誠ブログは2015年4月6日に「オルタナティブ・ブログ」になりました。
各ブロガーの新規エントリーは「オルタナティブ・ブログ」でご覧ください。

【電子書籍うろうろ(7)】迷い道くねくねだが・・・

【電子書籍うろうろ(7)】迷い道くねくねだが・・・

森川 滋之

ITブレークスルー代表、ビジネスライター

当ブログ「ビジネスライターという仕事」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/toppakoh/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


いやあ、けっこうはまっています。悪い意味で。

電子書籍をKindleで売るために、縦書き・右綴じの電子書籍を作ろうとしているのだが、いかんせんまったく金をかけずに、ネットでの調査とフリーソフトだけでやろうとしているので、なかなか答えが見えてこない。

何しろ、ここ数年の電子書籍周辺の技術の進歩は著しく、ほんの半年前ぐらいにできなかったことが、いまはできるなんてことは珍しくない。しかし、数年前の知識でも役に立つことも少なくない。

ネットで検索して上位に出てくるのが、いま現在有効な記事なのかは、ある程度吟味しないと分からない。これが、電子書籍に関するネットでの記事の状況である。時間がかかるのだ。

枯れていない技術というのは得てしてこういうもので、CGIがいいのかASP(マイクロソフトのやつ)がいいのか、はたまたJavaScriptでやれちゃうのか、最近PHPとかって出てきたけどどうよ?なんていう10年以上前のWeb開発の世界のようだ(最近ほとんど使われていないけど、Javaアプレットなんていうのもビジネスソフトの世界でまじめに使われていた時代だった)。

まあ、カオスな状況ですが、HTMLの標準化の道のりの反省などもあって、あの頃ほど混沌としていなく。道筋はある程度見えている。おそらくEPUBとHTML5あたりがお互いいいとこどりをしながら、融合していくような感じなのだろう。そこに、Kindleがmobiとかわけのわからん形式を採用しているから、よく分からんことになっている。

たぶんそんな感じだ。当たらずといえども遠からずだろう。

しかしながら、電子書籍の販売プレーヤーとしてAmazonは無視できない存在なので、いやいやながらも、KindleがEPUBかHTML5をサポートするまでは、なんとかmobiで電子書籍を作れるようにならないと売るどころか、アップロードもままならないのです。

 

■ 発注側にもある程度のスキルは必要

そんなことは、外注してしまえという向きもあろうが、ビジネスとしてやるからにはある程度のスキルはないといけない。

そうでないと業者のいいなりに金を払うことになる。ある程度しくみを知っていないと適切な役割分担も、発注のための仕様作成もできないからだ。

あえて"ぼったくり"と書かないのは、僕も業者側にいたからで、業者側から見れば、何も知らないユーザーは、カモというよりはリスクなのだ。どこまでサポートしていいか分からないから、勢い高い見積もりを作ることになる。

ユーザー側もある程度のことは知った上で外注するのが、お互いリスクを最小限にする有効な手立てなのである。

とはいうものも、ちょっと時間を取り過ぎている感じもする。

とりあえずは、ここ数日の顛末を、できる限りまとめた形で書いていこう。

 

■ 結局どちらの方針もつまづいた

2つの方針があった(下図)。

2013021303.png

どちらの方針も、元原稿を青空文庫形式にするところと、最後はパブリックドキュメントとしてKindleにアップロードするところは同じ。ツールが違うだけだ。

前回は、それならばと青空文庫形式のテキストファイルだけ作成し、どちらにするかをこれから決めるというところで終わった。

結論を言うと、どちらも実際にやって、どちらもつまづいた。

 

■ ChainLPをWindows7にインストールするのにはまる

実際は、方針2を先に採用した。ChainLP自体フリーソフトだが、かなり気合の入ったソフトで(変更履歴がほとんどのマニュアルが印刷したらA4で70ページ以上!)、評判がよく、使い勝手も良さそうだったからだ。

出力形式にEPUBもあるので、KindleでEPUBがサポートされたとしても使える。

ただし、作者自身は、EPUBもmobiも画質は良くないので、おまけ程度で考えてほしいとマニュアルに明記している。その辺は、実際に試してみないと分からない。

まず最初に僕が見た限りの記事ではどこにも書いていなかったのだが、Windows7で動作させるには注意が必要だ。

僕はこれが分からず、数時間を無駄にしてしまった。

結論だけ言おう。

ChainLPは、Zipファイルを解凍して、適当なフォルダにおき、同じフォルダに必要なDLLを置けば動作するソフトである。レジストリは使わないので、アンインストールするときはフォルダごとファイルを削除するだけだ。

