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趣味と仕事と収入と

趣味と仕事と収入と

横山 哲也

グローバル ナレッジ ネットワーク株式会社で、Windows ServerなどのIT技術者向けトレーニングを担当。Windows Serverのすべてのバージョンを経験。趣味は写真(猫とライブ)。

当ブログ「仕事と生活と私――ITエンジニアの人生」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/yokoyamat/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


「タイトルに迷ったら、3つの単語をつなげる」と、評論家の岡田斗司夫さんは言っていた。第一世代の「おたく」である岡田さんは、例として、アニメ「新エースをねらえ!」のサブタイトルを挙げていた。なるほど、Wikipedia「エースをねらえ!」の「新・エースをねらえ!(テレビアニメ版第2作)」によると、第1話「ひろみとお蝶と鬼コーチ」に始まり、最終話「輝く未来と永遠の別れと宗方仁」まですべて「○と○と○」という形になっている。

さて、前回は「私の50個の仕事を考える」を紹介した。タイトルとは違い、実際には30しかなかったことはご容赦願いたい。

リストを見ると、大ざっぱに言って、ざっと1/3が会社でしている仕事、1/3が趣味、1/3は何でもないことであることが分かった。

中学時代に読んだ雑誌記事には「(実際にもらうかどうかはともかく)お金にならない作業は趣味とは呼ばない」と書いてあった。別にそんな定義はないのだが、面白い考え方だと思った。

たとえば「寝るのが趣味」と言う人がときどきいるが、それだけでは趣味にならない。安眠のための方法を本にしたり、講演会ができるレベルになって初めて「趣味」になる

「読書」も駄目で、書評を書いて原稿料をもらったり、今ならアフィリエイト収入を得たりしないといけないことになる。

もちろんお金にならない趣味だってあるだろうが、今の趣味をもう少し深めたいと思っている人には「お金にする方法」を考えるのも面白いだろう。

つまり、収入を得る目的でするのが「仕事」、収入を得ることも可能だが実際にはもらわなかったり金額が小さかったりするのが「趣味」、金にならないものは単なる「好きなこと」または「できること」である。

若手芸人や劇団員など、この図式にあてはまらない場合もあるが、ここまではなんとなく理解できるのではないかと思う。

問題は、ここから先である。どうも最近は、仕事でも趣味でもない「好きなこと」や「できること」を、他の人にすることが重要になってきているらしい。

たとえば、私は冷蔵庫にあるあり合わせのもので適当に食事を作るが、料理は趣味でもなんでもない。実際、作るものは相当いい加減である。

たとえば、味覇(ウェイパァー、中華スープの商品名)を入れて炒めればなんとなく中華になるし、しょうゆとみりんを1対1で入れれば和風の煮物ができる。

しかし、今だと、趣味でも何でもない、そのへんのものを適当に炒めて「料理」と称しても、提供すれば喜んでもらえるだろうし、状況次第でお金がもらえそうな気がする。

仕事でもないし、趣味でもないが、他人のために無償労働することは昔からあった。特に地域社会では、自分が労働を提供しておけば、別のときに手伝ってもらえる可能性が高まる。これを「お互い様」と呼んだ。

コミュニケーション手段が限られていた頃、無償労働は近所付き合いの一部のみで行われていた。また、地域生活者の義務でもあった。人間関係がわずらわしくなりがちなので、今ではあまり見られない習慣であるが、1970年代までは都市部でも一般的だったのではないだろうか。

私の子供の頃は、両親が忙しいとき、近所だというだけでよその家に預けられたことがしばしばあった。同じくらいの年齢の子がいれば、テレビ見て夕食をごちそうになって、風呂まで入って帰ってくることもあった。カラーテレビを買った家には、特に頻繁に通ったものである。

インターネットが発達した現在、こうした無償労働が再び注目されそうな予感がする。オンラインコミュニケーションだと、気の合わない相手は簡単にシャットアウトできるし、気の合う仲間でもプライベートな部分までは踏み込めないため、義務にはならない。むしろ、自分の評価を上げるための権利になる。こうした関係は、新しい「近所付き合い」となるはずだ。

ベビーシッターは地理的な制約があるものの、ちょっとした「お手伝い」はずいぶんとやりやすくなった。シェアハウスの増加も、昔ながらの密接な近所付き合いの復活と考えることもできる。

必要以上にプライバシーに踏み込まず、困ったときはお互い様という、新しい生活スタイルができつつある。

こうした背景で生まれたのが、岡田斗司夫氏の提唱するFREEex組織である。FREEexはまだまだ実験途中の組織形態であり、上手く説明できるかどうか分からないが、次回に取り上げてみたい。

Copycat-02
▲写真集「COPYCAT」より

「お金にならない作業は趣味とは呼ばない」 ということで作った写真集「COPYCAT」「COPYCAT 2」。今年もコミックマーケット(コミケ)で売ります。