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【書評】ツールズ~やる気がほしいと感じる人のための本

【書評】ツールズ~やる気がほしいと感じる人のための本

森川 滋之

ITブレークスルー代表、ビジネスライター

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2011年の震災以降やる気が出なくて、1年近く人生を棒に振っていた時期がありました。

妻は一定の理解を示してくれて、「そんなにやる気が出ないなら、逆にどうしたらやる気が出るかを研究して、それを記事や本にしたら?」と言ってくれました。ありがたい。

それで、何冊かその手の本を新しく買ったり、読み返したりしたのですが、これという本に出会えないでいました。

そのうち、アルファブロガーの立花岳志さんが処女作『ノマドワーカーという生き方』に僕の「自分軸」のことを書いてくださったので、これをベースに立て直しを図ることができました。ようやくやる気が出てきたのです。

このように外発的な要因でやる気が出ることは、よくあります。

しかし、ある意味運に頼っているとも言えます。このようなやる気は、消えてしまったときに自分では元に戻すことはできません。

Tools.jpg内発的にやる気を高める必要があります。しかし、僕のような人間には無理ではなかろうか?

と思っていたら、本屋で偶然見かけたのが『ツールズ』(写真右)でした。第1章を丸々立ち読みして、これが求めていた本だと直感し、すぐレジに持って行きました。

※画像はアマゾンから拝借しました。画像および書名をクリックすると、アマゾンアソシエイトにジャンプするのでご注意ください。

 

来の本では、やる気を高めるために次のような方法を推奨していました。

  • 夢や理念を持つ
  • 一日一日を生き切る
  • 感謝する
  • 人に会う
  • 死ぬときに後悔しないことを心掛ける

調子がいいときには、上のどれかでやる気が起きるときもあります。しかし、調子が悪いときは、そもそも「一日一日を生き切る」などというのとはほど遠い状態になっているわけでして、今日も一日を無駄にしたという後悔が、ますますやる気を奪っていくという悪循環に陥るのです。

実を言うと、『ツールズ』に書かれていることも、概念的には上に書いたことと大差ありません。

ただ、「ツール」というだけあって、具体的なのです。

そこが従来の本とは一線を画しています。

 

う具体的なのか? 

ツールは5つあります。

  1. 苦しみを望む
  2. 進んで与える愛
  3. 内なる権威
  4. 感謝の流れ
  5. 危機

「なんじゃこれ?」と思う人もいれば、「ああ、やっぱりその程度のことか」とがっかりした人もいるでしょう。

がっかりするのはまだ早い。

「苦しみを望む」の手順を見てみましょう。『ツールズ』から引用します。ちなみに、このツールは「避けてばかりいることをする必要があるとき」に使います。僕のようなライターにはもっとも重要なツールです。

1 いつも避けている苦しみに集中する。その苦しみが雲のように目の前に現れる、とイメージする。心の中で、「さあ来い!」と叫んで、その苦しみを求める。求めるのは、その苦しみに大きな価値があるからである。
2 心の中で「私は苦しみが大好きだ!」と声を張り上げながら、どんどん前進する。苦しみの中に深く入り込み、苦しみとひとつになる。
3 雲があなたをひょいっと吐き出し、すぐに後ろにぴったりくっついてくるのを感じてみよう。心の中で、「苦しみは私を自由にしてくれる」という。雲から離れながら、自分が純粋な光へと変化し、大いなる目的意識を持って前進するのを感じる。

え? ますます「何じゃこりゃあ?」になった?

