誠ブログは2015年4月6日に「オルタナティブ・ブログ」になりました。
各ブロガーの新規エントリーは「オルタナティブ・ブログ」でご覧ください。
プレイボーイについて語りたい、いくつかのこと(2)ーー男が興奮するのは、女の裸だけではない、を文化にした100万部雑誌
誰も書かなかった、広報女子部ログ
プレイボーイについて語りたい、いくつかのこと(2)ーー男が興奮するのは、女の裸だけではない、を文化にした100万部雑誌
「広報女子部」発起人。美容室広報担当。中小企業の中での広報活動に限界を感じ、広報の集まりである「広報女子部」を設立。月1回の勉強会を通じて、他社の広報との情報交換をしている。
当ブログ「誰も書かなかった、広報女子部ログ」は、2015年4月6日から新しいURL「http://blogs.itmedia.co.jp/703mix/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。
「人生相談」という言葉を聞く時、どんな印象を受けるだろう?
きっと、新聞紙のすごーくまじめな人生相談を思い浮かべるのではないだろうか。義母が冷たい...、父がアルツハイマーに...、近所付き合いが...、生まれた子どもが障害を...、非常に深刻な悩みが毎回並び、普通の読者としては「ああ、こんな大変な人がいるなら、自分はまだよいほうだ」なんて思ってしまう。
しかし、公に晒しても、それって大変だよね」と思うものだけが、皆の悩みか、といったら、そうではないと思う。
そもそも、わたしがプレイボーイ人生相談を知ったのは、さすがに週刊プレイボーイからではない。
社会人になってから、岡本太郎さんを知ったわたしは、いろんな本を読みあさった。その本の中で「太郎に訊け!(1)」だったと思うのだが、巻頭にダイジェスト的に人生相談が載っていたと思う。その人生相談が、なんとも短い。しかし、すっごくパンチがある。事実を確認しようと書棚の中から引っ張りだすと(2)しか見当たらなかったので、正確な引用ができないのだが、確か相談者(もちろん若者)が、「(何か彼にとって重大なことがあって)もうどうしていいかわからない」という相談に対して、太郎さんは、
とりあえず、50m走れ!
と言っていたと思う。(正確な表記知っている人いたら、教えて下さい)
「ご、ごじゅうメートル?」と思ったわたしは、その回答に一理ある、と思った。いろいろ考えても進展しないものは、頭で考えていても仕方ない。とりあえず一度頭を真っ白に、身体を動かしてみたらいい。
そして、この手の回答は、親や先生や上司や肩書ある人たちは誰も言ってくれない言葉である。人生相談をプレイボーイで初めて企画した「週刊プレイボーイ」編集長 島地氏は、「プレイボーイは関東のヤンキーのアニキ分でありたい」と、BSドキュメンタリードラマで言わしめていた。まさに、アニキ。利害関係で縛られている肩書のある人から言ってもらえない珠玉の言葉。
今の時代は、上司だ部下だ。チームだ、と言っても、アニキがいない(いや、いるのかもしれないけど、あんまり、いない)
昔もそうだったかもしれない。ましてや2chもないしね。適当に「オレ、ツライんスよ」みたいなことをポロッと言える場はなかったかもしれない。
あまりに記事が長くなると、くどくなるので、この相談指南役については、ブログ外に以下のまとめを作ってみたのでご覧頂きたい。
男が興奮する人生相談。1966-2006『週刊プレイボーイ』の人生相談役まとめ
書籍の中では、時代ごとの指南役をごちゃまぜに並べてある。これは、何か編集部の意図があるのだと思う。担当した指南役によって、期間がまったく違うので、そのバランスを感じさせないようにしたのかもしれない。しかし、こちらとしては時代や背景、社会風俗もわかった上で読みたいので、まとめ内では時代ごとに並べさせていただいた。
本当は、人生相談の引用もしたかった。が、あまりにもどれもよすぎて、しかも割愛できず(だって、もともと回答者が作家だらけ。過不足がないのです)、指南役をただただ並べることになってしまっている。しかし、各指南役が務めた人生相談のタイトルをまとめに入れさせて頂いたので、そのタイトルから作家の勢いを感じてほしい。
最後に、この人生相談を2年弱務めた今東光和尚の回答から、1つだけ引用しよう。
相談者:
ズバリ質問させていただきますが、「正しい人生」とはなんでございますか?(後略)
今東光:
「正しい人生」とか「何とかの人生」なんてものはないよ。本人にとっての人生しかないんでね。自分にとっての人生しかないんだ。おめえが十八なら、「十八の人生」というものしかないよ。それしか、オレは言いようがないね。正しいとか何とかというものは、人が見て正しいか正しくないかというだけのことで、本人にとっては正しいかどうかは、わかりゃあしないんだ。(後略)
これは後略しているから、全編を読んだ方が圧倒的におもしろい。このブログ記事を読んでいる人には全員にこの本を買ってもらいたいと思っているし、もし個人で買わない人は、社長室に一冊置いておいてもいいかもしれない。社長って、経営が仕事だし、ワンマンだったりすると何を言っているかわからない時もあるけれど、何か彼の流儀があってやっているんだぜ、と背中で見せられるといいな、と思う。そして、こんな人生相談を社員から受けられるくらいの泥臭いダンディズムを漂わせられる社長だったら、本当にカッコイイと思う。
この記事を書く時に、これで中古の品が全部売り切れちゃったらどうしよう?みたいな心配に襲われた。だって、この本めちゃめちゃいいから、大事な人には渡したいシチュエーションとかありそうで(今のところ、ないけど)。すっごく人生に悩んでいたり困っていたり、うじうじしてたり、そんな人に「君はさ、悩んでるくらいだったら、50m全力ダッシュで走って、これを読んだらいいんじゃないかな」と渡せたら、なんか、カッコイイ。
ということで、男性は是非読んで下さい。ぶら下がり社員さんもどうぞ。とはいえ、わたしが望むような結果にはならないのかもしれないけれど、それでも何か思ったことがあるようだったら、是非シェアしていただきたい。
そして、この時の週刊プレイボーイが100万部雑誌だったことを考えると、女子だってこの雑誌について考えるべきだ。広報なら、100万部売れることの凄さは当然わかるだろう。なぜ、この時代、この雑誌が売れていたのか、なぜ支持されていたのか、そこには時代の背景と人々の気持ちがある。そして、他の雑誌ではできなかったことが、ココではできていたことが推測できる。ポルノ雑誌でしょう?では済まされない、スゴイ秘密がここにはあるのだ。
<参考>
ちなみに、岡本太郎さんの「太郎に訊け!」は1~3巻まであります。
そして、他の人生相談担当者も、比較的長い期間担当された方については、それぞれの単行本が出ています。一番気になるのは、この人生相談を初めて受けた柴田錬三郎さんなのですが、「キミはやれ、俺がやらせる」については・・・もう絶版中の絶版なので、すごい金額に...。しかも1冊しかないしね。Kindle版が普及してくれるといいなー、と願います。
参考までに他の指南役の書籍もわかるものだけ、以下に上げました。参考にして下さい。
今東光:極道辻説法 (集英社文庫)
柴田錬三郎:円月説法―柴錬のダンディズム指南 (1978年)
開高健:
集英社
売り上げランキング: 644