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マーケティングからみた 大河ドラマ「平清盛」 失敗の理由

»2012年10月27日
ゲーム開発市場の歩き方

マーケティングからみた 大河ドラマ「平清盛」 失敗の理由

河井 良晃

ゲーム業界に興味のある方、まずは読んで下さい。ゲーム業界の中でも知られざる世界の歩き方を教えます。企画からサーバ構築までを手がけるゲーム開発会社経営者として営業・企画に携わっています。

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(注)私は自宅でテレビを見ないので、今回の記事は番組の公式サイトや周辺の記事等を参考として書きました。


NHK大河ドラマの平清盛が低視聴率とのこと。
今は衛星放送でもやってるし、録画もあるので昔のような数値は取れないと思うのですが、評判を見ているとどうも録画すらあまりされていないような様子です。
どうも面白く無いという話ですが、そもそもどういう意図を持って作られたのかが曖昧に感じるのです。

近年の大河ドラマのターゲット層は女性層、それも歴女のような歴史に詳しいタイプではなく、ホームドラマなどを観るタイプを狙っている節があります。
これは21世紀に入ってから顕著なのですが、ホームドラマ的な作品(利家とまつや篤姫など)が視聴率が良いので、そうした層を狙いがちになると考えられます。

では平清盛はターゲット層に合う題材なのかというと、これがあまり合わないのです。
平清盛を主役とする以上、彼の功績をストーリーのメインに持ってくるのが基本です。
ところが功績として挙げられるのが日宋貿易の推進や武家政権の樹立などで、この題材ならむしろ男性向けです。また、平氏政権の盤石化に失敗したなど夢を果たしきらずに終わった点などは歴女向けとも言えます。
それでターゲット層を変えたのかというとそういう話は聞こえて来ません。
むしろ適当な歴史考証や改変などはかれらと決別したいようにすら思えます。

それなら「ホームドラマ好きな女性」向けにしたのか?
ある程度はホームドラマっぽくしたようなのですが、中途半端です。
そもそも平清盛はコンパクトなホームドラマにするにはスケールの大きすぎる人物です(強引にするのなら舞台を清盛の家にし、出演者を家族程度にして家庭内だけ描写する、という方法もあるのですが)。

つまり「ターゲットを変える」「商品を変える」いずれにも失敗しています。
これでは視聴率が低くて当然です。

ゲーム業界でも良くあるのですが、
「この商品はターゲットに合うのか?」
を考えないと失敗します。

そういえば大河ドラマネタのゲームというのもあまり聞かなくなりました。
平清盛になって天下を取るシミュレーションゲームとかアクションゲームとか出てきてもよさそうな気がするのですが、今回の大河ドラマに前後して出たのは恋愛ゲームが1本とは寂しい限りです(テレビと違ってヒットしたのが救いです)。