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会社の<団体定期保険>は安くて安心?

»2012年2月29日
生保のトリセツ

会社の<団体定期保険>は安くて安心?

しごとにん

10年余り生命保険業に所属し、一社専属の大手国内生保から乗合い代理店、保険ショップ運営を経験。現在は業界から距離を置き、俯瞰できる立場で個別相談や執筆活動を行っております。

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とにかく生命保険を否定する<保険評論家>の方や、訳知り顔の一部のFP(ファイナンシャル・プランナー)の先生方の著述などによくある指摘について書きます。

「普通の生命保険は保険料が高いから、掛け捨ての定期保険はできるだけ会社で加入できる<団体定期保険>に加入すべきです」という記事を皆様もどこかで見たことがあるかもしれません。

確かに保険料は安いのですが、悲しいかな<5年更新>とか<10年更新>の四角い単純なものしかないので、何回もご紹介している無駄なく合理的な「収入保障」などと比べると差が出づらくなります。

また、最近はネット系で本当に安いものも出てきていますので、以前のような保険料のアドバンテージはあまりないようです。

ただ、へんてこりんな特約満載の大手国内生保の個人向け商品よりマシかもしれませんね。(しかし<団体定期保険>のほとんどは大手国内生保が取り扱っているんですね、なんか変ですね)

まぁ、そんな五十歩百歩の話しなら、わざわざブログに書くほどでもないのですが、<団体定期保険>をお勧めしない理由が他にありますので少々お時間を下さい。

「会社の健康診断で悪い結果が出て、団体定期の更新ができなかったらしい」
業界の先輩から聞いた話しですが、俄かに信じられないと思いました。
通常、普通の生命保険であれば、健康上の問題があっても更新はできるはずだからです。

当時まだ純真であったので、その先輩に「なぜ通常のものと同じように更新できなかった理由」を尋ねることもなく「そういうもんなんだ」と納得していた記憶があります。

それと、その先輩がかなり困った顔で何とかしなくてはならない、と真剣に悩んでいたのは鮮明に覚えています。

ここで<更新>という言葉について確認しておきます。
現状で販売されている生命保険の更新型は、ほぼ<健康状態に関係なく更新できます>となっていると思われます。

しかし、あえてそのような文言がなかった場合は<双方の同意のもとで更新できます>となります。
つまり保険会社側にも拒否権があるわけですね。

上記の事例では、契約は企業と保険会社との間で結ばれていたものですので、「健康状態に著しく問題がある場合は更新を拒否することがあります」という但し書きがあったか、<健康状態に関係なく更新できます>という文言がなかったのかもしれません。

このようなレアな事例はさておき(でもあり得るのですよ)、もっと言いたいことがあるのです。

超個人的な生命保険を会社に委ねていいのか、ということです。
入社した若い時分に<団体定期保険>に加入して、そのまま結婚して子供ができたまではいいけれど、中年以降リストラ・・・でなくても転職を余儀なくされたり、または望んだりした場合に、当然<団体定期保険>は継続できません。

そして、中年以降の健康状態が入社当時の若い時分と同じはずがないのが普通です。
個人的に新しい生命保険に加入しようとしても、思い通りになるとは限りません。

だからと言って全面的に<団体定期保険>を否定するものではありません。
きちんと保障を持っている上で「安いなら少し保障を上乗せしておくか」という使い方はいいと思います。
あくまでサブとしてのご利用です。

とにかく生命保険を否定する<保険評論家>の方や、訳知り顔の一部のFP(ファイナンシャル・プランナー)の先生方は、極端に言えば「今加入している生命保険は全部やめて会社の<団体定期保険>に加入しましょう」と主張されていたりします。

<団体定期保険>は一部の大企業(一定の人数がそろわないと成立しない)でないと取り扱いがないので、加入できる人は限られますし、加入できたとしても後々面倒くさいことがあり得るのです。

一部の<保険評論家>や一部<FP>の無茶振りネタはまだまだあります。
近い将来また書きます。


 

追記

今回の「とにかく生命保険を否定する<保険評論家>の方」は「会社に<団体定期保険>がない方はライフネット生命などの安いネット生保に加入すればいいのいです」と言っているようです。
「とにかく生命保険を否定・・」でもラフネット生命だけは別モンのようです。

不思議なのは否定でも肯定でも一番合理的である「収入保障」につていは言及されていないことです。
まさかこの道20年以上で知らないはずはないのですが。
もしかしたらこの方の現役時代(「収入保障」の扱いがない大手国内生保)に毎回「収入保障」取り扱いの保険会社に負かされていたのがトラウマとなってしまっているのかもしれません。(あくまで想像ですよ)
でも、「収入保障」について触れない<保険評論家>なんざ「立合い」を分析できない相撲評論家みたいなもんですね。