘れてしまったり、理解しにくかった原因が「声」だと気がつかないケースがほとんどだからです。
気になった方は、身近な人に講演前に聞きやすいかどうか聞いておいてほしいと頼むのも一つの方法です。もちろんヴォイストレーニングを受講すると、ちょっとしたコツがつかめますし、その前に、まずは自分で録音して後で確認してみるといいでしょう。
(opnlab 小林利恵子)
【講座のご案内】
尾飛良幸の「講師のための伝わる声」講座
日時:10月17日(水)19:30〜21:30(120分)
会場:opnlab (浅草)・参加費:5000円
尾飛さんのセミナーを聞いて、ぜひプレゼンの機会の多い人に聞いてほしいと、オプンラボで講座を企画した講座です。少人数(10名定員)に、みっちりトレーニング。
「講座では技術力・表現力・心の統制力の3つをバランスよくレクチャーする予定です」(尾飛さん)。
会場は、大きな声出しても大丈夫ですか?との確認もしていただき、楽しそうな実体験型講座になりそうです。声をもっと魅力的にしたいな、と思う方のご参加お待ちしてます。
▼参加者募集中のopnlabのイベント・講座
10/17(水)ヴォイストレーナーによる「講師のための伝わる声」講座
10/20(土)相手のハートをつかむ「大人のためのマナー講座」
10/31(水)今、政治がおもしろい:木村恭子出版記念トークライブ
■株式会社オプンラボ:広報・マーケティングに刺さるセミナーをプロデュース