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運が平等だとか、運を引き込むだとかは、科学的には嘘っぱち~確率論を知って謙虚になる(一日一言 #87)
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運不運はいたし方のないものであり、思っている以上に偏っている。それを知って戦略を立てるべし。
●解説
科学的真実というのは、とてもシビアなものです。
その中でもっともシビアなものの一つは、逆正弦定理でしょう。
こちらの記事の、特にグラフをよく見てください。
http://www.geocities.co.jp/WallStreet/2077/money/20041106arc.html
これは何を表しているかというと、運・不運はやればやるほど広がっていくということであり、それが数学的に証明されているということです。
別の言い方をすれば、世の中にはやたらと勝ちが多い人とやたらと負けが多い人がいるというシビアな真実があるということです。
ちなみに、勝ち続ける人と負け続ける人の分布は、下図のようになるのだそうです。
▲この図は、http://www.geocities.jp/knu777/wana/wana_arcsin.htmlから借用しました。
上図は、0.5を境に左は負け組、右は勝ち組ということになります。0.1と0.9付近を境に急激に赤線の傾斜が変わるのがお分かりでしょうか?
これが意味するところは、10人いれば、そのうちの1人は極端に負けが多く、1人は極端に勝ちが多いということです。運の偏りは想像以上に身近だということなのです。
上図は、パチンコのボーダー台(収支がとんとんになる台)を使ったシミュレーション結果です。つまり期待値がゼロの競技は、ほぼこのグラフの通りとなるということです。コインの裏表で勝敗を決める競技などがその例です。
さて、以上は数学的なモデルであり、現実はもっと複雑だ、という意見もあるでしょう。
ただ、現実はもっと複雑だから、余計に勝ち続ける人と負け続ける人が増えると考えたほうが無難です。なぜなら勝ち続けると、どんどん有利な環境を整えていけるというのが現実世界だからです。
だからと言って、悲観するのではなく、世の中というのはこういうものだと知ったうえで戦略を立てることが大切だと私は思うのです。
今まで負け続けてきたから、今度は勝つだろうという安易な確率論に頼らないというが第一。
また、自分が負け続けている実感があるのなら、勝ち続けている人の言うことを聞いてもあまり役に立たないということを知るのも重要です。
そうではなく、負け続けているのであれば、土俵を変えるのが正しい選択ではないでしょうか?
土俵を変えれば、そこでは勝ち続けられるかもしれないからです。
●裏解説
「人間(じんかん)万事塞翁が馬」という故事を我々は知っています。
人生の運不運は分からないというのが元々の意味ですが、幸運と不運はつりあうという意味で捉えている方も多いように思います。
後者が間違いとは言い切れませんが、塞翁のように不運と幸運が連続して繰り返すのはむしろ稀であるということは、実感としてお分かりではないでしょうか。
さて、世の中の成功者の多くは、勝ち続けていた側にいた人だと思います。
成功者は、後付けで成功した理由を言いますが、実際には運が良かっただけの人が多いということです。成功者というよりは幸運者。
しかし、そういう人に限って、自分の「成功法則」を人に教えようと考えるようです。それが、成功していない人をさらに不幸にしていることも往々にしてあるように思います。
※そうでないのであれば、成功者の多くはなぜ後継者育成に失敗するのでしょうか?成功法則があるのなら後継者に教えればよいだけのことです。
成功者と能力的には大差がなく、行動面でも遜色のない人でも、運に恵まれず成功していない人もいます。このような人が運のいい人のマネをし始めたら、結果は悲惨。
成功者は、自分が単に幸運者だったことを知り、もっと謙虚になるべきではないでしょうか?
※本当の成功者はそれを知っているので、ものすごく謙虚な人が多いようです。
いずれにしろ、運は万人に平等に配分されているとか、運を引き込むための法則がある、などというのは、嘘っぱちだと思うほうが私は幸せな人生が送れるように思います。
そのような考え方に依存するよりも、運不運というのは人間にはどうしようもないものだということを受け入れて、自分らしい戦略を立てることを、私なら考えます。
※ただ信じる者は救われるというのも真理でしょう。なので、別の選択を否定するわけではありません。
(補足)この記事を読んで、森川は成功・失敗は運不運によるものだと決め付けていると誤解された方もいるかもしれません。
本当は、成功者は自分の成功を運によるものだと謙虚になるべきだし、成功していない人は安易に成功者のマネをするのではなく、土俵を変えるなど戦略を練り直すべきだということが言いたいのです。
ただ、いろいろな思いが錯綜してしまったのと、元々筆力がないのとで、うまく表現しきれていません。
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某SNSで、逆正弦定理に関する議論をしているのを見ましたが、思い込みの激しい人ほど声が大きいと分かりました。
大数の法則があるのだから、最後はみんな平等になるはず、というようなことを言う人ほど、強い調子で言うんです。
時間軸が無限であれば、確かにそこへ収束していくでしょう。逆に言えば、人生ぐらいの短い期間であれば、ばらついているのが普通だし、かなり偏っているほうが自然に感じるのですが・・・。