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本当は極めてシンプルな「必要保障額の算出」1

»2011年1月22日
生保のトリセツ

本当は極めてシンプルな「必要保障額の算出」1

しごとにん

10年余り生命保険業に所属し、一社専属の大手国内生保から乗合い代理店、保険ショップ運営を経験。現在は業界から距離を置き、俯瞰できる立場で個別相談や執筆活動を行っております。

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前回は「そもそも生命保険は必要なのか?」という観点から考えるのが
大事だと書きました。
最低限の保障は必要なので、結論としては「生命保険は必要」なので
すが、その優先順位や組み立て方について考えてみます。

奥様が主人公
まずは一般論としてご主人が亡くなった際の保障について考えます。
ここではお葬式代やお子様の教育費はおいといて、生活の保障に焦点を
当てて、とりあえずの生活保障額を算出します。
伺うのは次の3点だけです。

・1ヶ月の生活費
・持ち家か賃貸か社宅かどちらかのご実家か
・一番下のお子様の年齢

ここで遺族年金や団体信用生命保険(住宅ローンがご主人が亡くなると
帳消しになる)など説明して奥様に「毎月いくらあれば生活ができるか」
と質問して金額を出してもらいます。

ここで少々「ニーズ喚起」になりますが、奥様にご主人が亡くなった際の
シミュレーションをしていただくことになります。
例えば現在の毎月の生活費が35万円とします。
住宅ローンが10万円であればその分を引いて25万円(持ち家であれば団体
信用生命保険に加入していることがほとんどなので差し引きます)、ご主人
がいなくなることで食費やその他の経費が削減されるので約7割ぐらいに
なると想定して18万円。
さらに遺族年金(お子様が18歳まで支給される)や奥様自身の稼ぎを加味
すると概ね10~15万円という数字になるケースが多いようです。

それともうひとつ必要なのが「生活保障がいつまで必要か」ということです。
最低限の考え方としては一番下のお子様が一本立ちする年齢(20~25歳)
を想定します。
高めの考え方としては奥様が老齢年金をもらえる年齢(現状では65歳)まで
とするものです。
ここで奥様の個性が出ます。
お子様が自立するまで生活保障があれば充分で、後は自分でなんとかする、
というタイプと、心細いので年金がもらえるまで生活保障が欲しいという
タイプです。

必要な毎月の金額が15万円で奥様が30歳で一番下のお子様が5歳の場合
お子様が自立するまでの生活保障額→15万円×12ヶ月×20年=3,600万円
奥様が年金をもらえるまでの生活保障額→15万円×12ヶ月×35年=6,300万円

ご主人が亡くなった想定のお話なので、ご主人が口を挟む余地はありません。
ただこのふたつでは算出される保障額が大きく違ってくることが多く、当然
保険料の負担も違ってきます。
保険料の負担については、ご主人が生きている間の問題ですので意見を言う
権利はありますが、ほとんどのご家庭で財布は奥様が握っているので、奥様
が主人公となるわけですね。

奥様が「住宅ローンがなくなるのであれば、遺族年金だけで充分」とお考えで
あればご主人の死亡保障は不要となります。
これが「生命保険はそもそも必要なのか?」を出発点とする考え方です。
最低限のご提案としては、お子様が自立するまでの生活保障を合理的に確保
することになります。

以下、次回に続きます。