ぼくは、最初"C:\Program Files"フォルダの直下にChainLP用のフォルダを作成した。すると、きちっと動かない。プログラムを終了させるだけで変なメッセージが出る。また、PDFファイルは一応作れるが、EPUBもmobiもエラーメッセージが出て作成することができない。

マニュアルをよく読むと32ビットアプリだと書いてあるので、今度は"C:\Program Files(X86)"の方に移動した(僕のPCは64ビットCPUなのだ)。それでもまったく同じ。

幸い32ビットのWindows7 PCがあったので、そちらの"C:\Program Files"フォルダの直下にコピーしてみた。しかし、現象はまったく同じ。

不運なことにXP PCは年末に手放したばかり。

原因が分からずあきらめかけていたのだが、ダウンロードフォルダに解凍したものがあったので、そこから起動してみたら、どの場合にもまったくエラーメッセージが出なくなった。そして、EPUBもmobiも作れるようになったのだった。

おそらく、プログラムファイルフォルダに置くときに、何らかの権限設定をしないといけないのだろう(たぶん、書き込みと実行権限だ)。しかし、面倒なので、現在はダウンロードフォルダに置いて使っている。

このあたり、Windows7のヘビーユーザーには常識なのかもしれないが、僕には初めての経験だった。 

 

■ Kindle無料アプリでは右綴じPDFを認識しない

そういうわけで、最初はPDFしか作れなかった。そこで、結果としていろいろ寄り道をすることになった(下図)。

2013021504.png

まずは、寄り道1。

最初はPDFしか作れなかったので、それを試しにパブリック・ドキュメントとして、Kindleにアップロードしてみた。

すると、ルビと目次は見事にできていたのだが、なぜか左綴じになってしまった。

いろいろ調べていたら、PDFを右綴じにしてくれるRightFileというフリーソフトを見つけたので、それを試してみた。

ところが、出てきたメッセージは、「右綴じです!」というもの。すでに右綴じなので、変換する必要がないという意味だ。つまり、ChainLPは正しく右綴じのPDFを作ってくれていたということ。

試しにArobe Readerで2ページ見開きで閲覧したら、確かに右から左にページが並んでいた。

そこで、もう少し調べると、今度はsend-to-kindleというAmazon提供のフリーソフトを使って、Kindleに置くと右綴じで見られるようになるという記事を見つけた。ただし、これはKindle WhitePaperユーザーの記事だ。

ダメもとでやってみたが、やっぱりダメだった(これは、おそらくKindle WhitePaperならうまくいくということだろう)。

ここまでで分かったのは、iPad版のKindleアプリでは、右綴じのPDFでも左綴じに見えてしまうということだ(Android版も同じ)。

うーむ。無料アプリだからなあ、あまり文句は言えまい。

ただ、僕はPDFのフォーマットをよく知らないので、Kindleの無料アプリでもきちっと表示される右綴じPDFもあるのかもしれない。

 

■ mobiでも右綴じを認識しない!

mobiファイルが作れるようになったので、これをパブリック・ドキュメントとしてKindleのクラウドにアップロードしてみた。

ところが、これも右綴じにならない。そればかりか、目次まで無くなってしまった!

フォントの大きさ変更はできる。

ただ、作者がいうほどできあがりは汚くない。写真や図版等がないからだろう。小説など、文章だけのファイルであれば、ChainLPでmobiを作ってもかまわないと思われる。

以上は、iPad版の話。Android版では、スクロールバーを見る限りでは、どうやら右綴じになっている。ところが肝心の本文が全く表示されない。目次もどうやら消えてなくなっているようだ。

さて、ChainLPでは、中間的にEPUBファイルを作り、KindleGenを利用してmobiにしている。KindleGenにバグがないとすれば、EPUBを作る段階で失敗していることになる。

そこで寄り道2。ChainLPでEPUBを作成して、それをiPadのeBooksで閲覧してみることにした。

すると、右綴じで、パラパラめくりまででき、しかも目次も完璧ではないか!

