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優れたリーダーの考え方~人間力とは「賢慮」のこと(#101)
当ブログ「ビジネスライターという仕事」は、2015年4月6日から新しいURL「http://blogs.itmedia.co.jp/toppakoh/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。
リーダーは清濁併せ呑んで目的に向かって進まなければならない。そして、その基底には善悪の判断がなければならない。
●解説
『美徳の経営』という本を先週から読んでいます。
※私は、本のリンクはすべてアフリエイトしていますが、アフリエーターではありません。どうせ買うなら、こっちから買ってよぐらいな意味合いもありますが、どういう記事や本に興味があるのかを測定する指標としてやっています。これによると、私の記事の読者には、テクニックよりも本格的な理論や方法論に関心のある方が多いようです。
これがなかなか奥深い本でして、理解するために松下幸之助の言葉をまとめた本を読んだりしているので、なかなか読み終わりません。
この本で強調しているのが、「賢慮」という言葉。これがなかなか歯ごたえのある概念でして、著者は、アリストテレスやマキュアベリを例にしながら論を進めていきます。
とはいえ、これも抽象的かつあいまいでなかなか理解することが出来ない「人間力」という言葉がありますが、それを一言で理解できるキーワードが「賢慮」のような気がしてきました。
同書のP142の終わりからP143にかけてこのような説明があります。
賢慮はそもそも、論理の世界では割り切れない複雑な現実のなかで、それこそ清濁合わせ飲みつつ、目的に向かって実践する知恵である。ただし、その際、善悪判断が基底になければならない。
私は、これより簡潔に「人間力」を説明した言葉を知りません。
●裏解説
松下幸之助の著書や言葉をまとめた本を読んでいると、松下さんはまさにこの賢慮であることが分かります。
本田宗一郎も、スティーブ・ジョブズも、賢慮といえます。
私が思い出したのは、 石田禮助でした。
三井物産に35年間勤め、その後財界人からはじめて国鉄総裁になった人です。
当時の国鉄は問題が山積で、誰も総裁になりたがらなかったのだそうです。
城山三郎がすばらしい伝記を書いています。
「粗にして野」の部分は、「論理の世界では割り切れない複雑な現実のなかで、それこそ清濁合わせ飲みつつ、目的に向かって実践する」に対応し、「卑ではない」の部分が、「善悪判断が基底になければならない」にみごとに対応します。
善悪というのは、それをしてを卑しさを感じないかを自分に問うて、判断するものなのですね。
もちろん、問うて正しい答えを出してくれる自分をつくっていく必要があります。それが「基底」という言葉の意味です。
「粗にして野だが卑ではない」というのは、石田自身が自己紹介として使った言葉ですが、彼は「賢慮」(=リーダーの条件)とは何かを知っていたんですね。
一読をお薦めします。
今回より記事タイトルから「一日一言」という文言をはずしました。
これを書いている時点では、まだ変更されていませんが、ブログ・タイトルを「突破口を開く一日一言」に変えてもらうよう申請したからです。
100エントリーを区切りに、新たな気持ちで頑張りたいと思ってのことです。
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