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生命保険選択の具体的な方法 その一

»2014年1月 4日
生保のトリセツ

生命保険選択の具体的な方法 その一

しごとにん

10年余り生命保険業に所属し、一社専属の大手国内生保から乗合い代理店、保険ショップ運営を経験。現在は業界から距離を置き、俯瞰できる立場で個別相談や執筆活動を行っております。

当ブログ「生保のトリセツ」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/shigotonin/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


年が明け、「誠ブログ」に参加させていただきて2周年となりましたので、ここで一度原点に立ち返り、「生保のトリセツ」として現実的な方法論として「生命保険選択の具体的な方法」をまとめてみたいと思います。

今回はその第一弾として<基本構造編>です。

ポイントとしては、

1、なるべく見直さなくても継続できるようにする
2、見直しが必要になった際にでも、コントロールしやすい形にする
3、目先の保険料に惑わされない

の3点を挙げます。

それではひとつずつ解説していきます。


1、なるべく見直さなくても継続できるようにする

よく巷で、商品のメリットとして「●年ごとに見直しができます」とかいう文言が出てくることがありますが、これは「●年ごとに見直ししないと大変なことになりますよ」と読み替えなければならないケースが大半です。

何回か当ブログでも書いておりますが、例えば「10年更新タイプ」であれば、更新の少し前に手を打たないと保険料が自動的に跳ね上がることになり「見直さざるを得ない」状況に自動的になってしまう仕組みとなっています。

つまり、上記のような状態だと主導権はあたかも保険会社が握っているような感じになってしまい、「そのときまで見直しできない、しなくていい、したら損・・・」という空気になります。

これはおかしいですよね。

10年後に丁度結婚するとか、子供が生まれると決まっていればいいですが、そんなことあり得ませんし、この根拠としては全くの保険会社の都合で「10年ごとに切り替えて手数料頂戴ね」ということなのです。

生命保険を検討する際に、一番大事なのは「どの程度の保障額が必要か」というのは言うまでもないことであり、一般的にも認識されいますが、それと同じぐらい大事なのが「いつまで保障が必要か」という観点です。

例えば・・・

・遺族に対する保障は⇒奥様が年金を受給する年齢まで

・お葬式代や死後の整理資金⇒一生涯

・入院やがん、介護の保障⇒一生涯

・教育資金⇒末子(一番下のお子様)が大学を卒業するまで

となり、それぞれバラバラであり、保険会社が勝手に「10年ごとに見直しましょう」というのは全く無意味であることが分かります。

従いまして、常套手段としては生命保険ご加入の時に、保障期間をなるべく見直しをしなくて済むように設定することが肝要です。

もちろん、人生何がおきるか分かりません。

お子様が大学受験に失敗して浪人したり、マー君のように高卒でエースになったり、ご夫婦が別々の道を歩むことになったり・・・考えたらキリがありません。

それでもとりあえずは、確率が高い、または「こうしたい」という希望など加味して所謂「ライフプラン」などというものをつくり、途中で身直さなくてもいい形にしておけば手間もコストも大きく削減できます。

そもそも「見直す」というのは保険会社から言われてするものではなく、契約者サイドの都合で行うものです。
解約や削減などの「見直し」の権利はは契約者にありますので、「見直し」はいつでもできます。

「子供がゴールデンイーグルの先発ローテーションに入り自立できた」となれば、お子様を対象にしていた教育資金や遺族保障は解約すればいいですし、「予定外にカミサンと仲良くしてしまった結果、40歳で第三子ができてしまったW」という場合は、保障を上乗せすればいいだけです。


それでは「入院やがん、介護の保障」についてはどうでしょう。

上記では保障期間を一生涯と想定しましたが、これが無難な選択です。

一部巷では、「医療保険などは60歳まで、など期間を限定して、その間に貯蓄すればいい」といったそれらしい理屈が存在します。

それじゃ、60歳までにいくら貯めればいいのか、貯まらなかったどうするのか・・・など不確定要素やリスクが大きく、およそ保険や保障を提案する姿勢ではありません。

あえて60歳までに医療保険代わりに貯蓄する目標金額としては、概ね500万円と設定したとしても、このお金は医療費以外での使途は禁止で目減りしないことが条件です。

反対に、医療費に関して異様に心配して保険を掛けすぎるのも論外なのですが、ここでは形として一生涯の保障、つまり<一生涯保障される権利を得る>ことを第一に考えるのが得策です。

医療保険に加入していたからといって、すべての入院にかかる費用をカバーできるとは限りませんし、また、思った以上に費用はかからず「焼け太り」になることもあります。

ですので、現状考えられる範囲で最低限で一生涯の保障を確保して、不要となったら「こっち(契約者側)」の都合で解約なり減額なりすればいいのであって「この保障は80歳で終わりです」などという保険会社の一方的な都合に従ういわれはありません。

「500万円遊ばせることができる余裕資金」ができれば医療保険は解約すればいいかもしれませんが、そのタイミングはいつなのか誰にもわかりません。

正味の話し、40代ぐらいまでであれば、一生涯保障の医療保険の80歳までの支払い総額と、10年更新型の医療保険の保険料支払い総額を比較すると、一生涯保障の方が安くつくことが多いです。
(60歳までの支払い総額は「10年更新型」の方が安くなりますが)

これも以前書いていると思いますが、入院保障が日額一万円必要だと思ったら、その半分の5千円を保険で確保して半分を預貯金でカバーする、という方法もありますし、とりあえず日額一万円で加入して状況を見て5千円に減額することもできます。(将来、日本の健康保険制度がどうなるか予断を許さない状況ではありますが)

そんなこんなで、生命保険に加入する際には保障期間(いつまで)を想定して、そこまでリーチして下さい。

保険会社の都合で「●年後に見直しできます(しなきゃ大変だよ)」とか、「60歳までに貯蓄をすればいいのです」などという無責任はFPや評論家の戯言は無視しましょう。※もちろん自己責任において貯蓄できるというのであれば問題ないですが。

この流れで「2、見直しが必要になった際にでも、コントロールしやすい形にする」に次回なだれ込みます。