ただ残念ながら、フォントサイズの変更は、なぜかできなかった。

であれば、KindleGenかKindleアプリのどちらかに問題があるということになる。おそらく目次の不具合はKindleGen、右綴じにならないのはKindleアプリのせいではないだろうか。

なお、KindleGenはコマンドプロンプトで動作するexeファイルである。引数にEPUBファイル名を与えるとmobiファイルを作ってくれるというものだ。試しに、手打ちでChainLPが作ったEPUBファイルをmobiに変換してみたが、結果は(当然ながら)まったく一緒だった。

しかし、PDFもmobiも右綴じにならないのだとすれば、僕が読んだ『人間失格』他の右綴じの電子書籍はいったいどうやって作っているのだろうか?

 

■ AozoraEpub3では、また違った結果

方針1のAozoraEpub3のほうは、実際には、ChainLPのインストールではまって、EPUBもmobiも作れなかったときに、こちらもやってみるかと試したのだった。

結果は多少違っていた。

iPadでは、横書き・左綴じになってしまう。Androidでは縦書き・右綴じに成功。なお、両方とも目次はできた。Android版は完璧、iPadでは目次の最初の文字だけだけがなぜか大きくなってしまった。

ちなみに、どちらも文字はきれいで、その部分では問題ない。フォントの大きさも自由に変更できた。ルビもきちっと振られている。

となると、AozoraEpub3のほうが、Kindle向きのEpubファイルを作っているのではないかと想像される。

とはいえ、iPadで横書きになってしまうのでは、あまり意味がない。

以上、分かったことは、次の通り。

  • 筆者の作った青空文庫形式のテキストファイルには、問題はないようだ
  • AozoraEpub3でもChainLPでも、無料のKindleアプリでは縦書き・右綴じの電子書籍を作ることはできなかった(ただし、AozoraEpub3+Androidで成功したのを除く)

 

■ 100円の電子書籍を買うことにした

EPUBだったら、もうとっくに作れている。しかし、Kindleにこだわる限りは、いまのところEPUBでは辛い。

筆者がKindleにこだわる理由は、現在の日本で、自作の電子書籍が売れる可能性が高いのはKindleだと思うからだ。

どうもネットを見ている限りでは(勝手な想像かもしれないが)、Kobo touchやSONYのReaderを買う人は、電子書籍購入よりも自炊が目的のように思えるのだ。もちろん、書籍購入が目的の人もいるだろうが、多数派ではないような気がする。

その点、KindleはSDHCカードが使えないなど、およそ自炊向きではなく、どちらかというと購入派が集まっているように感じられる。

また、書籍のマーケティングということに関しても、楽天やSONYよりもやはりAmazonという気がするのである。

気がするとか感じられるとか、薄弱な理由ばかりであるが、少しでも可能性が高いと思うところに注力したくなるのが人情というものだ。

ということで、僕はあくまでKindleにこだわるのだが、しかし、ここまでやってきて、無料の世界ではなかなか埒(らち)が明かないというのが正直な気持ちである。

そこで、先日紹介した『日本語縦書きKindle本の作成手順』を買うことにした次第だ(すでに購入した)。100円の出費だ。

しかし、ここでもまた、Kindleがらみのトラブルに巻き込まれることになる(これについては次回)。

ああ。Kindleよ! 僕にどこまで試練を与えようというのだ......。

 

■ Youtubeで脱力系のコンテンツばかり見ているからだ

さて、ここまで書いて、僕も読者も脱力するようなことに気がついた。

僕は、Kindleで本を売りたいといいながら、まだKindleでの出版の手順を知らなかったのである(間抜けだ)。

それについては、ここに書いてると分かったので、今後見ていこうと思う。

▼Kindleで本を出版する
http://www.amazon.co.jp/gp/help/customer/display.html/ref=hp_left_sib?ie=UTF8&nodeId=200712590

最近、Youtubeで「紙兎ロぺ」とか「Peeping Life」とか、脱力系のコンテンツばかり見ているからだろう。すっかり、人生を舐めてしまっているようだ。

つづく

このシリーズは、電子書籍で収入を得たいと考えている筆者が、電子書籍のまったくの初心者からはじめて、電子書籍を売るようになる(予定)までを、ほぼリアルタイムで記述していこうという趣旨のものである。電子書籍の専門家がレクチャーしているものではないので、ところどころ不正確なところはあるが(勘違いは回を追うごとに修正)、筆者自身が実際に試したことを書いている。同じような目的を持った方や、ドキュメンタリーとして楽しみたい方に向けたものだ。また、新しいスキルを習得するための方法論を知りたい方の参考にもなるかもしれない。

 

追記

記事に共感した方は、ぜひ下記のサイトにもお立ち寄りください。

top.jpg


head_catch.gif