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スマートフォンばかりが売れる理由、そしていつかどこかで見た風景

スマートフォンばかりが売れる理由、そしていつかどこかで見た風景

吉岡 綾乃

Business Media 誠で編集長をしています。本ブログ&Twitterでは、Webメディアや紙メディア、ネットビジネス、携帯電話、非接触ICなどについての話題が中心になる予定。


 週末、携帯電話の機種変更に行ってきました。これまで私は富士通の二つ折りケータイとAndroid端末(Galaxy Tab)を併用しており、二つ折りケータイを買い換えたかったのです(ちょうど、「iPhoneやめました」のときに買ったケータイですね)。

 今回重視したポイントも今までの端末選びと変わらず、「綺麗に撮れるカメラ・防水・歩数計付き・できればスライド型」の4つでした。条件以前の大前提として「片手で容易に操作できる手に馴染むサイズ」と「おサイフケータイ対応」、「バッテリーの持ちが良い(できればエコモードなどバッテリーを長持ちさせる機能が付いている)」の3点があるのですが、このあたりはドコモで普通のケータイを買う分にはほとんど付いてきます。新しい携帯電話選びは楽しいもの。今回も「条件をすべて満たすケータイはないけど、1つ外すならどれにしよう......」とわくわくしながらじっくりと気になる機種を検討し、お店に向かいました。


●ろ、6万3000円!?
 しかし今回、家電量販店の携帯電話売り場(ドコモ)に行くと、なんだかいつもと様子が違いました。まず店員さんがスマートフォンのところにしかいないのです。普通のケータイを物色している私には話しかけてもきません。試しにスマートフォンコーナーに行くと、すかさず近寄ってきて「これ、人気あるんです、おすすめですよ!」とセールストークが始まるのです......試しに「使いにくくないですか?」などと不安そうなことを聞くと、「大丈夫です!今から買うならスマートフォンですよ!」と全力でプッシュ。......普通のケータイ、売る気ないでしょ(苦笑)?

 もう1つ驚いたのが値段。現在最新の夏モデルで比較すると、普通のケータイのハイエンド機種は5万9640円、一方、スマートフォンなら4万8720円(一括購入の場合)。1万円以上違うのです。「スマートフォンのほうが安いよ」とは聞いていたけど、こんなに違うとは。今回はスマートフォンの購入はまったく考えていなかったにもかかわらず、一瞬、Xperia arcに手を伸ばしそうになってしまいました(防水じゃないし!片手で操作できないし!)。

 しかもこの上に「当店指定のオプション未加入の場合は一括払いの金額とは別に3150円かかります」とのことで(料金表の隅にものすごく小さな字で書いてある)、私は6万3000円(!)を請求されたのでした。カウンターで値段を告げられたときには、「ろ、ろくまんさんぜんえん......デジカメ、いや、パソコン買えるよ......」とクラッと来たほど。かつて1円ケータイ花盛りのころに、半年おきくらいで頻繁に新しいケータイを買い換えていた時代がウソのようです......(まあ、あの当時も端末代は6万近くしたわけで、あの売り方もどうかという話はありますけどね)。

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某家電量販店にて、NTTドコモ初のカシオケータイ「CA-01C」の料金表。この機種に限らず、ドコモの夏モデルハイエンド機は、FOMAからの機種変更一括払いだと59640円+3150円というものが多かったです。

yodo02.jpg同じくドコモ夏モデルのスマートフォン売り場で。同じくFOMAからの機種変更一括で48720円の表示。(+3150円がかかるかどうかは未確認)

 ちょっと前にITmedia +D Mobileに載っていた1位から10位まですべてスマートフォンで埋め尽くされた販売ランキングを見て、「みんなそんなにスマートフォンが好きなのかな?」とやや不思議に思っていたのですが、実際に自分が買う立場になってみたら納得です。スマートフォンを売る時は店員さんの熱心さが違うし、値段もまったく違う。これでは鉄の意志を持っていない限り、ケータイをやめてスマートフォンを買いますね。フィーチャーフォン、なくならなければいいけど......。


●Windows95の頃のマニュアル本ブームを思い出す

 そういえばもう1つ、面白いなと思ったことがありました。携帯電話のレジカウンターの横に、こんな棚が特設で作られていたのです。

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 並んでいたのは、Android端末の機種別マニュアル本。1冊大体1500円から2000円くらいなのですが、レジの列に並んでいる人がかなりの割合で手にとってパラパラと眺め、面白いように売れていきます。私の後ろにいたカップルは、彼女が「こんなの要らない」というのを彼氏が「俺が買うからいいじゃん、不安なんだよ分からないし」と説き伏せてXperia acroの本を買っていました。出版不況のご時世に、これだけ売れる本は貴重かも......。

 これって、かつてWindows 95が普及し始めた頃に、パソコンのマニュアル本が飛ぶように売れていたのを思い出させます。「できる~」とか「サルでも分かる~」とか、当時大ヒットしたシリーズ物のマニュアル本があったよなあ、と懐かしい気持ちに。今時パソコンのマニュアル本を買う人はほとんどいないと思いますけど、スマートフォンなら売れるんですねぇ、マニュアル本。歴史は繰り返す......。

 さて、高いお金を払って買った新しいケータイですが、まだまだ慣れない部分も多くて使いこなせているとは言えないながら、楽しく使っています。電話帳などのデータは全部ショップで引越してくれたので、ホントに買ってすぐ使えるようになりました。モバイルSuicaだけは自分で移行しましたが、ほかのおサイフケータイアプリはドコモショップで移行してもらう予定。引き取って30分もしないうちに、電話もかけられるし、メールもできるし、駅の改札も通れる状態に。これがスマートフォンだったら、iPhoneでもAndroidでも、なんだかんだで数時間は設定に格闘しているはずです。「買ってすぐ使えるんだから、やっぱり普通のケータイはラクだよなぁ」と、これまでは当たり前だったことにちょっと感謝した、今回の機種変更でありました。

※このブログは、メールマガジン「ビジネス通信 誠」250号より一部抜粋したものです。ビジネス通信 誠では週に2回、誠&Biz.IDの記事ランキング、オススメ記事、編集長コラムをお送りしています。申込はこちらから→