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牛丼戦争のゆくえ 実はヤバいのは・・・

»2014年12月 5日
元局アナの「特ダネ?」

牛丼戦争のゆくえ 実はヤバいのは・・・

山森 貴司

早稲田大学商学部卒 元Jスポーツアナウンサー、元群馬テレビアナウンサー兼記者。テレビ番組プロデューサー、たばこ広報団体事務局長、エネルギー広報団体、不動産会社広報PRを経て、PR会社勤務

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松屋が380円のプレミアム牛丼を発表し、吉野家、すき家との価格競争からの脱却を目指してから、数か月がたった。三社の利益を見ると、すき家がワンオペ店舗の閉鎖や牛肉の仕入れ価格高騰で減益となっているが、私は松屋が今後売り上げを落とすと思っている。(もちろん松屋のことが嫌いでもなんでもない)

実は、徐々にではあるが、プレミアム牛丼の提供を辞め、以前の牛丼を提供する店が増えてきているという。これはまずい兆候なのではないか。

 

①    牛丼価格は280円という消費者への刷り込み。

松屋の想像以上に牛丼=280円以下とのイメージがついてしまっている。

これはマクドナルドが不振の原因でもあるのだが、牛丼チェーン店の低価格戦略がある意味「完全に」定着してしまったことで、プレミアムであっても単なる「牛丼」に他店よりも100円多く払うという消費者行動は続かないはずである。

もはや牛肉は庶民のものになっている。マクドナルドが低価格戦略からの脱却を図った時と同じミスを犯してしまっている。

 

②    なぜ、みそ汁を別売りにして、実質50円の値上げという考えがなかったのか?

松屋は、他の牛丼チェーンと比較して、無料で味噌汁がつくという特典がある。

しかしこの戦略が、吉野家、すき家との差別化を図れたかというと、消費者は味噌汁が無料だからと言って松屋に行くのではなかった。それならば、無料でつけていた味噌汁を50円にしてしまえば良かったのである。想像するに、みそ汁はとんでもなく原価率が低い。それだけで利益は確保できたのではないだろうか。それならば値上げイメージはほとんどない。

 

③    なぜ、量が少なく見える器に変更したのか?

吉野家もすき家もいわゆる丼である。しかし松屋は数年前から、丼でも大きさが小さく見えるものに変更してしまった。これが消費者離れを呼ぶ。

 

④    すき焼き膳を投入しなかった失敗

松屋はもともと、吉野家やすき家に比べると定食類が多く、しかも先駆けて朝食メニューを充実させていた印象がある。それにもかかわらず、なぜ利益率の高い「すき焼き膳」を発表しなかったのか大きな疑問が残る。差別化を図るならば、すき焼き膳の牛肉をプレミアムにすればよかったと考える。

 

現時点ではすき家が苦境に陥っているのは確かだ。しかし、380円で霜降り牛肉を食べられるわけではないので、私は次第に松屋から足が遠のいている。

値段を戻し、みそ汁を別売りにしてほしい。それなら気にならないでしょう、ねえお客さん?