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では、仕組みやチーム力だけでモノが売れるのはなぜか?
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前回の記事なのだが、すごい長文でしたよね? 6300字を超えている。
雑誌ならなんてことはない量(B5判で約4ページ分、実際はイラスト等入れるので6ページ分ぐらい)なのだが、Webだと結構きつい量だ。
なので、完読する人が30人、「いいね!」をつける人がその1割の3人ぐらいと予想していた。僕としては、それで十分だった。
ところが、伝えたいという意志が強かったせいか予想以上に読まれてしまった。そうなるとフォローが必要だと考えるようになった(この辺、たとえ読者が一人でも配慮する必要はありました。読む人が限られるはずだという変な前提があったもので甘えがあったと思います。反省)。
というのは、僕の友達にも仕組みやチーム力だけで売れるという営業コンサルタントが何人かいるからだ。
実際、彼らは結果を出している。
彼らがコンサルした企業は、軒並み業績が伸びている。
つまり、「仕組みやチーム力だけで売れる」というのも本当のように見える。
しかし、実はこれには、もっとちゃんとした理由があるのだ。
前回書いたように、エンジニアに基礎教育が必要ならば、営業にもそれは必要なはずだ。
コンピュータの基礎も分かっていない新人SEに開発プロジェクトに入ってもらうわけにはいかないのは誰にでもわかるだろう。あなたがシステムを発注する側だとして、教育もしていない新人がプロジェクトチームにいたら、腹が立つはずだ。何よりもチームメンバーが迷惑する。
営業もチームで動くのなら、個人で動くときよりなおさら教育が必要となるはずなのだ。チームに入って戦力になれるだけの基礎教育が必要になる。チームは足を引っ張る人間が嫌いだからだ。助け合いでチーム力を発揮できるなどというのは幻想に過ぎない。
平均的な営業マンの能力を1としたら、トップ営業は2~10以上まで多様だろう。ビギナーは0.1ぐらいだ。仕組み/チーム力系営業においては、2以上はいらないが、0.1も困ってしまう。全員ができるだけ1に近いほうがいい。
上も下も、どちらでも突出した人間は要らない。せいぜい0.7~1.3の振れ幅に収まってほしい。
仕組み/チーム力系営業というのはトップ営業がいなくても営業ができるということであり、足手まといばかりでも大丈夫ということではないのである(注)。
(注)といっても、これはどんな組織でも同じことだが、2割ぐらいは"足手まとい"がいるということは想定する必要がある。なお、"足手まとい"というと能なしの役立たずのように捉える人がいるかもしれないが、それは違う。単にチームに迷惑をかける人という意味で、これには3通りある。1.必要な基礎教育が欠けている人、これは適切な教育で是正されることが多い。2.たまたま今の職種で才能のない人、これは職種を変えればうまくいくことが多い。3.能力はあるのだが、敢えてやらない人、これは不満のある人で環境を変えればうまくいくことが多い。ただ100%の適材適所は難しいし、組織は流動的なものなので、どうしても2割ぐらいは迷惑な人がいるということを想定しておくべきだということである。
ただ、仕組み/チーム力系のコンサル諸氏は、ビギナーが混じっていても、ちゃんと売れるようにしている。
では、僕の言っていることは間違いなのか? やっぱり営業マンの基礎教育は不要なのか?
そうではないのです。
コンサル諸氏は、月に1回以上の訪問をするのだが、そこでコーチングという名の教育をしているのだ。
彼らは、実に巧みに、実に自然に教育を実践している。なので、自分たちが教育していることすら忘れているのだ。
やや言い過ぎなのは許してほしい。ここは分かりやすく表現したい。
仕組み/チーム力系のコンサルタントは、やっていることは正しいが、自己分析がイマイチ足りていないのだ。
おそらく、仕組みやチーム力だけで売れるという本を買って、そのままやってみて、実際に売れるようになったという会社は少ないはずだ。
本を読んで共感したのでやってみたが、イマイチうまくいかないので、コンサルを頼んだらうまくいった。これがほとんどだと思う。
やっていることは正しいのだが、やっていることへの分析が不足しているので、ノウハウとして伝わらないからだ。でも、それは頭が悪いというよりは、彼らが行動派であることを示していると好意的に解釈すべきだ。分析ばかりしている評論家よりも結果は必ず出してくれる。
あなたがこの手の本を読んで共感し、自社でも取り入れたいと思うなら、必ず著者に連絡を取ってコンサルティングを依頼しよう。著者自身が多忙を理由に断ってきても、しかるべき人を紹介してくれと食い下がろう。
チーム作りもできるし、一人一人の営業マンも鍛えてくれる。そして売れる。いいことづくめだ。
その代わり独力でやろうと思ったら、無駄な時間とコストをかけることになる。コンサルを雇った方が結局は安上がりだと知ってほしい。
行き方が違うだけなのだ。
我々は営業の基礎を、セミナーで直接教えたり、育成法を教えることで間接的に教えたりしている。その方が多くの人に届くと思うからだ。吉見さんはコンサル指向ではなく、講師指向なのだ。
チーム力/仕組み系コンサルの人たちは、自分たちのクライアントにみっちり教えることを好む。こちらは間違いなくコンサル指向であり、講師指向ではない(セミナーで講師をしたり、本を書いたりもするが、これらはコンサルの仕事を獲るための手段に過ぎない)。
その違いであり、やっていることの本質は同じなのである。
※前回の記事は、我々の指向性がどっちつかずになっていたので、明確に定めたいという意図もあった。それに対して、多くの人が「いいね!」をつけてくださったことが本当にありがたい。