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ワタミはブラック企業なのか?

ワタミはブラック企業なのか?

森川 滋之

ITブレークスルー代表、ビジネスライター

当ブログ「ビジネスライターという仕事」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/toppakoh/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


 「バビル2世はブラック企業の社長か?」という記事を6月5日に書きましたが、同じ日に「ワタミ社内文書入手 渡辺美樹会長が「365日24時間死ぬまで働け」」という記事が週刊文春のWebサイトに掲載されていたことをTwitter経由で知り、あまりの偶然に驚いています(※)。

なので、専門外ではありますが、単なる偶然とも思えなかったので、この場をお借りしてコメントしておきたいと思った次第です。

※この記事をアップする際に誠ブログを見たら、  「バビル2世はブラック企業の社長か?」がアクセスランキング1位だったので驚きました。たぶん、ワタミの記事の関連もあるのでしょう。しかし、本当に偶然なんです。

 

● 簡単に決めつけてはいけない

 

このような記事だけで、ワタミがブラック企業かどうかを判定するのは無理があると思います。

というのは、 「バビル2世はブラック企業の社長か?」では、笑い話として、見方によればバビル2世はブラック企業の社長と言えると書いています。ですが、正義の味方でも"ブラック企業"呼ばわりされるということですから、裏返せばブラック企業かどうか判定するのはとても難しいということなのです。

その上、私は渡辺氏と個人的な接触をしたことがありません。なので、彼がブラック企業の社長かどうかを判定することは、ますます困難です。実際に会ったうえで渡辺氏を称賛している知人も数多くいますので、ブラックと決めつけることはなおさらためらわれます。

また、週刊文春に限らず週刊誌というものはセンセーショナルなタイトルをつけたがるもので、タイトルだけでは判断できません。

証拠写真もあるではないかという人もいるでしょうが、全文が読めないようになっているので、これだけでは判断できません。もしかしたら写真の文書は、「365日24時間死ぬまで働け」という考えを渡辺氏が批判している文書なのかもしれません。

なので、「一部の情報だけをもって、一方的にワタミグループをブラック企業と呼ぶことは、到底、受け入れられるものではありません」というワタミ側の反論は、理にかなっていると思います。

 

● なぜ正々堂々と反論しないのか?

 

ただ、僕はワタミがブラック企業ではないと決めつける根拠もありません。

というのは、ワタミの対応が変だからです。

「渡辺が29年前に和民を創業して毎日社員のことを思いながら書いたものが、なぜ出てしまうのか、残念でなりません。本件に限らず、個別の社内規定や、社内発言、社内活動に対しては個別企業情報となるため、基本的にお応えは差し控えさせて頂いております」(前掲の文春Webサイトより)

僕も企業で働いていたことがあるので、大方の社内文書は社外秘になることを知っています。

ただ、 「毎日社員のことを思いながら書いた」という立派なものを公表できないし、コメントもできないというのは、まったく理解できません。

この対応の仕方だと、やっぱり週刊文春の言うとおりだと思うのが世間一般の反応だと思います。

これはまずい対応なのでは?

 

● 渡辺氏のファンには是非反論してほしい

 

文春Webサイトの記事には、1万件を超える「いいね!」や「リツイート」、また千件を超える「はてぶ」がついています。同サイトの同じカテゴリの記事を見たところ、普段よりも2ケタから3ケタ多いようです。関心の高さがうかがえます。

そして、多くの読者は、「やっぱりワタミはブラックなんだ」と改めて思ったのではないでしょうか。

であれば、渡辺氏のファン、特に社内文書を閲覧したことがあるという人は、是非反論すべきだと思います。

そして、発表できるネット媒体があるのであれば、そちらに載せたうえで、リンクをこの記事のコメント欄に載せていただければと思います(※)。

ただし、反論するのであれば、社内文書の内容等の物的証拠をもとにして反論すべきであり、もしそれができないのであれば、あまりしないほうがいいと思います。

 

※ただし、この記事へのコメントとして反論するのはご勘弁ください。それに対してはコメントを差し控えさせていただきます。この記事では渡辺氏がブラックだなどとは言っていないからです。また、ブラックでないとも言っていません。なので、渡辺氏を擁護するなというようなコメントにも返答いたしません。僕は、真相を知るのは不可能でも、自分が判断できる材料を増やしたいと思っているだけなのです

 

● ただ信じているだけなら宗教である

 

というのは、「渡辺氏にお会いしたことがあるが、彼は高潔な人物であり、周りを温かくするオーラに包まれていた。なので、そんなことを言うわけがない」というような反論であれば、それは宗教的信念だからです。

宗教の根拠は、「信じる」ということだけです。誰もが納得する証拠や根拠など要りません。なので、渡辺氏を信じるから、文春の報道は全くのデタラメだというのであれば、それはやはり一種の「宗教」だと思うのです。

ここで慌てて書きますけれど、僕は宗教を否定するものではありません。個々の人間に宗教が必要かという議論になると難しすぎて僕には踏み込めませんが、少なくとも人類にとって宗教は必要なものだと思っています。

ただ「入信」するのであれば、やはりよくよく考えるべきだと思うのです。

というのは、いまだにマスコミにその後のことが報道されるとはいえ、オウム事件が風化しつつあると感じるからです。

オウム事件については、まだまだ評価が定まっていないかもしれませんが、宗教的信念は容易に犯罪に加担する根拠になってしまうという教訓を我々は得たはずです(なので、入信する宗教はよくよく調べてから選ぶべきだと思うのです)。

しかし、その教訓が忘れ去られるとしたら、サリン事件等の被害者が浮かばれないと僕は思います。

なので、渡辺氏を信じるからということではなく、社内文書等の物的証拠で反論していただきたい。そして、そういう反論を僕は拝見し、それから勉強させていただきたいと思っています。

 

どっちつかずのことを書きやがってと腹を立てた方がいれば申し訳なく思いますが、僕がこの記事で一番言いたいことは公平に考えようということなので、その旨ご理解いただきたくお願いします。

 

追記

記事に共感した方は、ぜひ下記のサイトにもお立ち寄りください。

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