 

うちょっとお付き合いください。

各ツールに対して、上のような具体的な手順のほかに、「このツールはどんなときに役立つか」、「戦う相手」、「このツールを使う「キュー」」、「使っているハイヤーフォース」が書かれています。

補足です。「キュー」とは使うタイミングを意味しています。また「ハイヤーフォース」とは筆者たち(共著です)が言うスピリチュアルな力です。

「スピリチュアル」という言葉に抵抗がある人には、それにどう対処すべきかを後述します。

さて、上の手順を見てもお分かりの通り、ツールとは瞑想に他なりません(同書には明記はありませんが)。

瞑想には2種類あります。一つは、禅でいう只管打座、つまりひたすら心を空っぽにするというもの。これはかなりの高等テクニックで常人には難しい。

もう一つは、ヨガ的な、一定のイメージを思い浮かべるもの。これは、ある程度の集中力があれば常人にも可能です。「ツール」はこちらです。

「ツール」は言ってみればプチ瞑想なので、誰にでもできると言えそうです。

ヨガ的な瞑想には、とても効果があることが知られています。

モチベーションアップの本に瞑想のことが書かれていないのは、『ツールズ』を読んだあとでは、逆に不思議なことのように思えてきました。

 

ールの威力を認めたとしても、その後多くの人が引っかかるのは、この本がスピリチュアルな概念を前面に押し出していることでしょう。

スピリチュアルと言っても、婦女子(腐女子ではない)が好きなパワースポットや占いのような話ではありません(婦女子ではないが、僕も好きです)。

宇宙の法則的な話です。

阿頼耶識やアカシックレコードのような、宇宙の法則・パワーに関する話がすんなりと納得できる人には、『ツールズ』はまったく問題のない本だと言えます。筆者たちが唱えるハイヤーフォースは、まさにこれらと同質の概念です。

しかし、そんなものはにわかに信じられないという人には、なんだか眉唾に聞こえてきます。

僕の解釈は、こんな感じです。

本当は宇宙にも人生にも意味はないのかもしれない。でも、人間には、これらに意味があると信じたい気持がある。それが宗教や哲学の源泉になっているわけで、現代の物理学だって宇宙に意味があると信じたいから統一的な理論を求めているということもできる。

「スピリチュアル=宇宙や人生に意味があると信じる気持」ととらえれば、それほど抵抗はありません(そして、日本人は元々そういう民族です。その証拠に神社の鳥居に立ち小便ができる人は、めったにいません。ただの木製の構造物に容易に意味を見出してしまうからです)。

意味があるのなら、パワーもあるのでしょう。パワーなどというと、それこそ眉唾だと思うのであれば、ポジティブな気持ちの源泉と言い換えてもいいかもしれません。

ポジティブな気持ちの源泉があって、それにつながる方法が「ツール」なのです。スピリチュアルな講釈はスルーして、「ツール」の威力だけ享受すれば、僕はそれでいいんじゃないかと思います(筆者たちもそのような立場のようです)。

 

は、5つの「ツール」を1枚のExcelシートにまとめてみました。これを持ち歩いて、読み返すようにしています。

2012081501.jpg

上の図では、文字は、読めるか読めないかの大きさにしています。『ツールズ』に書かれていることはわずかこれだけだからです。

もちろん、アメリカ人の書く本の例にたがわず、興味深い事例がたくさん載っています。なので、上のシートを「解読」できたとしても、読む価値はあります。

なぜシートを載せたかというと、たったこれだけのことで人生が本当に変わる可能性があることを、なんとなくお伝えしたかったからです。

僕の周囲には心の強い人がたくさんいます。彼らは「ツール」をそのまま使っているわけではないでしょうが、「ツール」と同等のことを自然にやれているように思います。それが、「心の強さ」の正体だと、僕は思うのです。

ここまで読んでくださった方は、僕と同様、このような心の強さを持っていない人でしょう。

であれば、「ツール」を使うのをお薦めします。

久しぶりに、出会えた!という感じの本でした。

 

追記

記事に共感した方は、ぜひ下記のサイトにもお立ち寄りください。

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▼マーケティングで最も大事なことは自分軸を持つこと。
 Who、What、Whyの3Wメソッドで、行き詰まりからの起死回生を!

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▼自社の考えをインタビューして文書化してほしい方は

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