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031.【雑感】リーダー像について

031.【雑感】リーダー像について

佐藤 洋之

1967年生まれ、神奈川県横浜市在住。ひょんな事からIT業界に努めて四半世紀、嫁と子供2人、あとメス猫一匹を抱えて、日々奮闘しているエンジニア(??)です。趣味はバイクと読書。IT業界の事、仕事の事、趣味や日々の雑感などについて、これから書いていきたいと思います。

当ブログ「IT雑貨屋、日々のつづり」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/satou55_makoto/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


 大変ご無沙汰しています。最近も相変わらず仕事に追われ、帰宅が遅いために記事をアップ出来てませんでした。
 幾つかはモバイル端末やスマートフォンで書き溜めてはいたのですが、なかなかPCの前でブログ更新する事ができず、かなり間が空いてしまった次第です。

 佐藤@IT 雑貨屋です。

 今回は少しリーダー像について考えていることを書かせて貰います。お時間があればお付き合い下さい。

 最近よく耳にするのは、「リーダー不足」という言葉です。システム開発の業界でいえば、プロジェクトリーダーが不足しているという事になりますが、私が経験してきた職場ではかなり深刻な状況もありました。

「案件はあるが、リーダークラスがいないので、結果として断った」

 そんな話も聞いたことがあります。
 私が勤務しているのはIT 業界なので、そこで経験してきた事から、この原因を考えるに要素は二つあると思います。

1)リーダーの素養を持つ人材の不足
 少し昔の事ですが、私がこの業界に就職したころ、ある先輩が言ってました。

「社長をやれる人間は、いきなり社長を任せても出来るものだ」

 これを聞いた時、かなり無茶な事をいう人だと思いましたが、いまにして思えば的を得ていると思います。

 一般的に考えれば、リーダーになるにはそれなりの業務を経験し、場数を踏むなかでリーダーとなる資質は育成されていくと思いますが、現実には違うという事が多々あります。

 業務の場数や経験があったとしても、リーダーとしては不適格という人もいます。例えば現場の士気も上げられず管理も出来ないという人や、中には会社に対して基本的な報告や連絡も出来ない人もいました。

 普通に考えれば経験もあり、知識も多ければ仕事を進める上では最強とも思えますが、リーダーでは一体何が違うのでしょうか。

 それは「人を相手にする」という事ではないでしょうか。

 例えばプログラマにしろ、システムエンジニアにしろ、プレイヤーであれば、取り組む相手はシステムであり、また業務それ自体です。業務であれば経験を積んでいく事で、その業務について習熟して効率的に進めていく事はできます。しかしリーダーとなると、そこにはチームのメンバーに対する指導や管理も入ってきます。

 この「人を相手にする」という事については、場数や業務経験だけではなく、個人の人間性や物事への考え方、また人への接し方や指導の手法など、定量的では無いスキルも求められてきます。人間というのは、とかく悩ましいもので自分自身と価値観も違いますから、リーダーとして良かれと思い行った事が、結果として相手に対してマイナスに働くこともあります。

 また仕事についても複数の業務の進捗を管理するなど、プレイヤーという位置とは違い、全体観をもって仕事に取り組む観点も必要になってきますし、公的な場では「リーダー(会社を代表する立場)としての発言も求められ、その為に強いプレッシャーに晒されますので、そのストレスに対しての耐性も求められてきます。

 野球の世界でも「名選手必ずしも名監督にあらず」という言葉がありますが、これは何も野球の世界のみに言える事ではなく、ビジネスの世界でも同じ事だという事です。

2)希薄な「リーダーを育成する」という意識
 先にあげたリーダーの素養ですが、こういったものは特定の人にのみ具わっているというものでは無く、多くの人が素養というのは持っています。

 では何故、リーダーが不足しているのか。

 そこには企業や団体等の組織的な問題があると思います。

 リーダーを育成するには、会社として意識的に取り組まない限りできません。ただひたすら仕事を経験させ、セミナーや研修を受けさせるだけで、リーダーが育成できると錯覚している経営層って多くありませんか?

 以前の職場で、私の上司であった人が良く言っていました。

「うちの会社はリーダーを出来る人材が少ない」

 この上司に私が良く述べた意見は「リーダー候補には、責任を持たせる立場に置き、幾度か焼け火箸を握らせて、その中で様々な経験をさせる中で、会社として"人材を育てる"と腹決めしないと、出来ないのではありませんか?」という事です。

 その職場では、中堅どころの社員をリーダーとして仕事をさせるのですが、その社員が失敗したり、また仕事の進め方や部下の管理が悪いと、「こいつはダメだ!」とレッテルを貼り、リーダー職を短期に解いてしまっていました。そしてタバコ部屋などで経営層が、そのメンバーの短所をあげつらいながら話をしているなども良くありました。

 またリーダー候補に対する「指導」についても、結構辛辣な言葉を言い、あたかも「追い詰める」という事が「部下を叱る」という行為であり、その中から人間は鍛え上げられるという様な風潮もありましたので、私から見ても「彼ならリーダーへなれるのでは」と感じている人物の多くが、転職して会社を離れるか、もしくは「現状のままで行こう」と、最近でいうフリーライダー化している状況もありました。

 要は会社(特に経営層)が、幹部の経験値のみで人材育成をしていて、結果としてリーダーの芽がある人材をも逃してしまうか、潰してしまうという「企業組織として人材育成が出来ない会社」も多くある事も原因だと思います。

 つまり「リーダーが不足している」という会社の多くは、実は真剣にリーダーを育成する意識が無いという事なのかもしれません。

「やってみせ、いって聞かせて、させてみて、褒めてやらねば人は動かじ」

 この言葉は連合艦隊司令長官だった山本五十六元帥の名言ですが、ここには重要なポイントが書かれていると思います。

 人を育成するには、やはり会社として、それなりに素養と腹決め、そして努力が必要だという事ではないでしょうか。

 少し話しが発散しかけていますが、リーダー像について少しまとめてみると、やはりプレイヤーとしての経験は当然あった方が良いのですが、それ以上にリーダーには人間としての力量が必要という事になると思いますし、そういった人材を育てようとする場合、会社などの組織としてもしっかりと腹決めをしないと、それは難しいという事かもしれません。

 ちなみに私がプロジェクトリーダーをやり始めた頃、当時の会社の社長に言われたのは以下の言葉でした。

「部下が失敗しても、自分が必ずリペア(修復)出来るという自信を常に持つ事。また自信を持てる自分自身である様に、常に考えて行動をする事」

 要は部下に対する責任を、全て自分自身が持つという心。

 この言葉のおかげで、私は二十年近くの間、大なり小なりのプロジェクトリーダーをする事が出来たと感じています。

 ここまで読んで頂き、ありがとうございました。
 これからも、IT雑貨屋をよろしくお願い致します。