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032.【業界話】派遣の仕事の難しさ

032.【業界話】派遣の仕事の難しさ

佐藤 洋之

1967年生まれ、神奈川県横浜市在住。ひょんな事からIT業界に努めて四半世紀、嫁と子供2人、あとメス猫一匹を抱えて、日々奮闘しているエンジニア(??)です。趣味はバイクと読書。IT業界の事、仕事の事、趣味や日々の雑感などについて、これから書いていきたいと思います。

当ブログ「IT雑貨屋、日々のつづり」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/satou55_makoto/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


お久しぶりです。佐藤@IT雑貨屋です。

ここ最近、サマータイム導入もあり、かつ仕事も増加の一途となってしまった状況で、このブログに記事を書く事から遠ざかってしまっていました。

久しぶりの記事更新ですが、派遣の仕事の難しさという点について、今回は書いてみたいと思います。

私がいま取り組んでいるのは、サービスの企画開発という分野になりますが、業務の内容としては、かなり幅広いものです。

元々がエンジニアなので、技術的な背景を持つ業務はある程度得意なのですが、実際にはそれ以外の業務も多くあり、今まで経験した中では「これはエンジニアの分類には入らないなぁ・・・」という仕事に取り組んだことがありました。

しかしながら、自分として「仕事の幅を広げたい」ということもあるので、取り組める仕事については、今まで貪欲に取り組んできました。

ただ業務内容はそうなのですが、その一方で業務形態は「人材派遣」という形態で仕事をしています。

エンジニアの仕事では、過去には持ち帰り案件(仕事を自社に持ちかえり、自社の作業場所で業務を行える案件)も多くありましたが、最近では情報セキュリティの高度化や、案件の物理的形態等での制約から、エンジニアの仕事と言っても、実際には客先常駐で業務を取り組む事が主流となっています。
だから中小企業のシステム会社の多くは、自社の要員を派遣しているというのが多いのではないでしょうか?

実はこの派遣の仕事、中々悩ましいものがあります。

何故なら仕事の取組み方や、派遣に求める業務レベルは会社毎に差があります。
A社では良しとされた仕事の取り組み方がB社では認められない等もあったりしますので、A社では評価が高くても、B社ではあまり評価されないなども起こったり。

こういった業務レベルの評価が、場合によっては労働者(IT業界ではエンジニア)の単価にも影響しますので、悩ましい限りです。

私は派遣として仕事をしたのは今の現場が初めてでした。
それまではエンジニアのマネージャーとして自社開発案件に取り組んだり、営業と同行して客先提案したりと、どちらかといえば自社開発の仕事を中心に取り組んできました。

だから今の仕事を始めた時には、与えられた指示から類推して必要なことを自分なりに考えて、場合によっては提案をしたりして取り組んで来ました。そういった事がいまの現場ではマッチしたらしく、それなりに仕事を任されながら、今まで業務に取り組んできました。

ただ一方で、やはり派遣として仕事を長く経験すると、こういった仕事の取り組み方に戸惑うメンバーもいるのは確かです。

ある人の場合、以前に派遣された現場で自分なりに考えて仕事を提案した結果、派遣先から「パートナーがそこまで考える必要は無い!」と云われ、最終的には仕事でクレームとしてあがってしまい苦労していました。

こういう経験があると、やはり「派遣とは、指示されたミッションだけをしっかり取り組めば良い」という概念が出来上がりますので、簡単に言えば「指示された事はやるが、明確に指示されない事はやらない」というスタンスになります。

ただこのスタンスでいた場合、派遣を受け入れる企業でも「社員の代わりに雇用する」という意識のある会社であった場合には、別の軋轢を生む結果となってしまう事があります。

例えばある企業では「一つの事を言われたら、自分自身で考えて独自で仕事を進めて欲しい」というスタンスで派遣のエンジニアを受け入れる場合もありますが、この会社に先の経験のあるエンジニアが派遣された場合、どのようなことになるのでしょうか。

それは単純な事で、派遣先の企業にしてみれば「自分で考えて動いて欲しい」という期待値があるのですが、派遣されたエンジニア側では「出すぎた行動はせず、無難に明確な指示のあった仕事をする」事を是とするので、結果としては現場で揉め事になってしまいます。

派遣先からすれば「こいつは何も指示されないと仕事をしないのか?」という評価になり、派遣元からすれば「派遣した先でクレームとなって」という評価。

こうなってしまうと、派遣元と派遣先では力関係もありますので、結果として現場のエンジニアが割りを食ってしまうという事が往々にしてある事です。

悩ましい限りですね。

建前論で言えば、やはり派遣のメンバーには明確な指示を出して欲しいものですが、その一方で派遣として受け入れはしたものの、自力で動く事を求めるにはそれなりの理由もあるので、やはりそこは現場のエンジニアには考えて欲しいという事も理解できます。

でもこういった意見、派遣のエンジニアには受け入れられない事でもあります。やはり派遣業務を長い間経験すると、どうしても派遣という形態では「指示待ち」というのが常態化します。そこで「自分で考えて行動を」と言っても、直ぐにはそういった事に対応できない人もいますし、中には「そこまで求めるならば、単価を上げてほしい」という意見もあります。

またこれも悩ましい。。。
こういった事を見聞きする度に、本当に派遣の仕事は悩ましい事が多いと感じてしまいます。

以降は私の独り言の様なものですが、これからの派遣のエンジニアは「請けた仕事を独自に回す場合」という事も想定する必要があるのでは無いでしょうか。

実際にそういった事を求められない場合でも、自分自身がそれを想定しながら仕事に取り組めば、やはり不足の事態にも対応できたり、場合によっては急なオーダーでも対応する事ができる可能性が高くなります。

つまり「常に仕事を俯瞰で見るクセをつけておく」という事が大事なのではないでしょうか。

またもう一つが「臨機応変な対応」を心がけるという事。
何も杓子定規に「それは派遣の仕事ではありません」と言い切るのでは無く、対応できる事については対応するという心積もりも必要だと思います。

また当然、そういう心積もりをするには、業務レベルの知識も学ぶ必要が出てきます。

こう言うと「それが常態化すれば、派遣はより責任を負わされる」という意見もありますしそのリスクも存在します。しかし常態化した場合には、会社間で一度話し合う事をすれば良く、常態化しない場合にはそういう対応をする事があっても良いかもしれません。

確かに派遣というのは、派遣先の企業の社員ではなく、そういう面では社会的な保障もありません。だから割り切りで仕事をするということも、特に異論を挟むものではありません。

しかしながら、もし求められた場合には、実行できるスキルというのを磨いておくという事も、自分自身の仕事力の向上の為に、意識しておいても良いかと思えます。

生涯一現場のエンジニアとして、派遣の中で生きるのであれば、特に拘る必要もないのかもしれませんが、やはり「生き残れるエンジニア」となるためには、そういったスキルも磨いておいて損は無いと思います。

以上、私の独り言でした。

ここまで読んでいただいてありがとうございます。

これからもIT雑貨屋をよろしくお願い致します。